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会話は気遣いでつかれるんじゃなく、超絶マルチタスクだからつかれる

外向型と内向型の違いは「人と接する」ことにおける脳の運動神経の違いではないか、とふと考えた。

そんなわたしはといえば、だいたいどんな性格診断を受検しても外向 / 内向がほぼ五分五分の、いわゆる両向型だ。
自己認識としては「人見知りしない内向型」だと思っている。

初対面の人でも平気で話せるけれども、会話はつかれる。
会話でつかれやすいというのは内向型の特徴として代表的なものだ。

会話でつかれてしまう原因は気の遣いすぎによるものだと長年思っていたのだが、実は運動神経ならぬ脳みその「会話神経」が鈍いんじゃないかと、ふと思った。


わたしにとってオフラインでの3人以下の会話はトリプルタスクのように感じる。
それはたとえるなら右手で外国語のリスニング問題を解きながら、左手で迷路を解いているような感覚である。

話者の話を聴きながら、片方では話を理解して返答を導き出し、もう片方では話者の性格や考え方の軸といった深淵を探っていく。
聴く・理解してことばを編む・深淵を探るの3つを同時進行しているのだ。


4人以上の会話になると、また別のトリプルタスクとなる。
今度は木を見ながら、森も見つつ、足もとも見る感覚に近い。

木を見るというのは、3人以下のときと同様に話者の言葉からその人の本質を探ること。
森を見るのは、オーディエンスの様子をうかがうこと。
たまにいるでしょ、自分の話も人の話もぜんぶ自分の話にしちゃう人。そうでなくてもわたしの経験上、4人以上の会話になるとボールが回ってこない人が出てきやすい傾向にある。
だから全員の表情を見渡して、ときどき会話の風向きを変えるのだ。それを気遣いというのかもしれないが、ジャイアンリサイタルは単に耳障りなので、流れを変えるのはむしろ自分のためでもある。

それに、そういう場で黙りがちな人ほど話すとおもしろいといったわたし調べのデータもある。

なお自分は別に話さなくてもいい。
とくにおもしろい話もないし、わたしが話すと変な空気になることが多い。「なに言ってんのこいつ?」みたいな。
笑かす気もないのにスベった感じになるあの空気は地味に気まずい。

だから、はたから見ると基本的にわたしは黙っていて、視点が定まっていない。つまり「聞いてる?」と言われかねない。
ゆえに「聞いてる雰囲気」をちゃんと醸し出しておかねばならない。…ジャイアンリサイタル以外はだいたいちゃんと聞いているんだけどね。木を見ているから。


これがしかしオンラインになるとまた様子が変わってくる。
4人以上のオンライン会話というのは、もはやわたしにとってテトラタスクである。
木を見ながら森を見ながら足もとも見て木々の合間を縫っていく。

直接対面しての会話に「木々の合間を縫う」動作が加わる。
オンラインでの会話では通信上のほんのちょっとしたタイムラグが発生する。小さなことだが、実はわりと脳みそへの負荷が大きい。

4人以上のオンライン会話になると、どうにも誰かと発話がバッティングしてしまうのだ。しかもバッティングする相手はいつもだいたい同じ人である。
その人が悪いわけでは決してないので申し訳ないのだが、ちょっと嫌いになりそうになる。

だからオンラインになるととくにボール回しが難しくなって、ジャイアンリサイタルが止めにくい。


とまあ、わたしの脳みそにとって会話というのは、3つも4つものタスクを同時にこなさなければいけない、負荷の高い活動だ。
これはたぶん、脳みその「会話神経」が鈍いからではないか?と思っている。

わたしが今まで出会ってきた、根っからの外向型タイプの人たちは、たぶん「会話神経」がよい。つまり会話のマルチタスク処理能力がとても高くて、たとえるなら会話における運動神経がよいのだと思う。

会話神経は運動神経に似ている。

運動神経がとてつもなく鈍いわたしにとっては、ボールを投げるという一見ごくシンプルな動作でさえ超絶技巧にさえ感じるマルチタスクである。

いろんなわけあってボールの投げ方を教わる機会があったのだが、ボールを飛ばすには脚、腰、肩まわり、腕、手首を絶妙に連携させる必要がある。意識することが多すぎてロボットのようにカクカクしてしまう。そして2、3球投げただけでとてもつかれる。
体がつかれるのは単に体力がないのだが、頭もつかれるのだ。

練習すればすこしはましに投げられるようになるだろうけれど、運動神経のよい人というのはとくに練習をせずともある程度ちゃんとボールを投げられるはずだ。


ボール投げと同じようなことが会話中の脳みそでも起こっていて、会話神経のよい人はとくに意識しなくても聴く・理解する・返事する・全体をみる・パスをまわす、みたいなことがスムーズにできるのではないか。

一方、わたしみたいに会話神経が鈍いと、ボール投げみたいにカクカクしてしまってとてもつかれる。会話というのは脳みそにとって過負荷なのだ。


こうした仮説が立ったからといって明日から会話が楽になるわけでもないし、はっきりいってなんの役にも立たない文章となってしまったが、今日もここまで読んでくれてありがとうございます。

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