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正月明け、ベンチャー企業が災害時の対策としてすぐできること

2024年1月1日、Twitterで「地震があったのか」と知った直後、我が家でも揺れを感じ「この揺れはいつもと違う」と思ったところ、石川県で震度7という大災害が起きていました。

その後、社内ツールで安否確認を行いましたが24時間後までに返事が来たのは全従業員(と役員)22人中10人にとどまりました。「BCP(事業継続計画)」を策定しなくては…と日々思っていたけれど、ボリュームが多く余裕もないために放置していた結果でした。

その反省をもとに、災害後一般的にこういうことが起きるだろうとか、こういうことをしておいたらいいのではないかという事を書いていきます。
まだ現地は大変な時期で、このような文章を出すことに不謹慎だと思われる方がいるかもしれませんが、今後の災害等で悲しむ人が減らせればと思い書くことにしました。

なお、想定として従業員50人以下の企業、ベンチャー企業、ひとり人事くらいの会社を想定しています。あと、外国人授業員が3割くらいいるのでそれについても記載します。
福祉関係等の法人に関してはBCP義務化となっていますので、そのような企業であれば策定することをぜひお勧めします。

なお、私は下記のようなバックグラウンドがあり、防災については普通の人よりは知識があると考えています。

2011年 NGO職員として東日本大震災後、岩手県にて半年勤務
 (避難所運営支援、子ども支援、ボランティア受け入れ・調整、広報等)
2014年 スフィアプロジェクト研修受講
2020年 HUG研修受講
2021年 BCP研修受講
2022年 某都道府県総合防災訓練参加
※被災経験はありませんが、ここには書いていない国家資格等も持っていますし、他にも報告会や講習に参加しています。


1、どういう時に運用するか

中小企業庁HPによると、「自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態」と書いてあります。
これを小さい企業が細かく定義するのは難しいと思います。そもそも企業の置かれている立地(海沿い、山沿い、台風がよく来る地域、豪雪地帯等)によっても災害が起こりやすい環境は全然違うと思います。
私は、公共交通機関が止まったり学校や保育所等が休みになるような災害等が当てはまるのではないかと考えています。
また今回のような大きな地震であれば、地域によらず確認が必要だろうと考えます。
(実際、休暇中だったため従業員が海沿いに行っていたらしく避難したと報告がありました)

なお、「全然違う地域にいるんだからわざわざ安否確認をするな」という意見もあると思いますが、ご自身が無事でも家族が被災されたり支援に行かなくてはいけないこともあると思われるので、確認することは悪くないのではと考えています。

2、まずは安否確認

まずは従業員(およびその家族)の安全が第一です。
安否確認の方法にはいくつかあります。

  1. NTTや富士通などのサービスの利用:ただし月額利用料がかかるので仕事柄緊急対応が必要な企業でなければ、費用捻出は難しいのではないかと思われます。

  2. 電話:電話は使えない可能性があるのと、昔の連絡網を作っていない企業もあるので第二候補くらいがいいのではと考えます。

  3. LINE:災害時に電話が使えなくても使えるということで個人的にはおススメですが、普段使わない人もいるので導入が難しい可能性もあります。普段使わないという事は反応が遅くなることも考えられます。

  4. 個人メール:一斉送信等で確認する方法ですが、最近メールも使われなくなってきているので見極めが必要と思われます。

  5. チャットツール:もし会社で使っているのであれば第一候補はこれになるのかなと思います。見ている可能性が高いので反応も早いと考えられます。

安否確認の仕方として、以下のようにするといいのではないかと考えます。

  1. 就業時間中に災害が起きた場合は、安全を確保して点呼等で確認します。(建物の安全が確保できない場合は避難後点呼します)

  2. 就業時間外、もしくは在宅勤務・出張中の場合はチャットツールを使って確認します(人事が通達:人事が通達できない場合は役員)

  3. 24時間以内に返事がない人に関しては人事が集計後、担当の役員(上司)に安否確認を依頼→チャットツールに報告

  4. それでも連絡できない従業員は引き続き連絡を試みます(連絡が取れるまで)

なお、外国人従業員などがおり海外に行く可能性がある場合はあらかじめ報告するよう伝えておきます。

2、社内の安全確認とオペレーションの検討

これに関しては人事よりも経営層の仕事になるかもしれません。

建物が火災や倒壊等の恐れがない場合は、社内の安全確認を行います。(倒壊の恐れがあるときは確認してもらってから入ってください。調査の方は1週間~1か月程度で来られることが多いように思われます)

備品や在庫品が壊れていないかを確認して、営業再開が可能かを確認します。
なお、大災害になると交通網が遮断されるため荷物は数週間届かなくなります。納期の変更や失注、しばらく営業できないという事は大いに考えられますので、必要に応じて経営計画等を考え直す必要があります。

なお、大災害の場合は子どもを迎えに行かないと行けなかったり、学校再開まで数週間かかる事も多いのでその間どのように勤務ローテーションを回すか考える必要があります。(これは、家族の安否確認も要するので時間がかかる可能性があります。)
これは臨機応変に現場で対応していくしかないと思われます。

なお、大きな企業であれば行政と連携して帰宅困難者の受け入れや地域住民の受け入れ等を行う事がありますが、小さい企業であればこの辺はしないでいいと思われます。(もちろん善意でされる企業はあります)

なお、社外に対してできるだけ早くお知らせすることも大切です。取引先一つひとつに連絡するのは大変だと思うのでまずはHP等に通達が可能であれば「無事」とか「状況確認中(しばらくかかる)」などとお知らせできるといいと思います。

3、イレギュラーな出来事だらけと考える

災害が起きて、復興するまでには数か月~数年かかります。
最初の1~3か月くらいはなかなか落ち着かないと思います。

だからこそ、従業員が事故等に巻き込まれないように注意する必要があります。
イレギュラーが重なると事故が起きやすくなります。
「災害がなければ…」と思うような事件や事故が起きます。

また、従業員が被災すると労務関係も変更になる可能性が高いので注意が必要です。

多分いろんなところでイレギュラーなことが増え、落ち着いて仕事できないときもあると思いますが「できる事を無理せず」少しずつやっていくしかないです。

4、最後に

避難所運営では、日頃からご近所さんが「どんな人か」を知っておくといいという事があります。
意外な資格を持っていたり、キャンプが好きでテント設営が得意だったり。
会社でも初動はそこにいる人たちでなんとかするしかありません。
日頃から社内でコミュニケーションを取っておくと、いざという時に役に立つと思います。

災害は防ぐ事はできませんが、減らすことはできます。
日々忙しいと思いますが、少しでも役に立ち、まずは最初の一歩でも決めて運用してもらえると幸いです。

※もっと書きたいことや、抜けている事があるかもしれません。コメントいただけると幸いです。



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