《ルーティンと即興とソーシャルダンス50のすすめ》

今回のテーマは、『ルーティンと即興』です。

【ルーティンと即興】

最近巷で、"ルーティン"か"即興(アドリブ)"か、のような話題を耳にしました。

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@ルーティン:決まった一連の動作をすること、つまりは決まった一連のステップをすること
@即興: 型にとらわれず自由に思うままに作り上げること
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わたし自身も気になる話題でしたので、少し首を突っ込みましたが、どちらもとてもダンスに重要な部分であると思います。

しかし、わたしが"ダンス"を楽しく感じるようになったのは、即興を楽しめるようになってからです。

いつも怒られますが、本番の即興こそ緊張感があり、しかし、気持ち良いものはないと感じています。

それまでも楽しかったのですが、実は違うものを楽しんでいたのかなと気づいたのは最近のことです。


ルーティンと即興は、両極端のものですが、どちらにもメリットデメリットがあります。

ルーティンは、物事を仕組み化することにより安定感をもたらします、しかし同時に固定化することにより、物事を有機質的なものから無機質的なものに変えてしまうことになります。

他方、即興は、物事を固定化せずに自由に表現できる一方で、仕組み化がされていないので毎回違う結果になり安定感に欠けます。

【わたしは】

わたし自身は、ダンスを始めたばかりの頃は、右も左もわかりませんから、先輩や先生に言われるがまま、与えられたルーティンをこなす事で精一杯で、ただひたすらタイミングとラインと動きを磨いていました。
そして、音楽や踊る相手は二の次で、いかに正確に踊るかを考えていました。
しかし、そうすると、なぜか、驚くほどに気持ちよく踊れないのです。(結果が出たり、ルーティンを覚えたりの達成感はありました。)

そのうちデモンストレーションを踊るようになり、曲に合わせて構成を変えたり、振り付けやステップを考えたり、徐々に音楽に合わせて踊ることを楽しめるようになってきました(パズルのような感じで)。

そしてまた、コーチャーに指示を仰ぎ、新しいルーティンを作ってもらうなどするうちに、音楽の流れに合った踊り方があるという事に気づかされました。
そして、それらの振りは、ある一定のタイプの曲には驚くほどハマり、気持ちよく踊れました。(しかし、他のタイプの曲には驚くほどハマりませんでした。)


一方、わたしは、即興、アドリブが苦手で、会話もダンスも事前に準備をしないと心配なたちで、本番に緊張するタイプの人間でした。
ですので、事前の打ち合わせやルーティンがあることは自分に安心感や自信を与えてくれ、本番での緊張を和らげてくれる効果をもたらしました。

しかし、本番は毎回同じ状況ではなく、会場の広さや照明の具合、観客の盛り上がり、自分たちの体調など様々な要素に左右されました。
なかでも、本番でかかる音楽には常に翻弄されてきました。
音楽の内容、ジャンル、演奏者、スピード、長さ、音の大きさ、など様々な要素により、全く踊りの内容が変わってしまっていたのです。

やはり、広くて照明が良く、賑やかな会場で、良い演奏や音楽のなかで踊る事は気持ちがよく、自分の実力以上のものが発揮できた気がしました。
逆に、体育館などの会場で、初心者向けの音楽が小さい音量でかかった時などは、全くのれずに惨敗したこともたくさんありました。

その頃は、音楽や会場や他の何かのせいにしていましたが(もちろん自分の実力にも)、自分のダンスも含めその状況をその瞬間に変えることはできないので、その状況下で出来る最善の策をとる必要がありました。

そういった意味で良い結果を出す選手や人間は、綿密に計算されて繰り返し練習したルーティンやテクニックはもちろん、そういったアドリブ力を持っている気がします。

TPOに合わせた最適なダンスを踊る。

そのための自信となるベースとなるルーティン、
そして状況に臨機応変に対応するアドリブ力、

これらを併せ持つ人が、より成功に近づけるのでは、と思いました。

ソーシャルダンスでも、競技ダンスでも、ショーダンスでも。

【ソーシャルダンスのすすめ】

日本人は、一般的にルーティンが得意とされています。

そんななかで、日本においてダンスでアドリブを試す場所は、なかなかありません。

練習場や練習会などで、いろいろな会場、メンバーなど状況を変えることによって、磨くことはできるかもしれませんが、それはあくまで競技会のアドリブです。

ペアダンスの本来の目的である、ペアのコミュニケーションを実践する場所は、やはりソーシャル、社交の場なのだと思います。

海外のダンサーをみていると、ダンスで遊ぶのが上手です。最近は減ったようですが、結婚式のアフターパーティやイベントの打ち上げで踊る機会がたくさんあるそうです。
ダンスパーティーだから踊るのではなく、パーティだから踊るのです。

日本でもそのようにペアダンスを親しむ場所・シーンが増えていき、ひいては、ソーシャルダンス人口、競技ダンス人口が増えていけばと思います!

ここでいうペアダンスとは、いわゆる社交ダンスであるインターナショナルスタイルから、アメリカンスタイル、アルゼンチンからブラジル、キューバ、ヨーロッパ各地など世界中のダンスを含めますが、アドリブを磨くにはぜひ、全く経験のないダンスをやってみることをお勧めします。

わたしも、これまで、約50種以上をやりましたが、20を超えるあたりから、もう増えても全部同じ!と感じるようになりました。
しかし、同じだけど違うのです。

そんな感じをぜひみなさまにも体感していただきたいと思います。

わたしの最近の旬は、Samba de Gaffiera (サンバジガフィエラ)です。

サンバだけどサンバじゃない!?

まだまだ知らない世界がいっぱいです。

ペアダンスは、奥が深いですね。

(いろいろなペアダンスが気になる方は、ご連絡下さい。仲間は多い方が良いですから。)



以上、【ルーティンと即興とソーシャルダンスのすすめ】でした!

拙い文章に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました!

みなさま、頑張ってコロナを乗り越えて、新しいペアダンスの時代を楽しんでいきましょう!