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今日ときめいた言葉145ー「国籍や人種、性別、性的指向といった属性によって可能性を狭められ、偏見を持たれ、迫害を受けることのない、そんな当たり前の生活を」

(2024年5月17日付朝日新聞 「隣に暮らす外国人」小説家 李琴峰(り・ことみ)氏の言葉)

李氏は台湾生まれの日本永住者だ。彼女は言う。

社会制度と法制度だけを見れば日本人と外国人の格差はなくかなり平等だ。だから税負担も教育費も日本人と同じだし、給付金や支援金も等しく受けられる。生活保護も排除されていない。差別がないと言っているわけではないが、耐えられない程のことではない。これはひとえに差別撤廃のために戦った先人のおかげだ。

だが今政府は税金や社会保険料の未納や滞納を理由に永住資格を取り消せる法改正を検討しているという。このことは、日本に根を下ろして生きようとしている彼女をはじめとする外国人の将来を不安なものにする。日本に住む外国人は「日本人と同じ生活者だと認めたわけではないし、国が守るべき対象ではない」と言われているようだと。いつまでたっても「二級市民で追い出されていい存在のままだ」と。

日本の人口減少が確実となった今、外国からの移住者に住み良い環境を提示できなくてどうするのだろうか。「今日ときめいた言葉133ー『日本人』とは何か」で紹介した著述家・翻訳家のマライ・メントラインさんの勧めるドイツの政治家の使う呼びかけの言葉「Mitbürger」(「国に共に暮らす人々」といった意味)のような意識は持てないものか?私たちはこの地で共に生活する隣人なのだから。

このタイトルの言葉だが、少し前に投稿した「今日ときめいた言葉144ー「生い立ちや信念や格好で切り捨てられたりしない、男か女でふるいにかけられない社会になることを私は心から願います」と重なる。

86年たっても変わらない差別意識。規範意識がそれぞれの感情となって定着するには長〜〜い時間がかかるのか。でも待ってはいられない。



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