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アートと好きなモノを巡る旅の記録

一日休めば4連休の2022年・文化の日。
お休みを取り、連休前半を使って一人旅をしてきました。
目的地は直島と倉敷です。

自分の中でのコンセプトとして「アート」を入れている私にとって、この旅はコンセプト活動の一環。
ムーンプランナーのウィッシュリストに書いた「やりたいこと」の一つでもあります。
それぞれの地で心動いたことを中心に、旅の思い出を綴ります。

初日 移動

いつもは8時を過ぎても働いていることが多いけど、この日は何があっても6時半であがると宣言して。
仕事終わり、夜8時東京発の新幹線に乗って一人旅スタートです。
全国旅行支援をフル活用するためあえて平日夜発にしたのですが、次の日は朝から時間をフル活用できるので大正解でした。

もともと旅行は好きで、20代のうちに全都道府県を制覇、一人旅も公共交通機関で行ける範囲なら余裕です(運転はできない)。
海外も何か国か行っており、今年ファッションに費やした大金は、数年前なら海外旅行に使っていたはずです。

ここ数年は旅行欲もすっかりおさまっており、帰省以外で遠方へ行くのは久しぶり。
実家の最寄りである新大阪を過ぎると、久しぶりの旅の感覚にちょっとドキドキしてきます。
深夜に岡山駅付近の宿に着いて、初日は終了。

2日目 直島

この日は朝から直島へ移動。
港に降り立つと野外作品がすぐ見えてきて、アートの島にきたんだ、と実感し心躍ります。
美術館方面へ行くバスから景色を見ると、瀬戸内らしい穏やかなまちと海。
晴れの特異日・文化の日らしい青空の下、波がきらめく青い海に木々の緑。
この島、好きだわ。とすぐに確信しました。

空間全てがアート

まず向かった「美術館エリア」は、屋内(美術館)・屋外の様々な場所に作品が展示されている、日常生活から切り離されたエリアです。
決められた車両以外は、自転車さえも通れません。

エリア内の建物は、安藤忠雄さんが設計したものです。
作品と建物の構想を並行して進めたものもあれば、作品が先に存在したものもあるはずですが、空間と作品が互いの存在を最高の形で引き立て合い、空間全体が一つの作品として成り立っているようでした。

空間全体を一つの作品とする代表例は李禹煥さん。
元々そういうコンセプトで美術館を作っています。
歩き疲れたタイミングで美術館に入ったのですが、余計なものが全てそぎ落とされた空間にいると、心身が落ち着き、エネルギーチャージされていきます。
叶うものならひとりでそこに佇んでいたかった。

エリアに点在する屋外作品は、美しい自然の風景にある種の違和感を生じさせていました。
でも、屋外作品にありがちな「とりあえずアートを設置してみました」的な唐突感はありません。
この場所にこの作品を置くのが必然だと感じられるのです。
自然の中に人間が創り出したものが在ることで、風景に新たな意味が生まれます。

特に印象的だったのは、草間彌生さんの「南瓜」です。
美術館から海岸の方に歩いていくと、遠くから見ても一目でわかる人工物が目に入ります。
あきらかに普通ならここにないものが存在する、違和感。
違和感しかないのだけれど、この南瓜を置くのはこの場所しかないと感じるのです。

逆光で伝わりきらない魅力

近くで見てみると、このサイズも、この黄色も、計算され尽くした作品なのだと感じました。
南瓜がなくても美しい風景だけど、あるともっと面白い。
見たことない方はぜひ、その目で確かめてほしいです。

不穏な古民家

美術館エリアを一通り回った後は、村の中心部である「本村エリア」に移動しました。
島民の生活圏にお邪魔させてもらい、まちを楽しみながらアートを巡ります。

その中で印象的だったのは、古民家の中をアート作品とした「家プロジェクト」の中の1軒。
私の中の古民家のイメージをぶち壊してくれた、大竹伸朗さんの「はいしゃ」です。

古民家といえば、どこか懐かしく心安らぐ空間ですが、この作品は外観から様子が違います。
中に入ると広がる、カオスな空間。
古民家らしい木のあたたかみのあるパーツがところどころに残っていて、もとは古民家であることを忘れさせません。
パンフレットによると「『夢の記憶』をたどるプロセスを形にしようとしています」というだけあって、唐突でむき出しでポップな不思議空間。

外のタイルを撮影

古民家でこんなアレンジもありなのか、合わせてはいけないものなんてないんだと思わされました。

最後に立ち寄った銭湯「I♡湯」も大竹伸朗さんの作品で、内装は島民が日常使いできる程度の落ち着きはありながら、カオスでエロティックな雰囲気が面白かったです。それにしてもなんで象?
ちょうど大竹伸朗さんの展示が都内でやっているようなので、ぜひ見に行こうと思います。

大竹伸朗展(東京国立近代美術館 2022.11.1-2023.2.5)
https://www.momat.go.jp/am/exhibition/shinro-ohtake/
銭湯に貼ってあったポスターで知りました。旅先で近場(都内)の展示情報を知るという謎現象。笑

3日目 岡山&倉敷

城とたまたまリンクコーデ

日本史、特に戦国時代が好きで、旅先にお城があるとだいたいプランに組み込む私ですが、岡山城には前にも行ったことがあるので、今回はやめておこうと思っていました。
が、岡山城天守閣が前日(11/3)にリニューアルオープンしたばかりだと駅前で見かけ、ちょっと興味が湧いてきました。

岡山城は別名「烏城」といい、黒い外壁が特徴。

天守台が不等辺五角形という、個性的でかっこいいお城

たまたまその日の服装は黒いニットベストの下から白いブラウスの袖と裾が見え、黒いロングスカート。
さらに黒いリュックとスニーカー、ごつい金色のネックレスを身に着けていました。
想像してください、岡山城とよく似ていませんか?
というわけで、「今日岡山城ファッションだ!これは行くしかない!」と、急遽予定を変更しました。

岡山城は黒が印象的なお城ということで、前にテレビで見たお城の色の話を思い出しました。
・黒いお城=戦いの時代のお城(岡山城、熊本城など)
 夜は闇に紛れてその存在が見えにくくなります。見た目のかっこよさだけではなく実戦のことも考えてつくられた、鎧のようなお城です。
・白いお城=平和な時代のお城(姫路城、彦根城など)
 夜でも目立ちやすく、色の面での機能性は黒に劣りますが、華麗な見た目で力を示します。江戸時代に入ってから建てられたお城に多いそう。

私はどちらかというと姫路城のような人になりたいのですが、「より黒く」リニューアルされたという岡山城はかっこよかった!

天守閣の中は、リニューアルされたばかりの真新しい展示コーナーです。
モノ自体の解説はそこそこに、来た人の大半は知らないであろう城主の足跡に焦点を当ててくれています。
堅苦しくない文章で興味を持ちやすく、展示もしっかり楽しんでほしいという心意気を感じました。
一般的に悪いイメージがついている人物を、最近の研究結果や地元目線で違った方向から見せてくれるのが面白かったです。
それにしても、改めて見ると歴代岡山城主は超有名人はいないけど豪華だな…!

倉敷と仲良くなれるかな

倉敷美観地区は、和の街並みがそのまま残り、おしゃれなお店がたくさんある楽しいエリア。
手仕事の街で、職人気質のこだわりがありながら、柔軟に形を変えていける余裕も感じられます。
私の勝手なイメージなのですが、丁寧な暮らしを営みながらも、仕事・商売が暮らしに入り込むことで決して浮世離れしておらず、良いバランスをもった街だと思いました。

ここでの目的はオシャレタウンでご当地グルメとショッピングを楽しむこと。
お土産はもちろんですが、自分用の買い物にも熱が入ります。
多く見かけた特産品は素朴な印象の備前焼やガラスの器、マスキングテープ。
食器や生活雑貨はナチュラルなものが好きなこともあり、魅力的なものにたくさん出会えました。
が、現状モノは足りており、実際にそれを使うイメージがしきれず見送り。

一方、身に付けるものは都会的で華やかなものが好き。
倉敷は服や鞄、帽子のお店も多いのですが、デニムや帆布の産地だからどうしてもナチュラルカジュアル、クラフト感が強いものが好まれがちです。
行く前から薄々分かっていましたが、ファッションアイテムに関してはnot for meな感じがしていました。

いまいち決め手に欠ける中、最後に入ったジュエリーショップ。
外装も内装も大好きな雰囲気で、直感的にいいモノと出会えそうな気がしながらも、置いてある繊細なアクセサリーが自分に合うのかは自信がありませんでした。

ピンキーリングなら繊細なデザインもいけるのではと思い試着させてもらったところ、デザインによってはいけそうと確信。
何本か試着させてもらった中で、ゴールドとパールの2個を重ね付けするのがしっくりきたのでお迎えすることにしました。

ゴールドとパールはお気に入りのイヤカフと同じ組み合わせ。とっても自分らしい

指輪と出会えたことで、ようやく倉敷と仲良くなれた気がして心が温かくなりました。
旅の思い出にアクセサリーを買うのは、確か「1年3セットの服で生きる」の本の一節に載っていて、旅でやってみたかったことの一つです。
それを見るたびに楽しい記憶を思い出せるって素敵。

総括

全体を通して、心地よく生きるために何を大事にしたいかを見つめ直せた旅でした。

普段、移動時間はずっとスマホをいじっているのですが、今回は外の風景を楽しんでみた。
疲れてきたかも?と思ったら、疲れ切る前に休憩を取ってみた。
何もしない空白の時間を作ることで、かえって自分の幸福度が増していくのを感じました。

今のところ都会から離れる予定はないけれど、都会のスピードから意識的に距離をとって、余白を大切に暮らしたい。
何も考えていないと競争に流されがちになるけれど、競争に乗っかるところと降りるところを意識的に調整していきたいと思いました。

また、アート鑑賞から学んだ「空間全体を大切にする」考え方は、自分の暮らしにも生かしていけそうです。

最近、家が安らげる空間に思えなくなってきていたのですが、空間全体としてノイズが多いからだと気づきました。
「これがここにあるのは必然か?」と問いかけながら家の片付けを始めています。
おしゃれなものを1点買えば、すぐにおしゃれになるわけではない。
絵画を1点飾れば、家が美術館のようになるわけではない。
不要なものを極限までそぎ落として、本当に必要なものの魅力を最大限引き出していく。

そう言うとミニマリスト的な何もない部屋が正義なのか、と想像してしまうかもしれませんが、決してそうではありません。
一見ごちゃごちゃして過剰に見える中に生まれる美はあります。
ただしそこには計算があり、あえて盛り盛りにすることによって伝えたいことがある。
本質を見失うことなく、それに見合った手段で表現していくことを大切にしていきたいです。

忙しい日常から離れ、やりたいことを存分に楽しめた旅ができ、良い気分転換となりました!
帰った後も、これまでより心豊かに生きていけそうです。

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