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たゆたう / Waver

ゆらゆらしていたいんだ

がっちりと決めてしまうのは苦手

これしかないんだと思ってしまうのも
肩に力が入ってガチガチになるのも
それでいつのまにか
きちんと息ができなくなっていることも

ずっとそうやってきたから

そうして、それをやめたくて
ここに来たんだから



たゆたう、という言葉が好き

身体から力が抜けていくようで

水族館で見たクラゲを思い出す
この身体は、ほんとうは
骨と筋肉だけで支えられているのじゃなくて
袋に満たされた液体のような

ぐにゃぐにゃして
やわらかくて
みずみずしい
生きもの。

そう思えたなら、
余分な力はいらない
息を 深く 吸って
それよりも もっと 深く 遠くまで 吐いて
海にいたときを思い出せるくらい

酸素が巡り
血液が巡り
そうやって生かされていることを
思い出す
だけでいい。

身体は、解き放たれて
動きたいように
動き出す


ぽつんとした湖のほとりで
ハンモックに包まれている
青い空だけを視界に入れて
海に揺られていた頃のことを
思い出す

ほしいのは そういうイメージ
いつでもここに
帰ってこられるように

そうして、また
魚になって泳ぎはじめる
わたしの行きたい場所まで
まだ見ぬところまで

しなやかで強いわたしで
また進みはじめる


辞書を引いたら、思ったよりも少しだけ
ネガティブなニュアンスでした

たゆたう
ゆらゆら揺れ動いて定まらない。「波間小舟が—・う」
気持ち定まらずためらう。心を決めかねる
強悪非道曲物(くせもの)も女と見て少し—・う内に」〈鉄腸花間鶯

デジタル大辞泉

だけど好きなんです、「たゆたう」
美しくって。

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