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言い訳①読めば数学が分かりそうだったけど、読んでより謎が深まった。

積読日記です。

📕ぼくには数字が風景に見える(2014)
🧑ダニエル・タメット
 古屋美登里=訳
🟢全325頁

平均点60点の期末試験で、3点を取ったことがある。

今思い出しても全く悔しくないくらい、私は数学ができなかった。
多分過去形ではなく現在進行形でできないが、試していないから分からない。

他の教科とは違い明確な答えがある事だとか、美しい公式なんかを学校で数学の先生が話すのを聞いてゲーッとしていた。
曖昧でOK、部分点は貰える方が私は嬉しかったし、公式はたくさんありすぎてよく分からなかった。

この本を見つけたのはそんな高校生だった頃で、何となく表紙から「数学教授の本かな?」と手に取ったんだった気がする。

「学校で習わない楽しい数学の話」みたいなものを期待して読んでみると、何か違う。
そもそも作者は数学者ではなく、本著はサヴァン症候群である作者が見る数字や言語の世界を表現したものだし、そもそも生まれ持っての性質で数字への親しみが深いタイプだった。自分とあまりに真逆。
序盤の累乗計算の図解が出てきた時点で読むのをやめて数年経っていた。
そもそも図解を見ておもしろ〜い!と思えていれば、3点なんか取らないのだ。

改めて読むと、サヴァン症候群や自閉症等、作者自身の自伝要素の方が強く引き込まれた。
他と違う自分、疎外される自分に気づくまでの心の機微が、まるで研究資料のような精密さで描かれている。
あまりに細かく書かれているものだから、「もしかしたら、ここのこの文はあの時の私かも」だなんて感じることもあった。
読む前は作者のダニエルさんと私、何一つ共通点はないと思っていたのに。

本を読む事は義務でもなんでもない、趣味の一つで気が乗らなければ読まずに本棚に押しやることもある。
わざわざ休日図書館に借りに行ったのに、読まずに返すことになることもある。
なんでそんな勿体無い事をしてしまうんだろう、そう思う事もあるけど、
「こんな本読んで、こんなことがわかる自分になりたいな〜!」と考えている時間は唯一無二だとも思う。

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