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藤井風「もうええわ」より~創作 短編小説 後宮からの逃走


「あ、いらっしゃったわよ!」

「この話は、ここまでね…」

今日は月曜日。

ゴミの日なのにあの人たちったら、朝から井戸端会議の招集が始まってる…。

取り巻き軍団の皆さま、ご苦労様です!

「彼ら」にうっかり鉢合わせると大変。

こちら仕事はもちろん、家事・育児・介護からPTA、町内会のお付き合いまでたくさん抱えてる。有閑マダムたちの井戸端会議に、付き合ってる時間がないんだもの…。


いつから、こんなに息苦しいコミュニティになったのかしら。


いつも先頭に立って口火を切るのは、代表に立候補したあの人。

仕切り屋で、目立ちたがり。マウンティングのトップに君臨したくて、いつも派手な服装と大げさな物言いで、人目を引こうと必死なのよね。


「あら?あなた見かけない顔だね。こちらへは最近いらしたばかり?ここでのお付き合いはね、アレとソレ、それからコレもするとご近所の皆さんと仲良くなれるよ。それから…」


「あ、でもアドバイスは参考までにね。”基本的に”あなたの好きなようにやってもいいのよ。もぉ~、お礼なんていいから!」


ゲッ!

そもそも、本当に「お好きなようにどうぞ」なんて思ってるなら、いちいちクソバイス(笑)しないでしょ。そっと見守ってるもんでしょ。

「ありがたく参考にすべし」って言ってるじゃん。

「あなたのおかげ」って、言われたいんじゃん。


困っている時に手を差し伸べてくれるには親切。だけど、聞いてもいないのにマイルールを押し付けるのって変だよ。

親切の押し売りって、ご存じない?



みんな知ってるし、わかってるの。あのひとが寂しい裸の王様だって。

そして誰にも少なからず”そういう部分”つまり、虚栄心があるのを自覚している。

だから、見て見ぬふり。テキトーに話を合わせてる。



そうそう、

プライドが高くて、人の意見に耳を貸さないタイプっているよね。それは自己肯定感の低さの裏返しでもあるんだって。実力や魅力に裏打ちされた矜持(プライド)を持っている人とは、全く別のタイプね。

人は誰かに褒められたことや、成功体験が少なかったりすると、縮んでしまった自尊心を守る必要が出てくるの。


とにかく、見て!見て!

注目されたくて、自分をよく見せるために半端なく多弁で「盛る」のもそう。理由は等身大の自分に自信が無いから。「盛る」のは、彼らが生きていくための術なのよ。


つまり、自己肯定感が低いと、大人になっても、まだ自分で自分を認めてあげられないってこと。認知の歪みとも言うわね。


誰かにずーっと

「あなたって、すごいね」

「あなたのおかげ」

って持ち上げられないと自分を保てない。

なんて、かわいそう…ね。



あ、取り巻き軍団がきたわよ!


あの人たちは「付和雷同」「尻馬に乗る」のが好きな人たちね。つまり、しっかりと考えて、自分の言葉で意見を述べるのも苦手なの。だから内容を精査せず、発言力のあるように見える誰かに同調しちゃう。

彼らは例外なく「声と態度が大きくて目立つ人」がいたら、そこに金魚のフンみたいにくっついていくわ。

へつらう、おもねる、媚びる…もちろんボス格は、彼らを利用こそすれど、自分を持ち上げていい気持ちにさせてくれる「太鼓持ち程度」にしか考えてないんだけど。

それなのに「そーだそーだ!」って乗っかって安心してるのね。「右向け、右!」って号令かけられたら、突風が吹いても振り返らないのかしら?所詮、一人じゃ何もできない「烏合の衆」じゃない(笑)


ぬけた 阿保なゲームいちぬけた
もうええわ 言われる前に先に言わして
もうええわ 付き合ってあげれんでごめんね
もうええわ 自由になるわ
泣くぐらいじゃったら 笑ったるわ アハハ…   

          歌詞引用:藤井風「もうええわ」


うっかりしゃべりすぎちゃった。あんたの軽いマウントもディスもヘイトも、へでもねーよ。営業トークを思い出す阿保なゲーム、もう、いち抜けた。もうええわ 自由になるわ。

美しい、良いと感じない関係には、付き合ってあげれんでごめんね。もう二度と交わらないのなら、それが運命だね。

朝の忙しい時間に、立ち止まって聞いてくれてありがとう。

さ、みんなが待ってるから、もう帰ろう。


このお話はフィクションです


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