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DUNE「デューン 砂の惑星」を観た

ティモシー・シャラメ主演で話題の映画「デューン 砂の惑星」

この広大な宇宙の良き未来を築く「救世主」。うーん、どこか既視感のあるような、無いような…。 そういう疑念は横に置いておいても、とにかく息を飲むような音響効果と近未来的映像のクオリテイといったら。のけぞるほどに圧倒されます。

「DUNE」と聞けば、クリスチャン・ディオールの香水を思い浮かべるんですよね。たしか実家にいるころドレッサーに小瓶が置かれていたような。瓶の色と少しパウダリーな香りが、スパイシーで熱を帯びた砂丘のイメージ。砂漠の民がまとっているような、ちょっぴりドライでセクシーな大人の女性を想像します。

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映画「DUNE」でも「香り」はキーワードとなっている。

ギリシャ彫刻のような美貌のティモシー・シャラメが演じるのは主人公のポール。彼が後継者となるアトレイデス家の宿敵ハルコンネン家は香料(スパイス・抗老化作用がある)を独占採取することで富を得ています。

ポールは香りによって記憶を呼び起こされ、感情を揺さぶられます。このくだりは、まるで紅茶に浸したマドレーヌの香りによって記憶を呼び起こされるフランスの文豪マルセル・プルーストの代表作『失われた時を求めて』のを思い出しました。

ポールは夢で未来が見えるという予知能力と、読心術など特殊能力も備えています。それは幼いころから母から訓練されたことによって開花するのですが、そのエピソードはスターウォーズのフォースを想起させます。

砂丘の中から襲い掛かってくるサンドワーム(砂虫)や「羽ばたき機」と呼ばれるトンボのような羽を持つヘリコプターは「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」に出てきそう。

冒険譚(たん)として既視感はあるものの、圧倒的なロケーションでの撮影。音楽や音響もすばらしく、空中での戦闘シーンは大迫力。観ているこちらも手に汗握るほど。

撮影セットや美術も壮大なスケール。とても見ごたえがありました。


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まるでエジプトのピラミッドかと思うほどの広大な砂丘都市。ポールが暮らす宮殿のインテリアはシノワズリ(中国趣味)。観葉植物のような鉢植えグリーンは松のような植物で盆栽だったし、外を歩く際にさす日傘は日本の唐傘のような骨の多いタイプ。アトレイデス家お抱えの医師はDr.ユエという中国人で脈診など東洋医学を施していました。


衣装もまるでローマ司教のような重厚で荘厳なものから、女性は頭頂部から全身を布で覆う優美なスタイルも。砂漠の民という設定からでしょうが、中東アラブ諸国の人々を思わせます。正装シーンで日本の学生服のような濃紺の詰襟風スーツに身を包んだティモシー・シャラメは相変わらず美しかった!

髪と瞳の色がダークで彫りの深いシャラメはコスモポリタンな雰囲気。「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」「ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語」で見せたスノッブな繊細さに加え、戦闘シーンでは力強く勇ましい一面も見せました。


優男?なティモシー・シャラメは、こちらの映画で堪能できます。



あと、通貨の単位が『ソラリス』だったのも興味深かったです。

アンドレイ・タルコフスキー監督の「惑星ソラリス」、スティーブン・ソダーバーグ監督の「ソラリス」を思い出しました。

宇宙戦争ものではなく、非常に難解で概念的な表現ですが、映画「2001年宇宙の旅」「惑星ソラリス」「ソラリス」からスタニスワフ・レムの小説『ソラリス』に引き込まれた経験のあるわたしには、なかなかのインパクトある通貨単位です。

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NHK100分de名著「ソラリス」解説。「わからなさを引き受ける」という副題がいいです。


細かいディティールについても楽しめるのですが、つまりは壮大な宇宙戦争もの、まるでスターウォーズとジブリを二乗したようなスケールの大きなストーリー(という印象)。

アナキン・スカイウォーカーの持つフォースばりの特殊戦闘能力を身に着けたティモシー・シャラメ。愛する人たちと宇宙の平和を守るため、悪との戦いを骨太に演じ、人間的に成長するポールの成長も注目したいところ。次回作は砂丘に暮らす砂民の美女とロマンスの予感も。

2023年公開予定の次回作も期待できそうです。





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