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たんなるにっき(その14)

おはよう今日の私
どこも朝の電車は人の群れ
通勤するわけでもないのに
乗っている私
昨日よりひとり分スペースが
狭くなったかもしれないね
ごめんなさい
周囲360度に何となく謝りながら
吊り革に指を載せる

◇◇

昨日は何をしたのだったか…
のんびりとコーヒーを飲みながら
思い出そうとする

11月24日

あぁ、そうだった
昨日は特急電車に乗ったのだった
荷物は特に変わっていないはずなのに
少しずつ背負ったリュックが
大きくなるのは何故なんだろう
勿論、洗濯物であってもきれいに
畳んでいる
疲れでもなければ洋服が膨らんだ
わけでもなくて
少しずつ空気のようなものを
増やしているような気がする

空はどこで見上げても同じ空だけれど
海に近いか、山に近いかによって
何だか少し色が違って見える

比べるのは東京の空ではなくて
故郷の空だったりする
盆地の空、遠くの遠くの街並みや
スキー場のリフトが見えるくらい
高い建物がなくって広く低く感じる空

昨日見た空は少しそれに近いけれど
海抜の低さを感じる
それでいて私が撮るのは見上げる写真ばかり
樹齢数百年の根に寄り添って
ひたすらに伸びる枝振りを見上げると
少しだけ空に近くなるような気がする
そして、生き続けることの、
生命への畏怖を感じる

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教えてもらった場所まではバスが出ているのを
知りながら4キロメートルであれば
普段から歩いている距離に比べれば
大したことないと歩くことにした

知らない土地の知らない道を
ほとんど誰にもすれ違うことなく歩く
近づくにつれ、うねるように
登ったり下りたり…冬の匂いがするのに
体が上気するのを感じる
遥か昔の人たちも歩いて向かったのだよなあ
と想いを馳せる

◇◇

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水の音、流れ、波紋
言葉にするのが難しい感覚
流れ込んでくるような、
目や指からつながるような気がする

同時に透明であることは
汚れたり、色がつくから
透明だと知る

人もそう
環境、関わりのなかでは
抑圧もあれば、背中を押されたり、
手を引かれることもある
汚されてしまったような感覚に
なることもあるだろう
その中で、同じように汚れてしまうこともある
人格を分けて黒で白を守ることもある
汚れずにいてくれてありがとう
救っているのは私ではなくて
私は救われている方なのだと思うよ
川面を見ながらそんなことを考えた

◇◇

街を見て、自然に触れて
でもやっぱりそのなかで
人を見て、人に触れて
人の中で生きている

空港はまさにそういう場所
出会いと別れのクロスオーバー

何かを分かち合うと
また何かを分かり合う

つづく

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