敦賀湾を独り占め!ちょっと贅沢気分なランチ【福井8月旅】
KAGURU(カグール)で午前の取材を終え、少し車を走らせて「敦賀さざなみリゾートちょうべい」さんでランチをすることに。敦賀の海で育てられた、真鯛やふぐなどの海の幸や、地場野菜、越前の塩と、福井の食材をふんだんに使ったお膳に、メンバーはみな舌鼓を打っていました。
❚ こじんまりでも随所にこだわり
ランチをいただいたちょうべいさんは、40年ほど前から営業されている民宿で、敦賀駅から車で約15分のロケーション。木造の2階建てで、8室ある客室は、全部オーシャンビューです!今回は食事だけでしたが、ホームページで客室を拝見すると、思わず泊まってみたくなるしつらえ。
一般客室は、畳や木の香りが漂ってそうな、落ち着いた和室。部屋についた途端、大の字になって横になってしまうかも。間違いなく、そのまま眠ってしまうやろなぁ・・・(-_-)zzz
特別和洋室は、和モダンな感じで「海辺の船小屋」と、「欧亜国際連絡列車」「港街敦賀の歴史」をコンセプトにした2室。特に、モダンとレトロを融合した「虹の間」は、かつて敦賀とヨーロッパをつないでいた欧亜国際連絡列車の車内にいるような感覚。
でも、実際に乗ったことないから、知らんけど・・・
❚ ロケーションと料理がドーン!
さて、食事処に招かれてテーブル席に座ると、すぐ目の前に敦賀湾がドーン!7月に視察した越前海岸と違って、敦賀半島が北西季節風を遮ってくれるので、波がほとんどなくて静か。湾奥の敦賀港が良港だといわれる理由を実感します。
席に着いて手元を見ると、今度は豪華な料理がこれまたドーン!
今回の「TSURUGAご膳」は、全部が写真に収まらないほど、テーブルに所狭しと料理が置かれていきます!
いざ食べ始めて、前菜の「鯖へしこチーズ」にまず衝撃。へしこは何度も食べてますけど、クリームチーズとブルーベリーソースの組み合わせは、未体験ゾーン!へしこを食べ慣れない方にも食べやすく、この組み合わせにしているんだとか。なんとなくスモーキーな香りも感じられました。
女将の山本敬子さんによると、鯖のへしこ作りは15年くらい前から、「へしこ作りの師匠」と呼ばれるご婦人に教わり始めたそうで、国産の鯖を使って、無添加にこだわっておられます。通常は、毎年2月に塩漬けした鯖を米糠に漬け込んで、1年ほど発酵させるんですが、このご膳に使われているのは2年もの。スモーキーな香り付けはしていないとのことですが、2年という熟成が味わいにより深みを持たせるんでしょうか・・・
ご膳の小鉢には「敦賀ふぐ」が、お造りや揚げ物には「敦賀真鯛」という敦賀の新ブランドが使われています。敦賀ふぐとは、敦賀湾で育てられたトラフグのことで、旬は10月から3月。3〜5月の敦賀湾は、雪解け水が流れ込んで他の地域よりも海水温が低くなるので、ふぐの身が締まるようです。
同様に、敦賀真鯛も敦賀で養殖された真鯛です。栄養価の高いカニ殻などの飼料を与え、身質、色味、脂の乗りがとってもいいらしい。たしかに、お造りでも揚げ物でも、身がしっかりしていてホント美味しかった!
❚ 福井の地形が可能にしたコトって?
さて、国内のトラフグの養殖地で、敦賀が最北端だってご存じでしたか?実は、私も初めて知りました。(^^ゞ 他県では、長崎県、熊本県、愛媛県など海水温の高い地域が多いのですが、敦賀は先述のとおり海水温が低く、しかも海が荒れやすい日本海に面したまち。調べてみると、日本海側では魚を養殖できる海域が、あまり多くないんです!
では、どうして敦賀で養殖ができたかというと、実は地形が大きな役割を果たしてくれているんです。福井県には若狭湾という大きな湾があって、この湾の東側には私たちが7月に訪問した越前海岸があります。おさらいすると、この海岸は隆起によってできた海岸段丘でしたね。
一方、敦賀湾を含む若狭湾の南部は断層による大陥没湾で、典型的なリアス海岸を形成しています。特に、敦賀半島はしっかり若狭湾に突き出ているので(これによって支湾である敦賀湾を形成します)、季節風を遮って荒い波の影響を受けづらくしてくれます。
もうおわかりですね?リアス海岸のおかげで敦賀湾という良港ができ、養殖業が盛んになったんです!
夏の豪雨や冬の豪雪など、福井を取り巻く自然環境は近年、厳しいものがあります。でも、人々の知恵や工夫によって豊かな暮らしを生み出してきた歴史が、食文化にも脈々と受け継がれているんだなぁと感じます。
ちょうべいさんは、海・食・人のすべてにおいて、敦賀の魅力を味わえる心地よい場所をめざしています。自分へのご褒美として、たまにはこうしたところでゆったりとした時間と空間、そして福井の食文化を楽しんではいかがでしょうか?