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風俗のインバウンドから考える「AVはどこからファンタジー?」

女性用風俗・男性用風俗、パパ活・ママ活を経験してきたあんどうが、AVについて思うところを、現在の風俗業界事情も交えながら書いてみたいと思います。

最近一般人の間でも常識になりつつあるのは「AVはファンタジー」ということでしょうか。

一昔前は、AVしか性の知識の仕入先がなく、何の疑問もなくAVを教科書にしている人が大半でした。
でも、最近は昔に比べると性の情報を発信する専門家が増え、AVの中で起こっていることはフィクションであるという認識が浸透しつつあります。
(創作物である以上、フィクションでないはずがないのですが…)

きっと今ならAVを見慣れている人でも「AVがファンタジー?当たり前じゃん!」と言ってくれるでしょう(たぶん)。
でも、「どこからがファンタジーなの?」という質問に正確に答えられる人はどのくらいいるのでしょうか?

「いやいや、それくらい普通にわかるでしょ」と安易に思うのは危険かもしれません。

ドラマや小説はフィクションが多いですが、物語の中では現実ではありえない展開が多々ありますよね。
フィクションだからそんなもんだと思いつつ、心のどこかで「現実ではこんなところで偶然再会するわけがない」とか「本当だったらこんなに都合よく事が進むことはない」と感じているはずです。

でも物語を楽しむのが幼い子どもだったらどうでしょう?
まだまだ社会経験の少ない子どもなら、「こんなこともあるんだな」とか「こういうものなんだな」と現実にあり得ることとして鵜呑みにしてしまいます。
もしかしたら、AVで同じことが起こっているかもしれませんよ。

「それはさすがに考えすぎでは?」と思うのはまだ早いです。

以前見た外国人へのインタビュー映像で、日本についての印象を聞かれて「日本人は毎日お寿司を食べているんでしょ?」と答えている大人がいて、非常に驚いた記憶があります。
確かにお寿司は代表的な日本食かもしれませんが、家庭料理ではないし、毎日食べている人はまれですよね。
インタビュアーが「日本人でも毎日は食べない」と訂正すると、その外国人は「でも日本食と言ったらお寿司だから、毎日食べているのかと思った」と不思議そうにしていました。

外国人であっても日本に住んだ経験があったり、親しい人に日本人がいたりするのであれば、「日本人でも毎日はお寿司を食べない」ということを自然に知る機会があってもおかしくありません。
でもこの外国人の方は直接生身の日本人に接したことがなく、自分の知っている情報の範囲で、無意識のうちに日本人像を作ってしまっていたようでした。
このように情報が少なかったり偏っていたりすると、いい大人でも普通に勘違いします。

インバウンドや海外出稼ぎの影響もあり、最近は外国人を相手に風俗の仕事をするキャストさんが増えています。
あるキャストさんは「日本のAVを見たことのある外国人の中には、日本人女性はハードなプレイが好きだと勘違いしている人がいる」と感じているそうです。
実際、AVをそのまま再現するかのようなプレイを希望する外国人のお客さまもいるとか。

この話を聞いて「それは相手が外国人で、日本人女性のことをよく知らないからだ」と言えるでしょうか。
私は「外国人のみならず、日本人の男性も勘違いしているのでは…」と思わずにはいられません。
日本人か外国人かに関係なく、よく知らない人は現実とフィクションを区別できていないような気がします。
実は意外とよく知らないままかもしれませんよ!?

生身の女性と向き合う経験をする前にAVのインプットがあると、AVの情報が脳内にインストールされた状態で事に及ぶことになります。
何があり得て何があり得そうにないことなのかを知る前に、エンターテインメント性の高いAVに慣れてしまうと、自分もパートナーも苦労します。

もちろん、人間だから後から情報を修正することもできます。
だけど「AVが教えてくれたことは正しい」という先入観を無意識に持っている人を説得するのは、思っている以上に骨が折れます。

酷い人になると、パートナーに向かって「AV通りじゃないお前がおかしい」と言う始末です。
現実を見ろ!って言いたい…

「どこからがファンタジーなの?」
AVを見る人は今一度考えてみてほしい質問です。

(女性向けのAVが普及しつつあるとは言え、まだ男性向けのAVが多いため、男性のAV視聴者を念頭に置いて書いています)

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