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解き放つ、あるく、うたう

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表現して生きていきたい。
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記事一覧

桜でさえ

桜でさえ 桜でさえ、 花が散ればちりちりと 少し わびしくなって 写真に収めはしない 写真…

山本麻莉
1か月前
11

わたしという庭

わたしという名の庭が生まれた時 抱えきれない たくさんの種をもらった サクラソウ、スミレ…

山本麻莉
3か月前
15

”Untitled”

まだ 何者でもないわたしたちは 夢を見ている ひそひそ話し声がする 移動教室の隅っこ 忘れ…

山本麻莉
3か月前
13

春に目を覚ます

寝室の窓から射し込む 朝陽が 柔らかい 外はまだ空気が ひんやり肌を刺す かもしれなくても …

山本麻莉
4か月前
3

淡々と

淡々と たんたんと 流れていけばいいのだと思う どこにたどり着くのか 考えて 狭めることなく…

山本麻莉
5か月前
4

エモいって何だろう ~言葉と感情の「あいだ」を満たすもの~

ここ半年ほどで、自分で書いた文章表現に対して、とてもありがたいことに「エモい」という言葉…

山本麻莉
6か月前
5

ようやく「母親」を 脱げるようになった

あと数日で、娘が10歳になる それはつまり 私が母親になって、10年経つ。 長いこと、「わたし=母親という存在」だった気がする 好きだったものも 趣味も ひとりで過ごして、生き返るための時間も 会いに行ける友達も ぜんぶ一旦なくした。 「母親という存在」で上書きされた とにかく必死で 他のやり方を知らなかったから 何年もかけて、 わたしは「母親という役割を持っている、わたし」に 戻ってきたんだと思う。 本体は「わたし」だ そして「母親」を、必要ない時には 自由

湘南新宿ラインは闇を切り裂いて

八月が終わっていく。 この夏はずっと、この曲と過ごしていました 固有名詞が差し込まれるの…

山本麻莉
9か月前

私の中の、へっぽこさを愛す。

へっぽこ。という言葉を、もう一度愛そうと思った そして、私の中のへっぽこさを。 「技芸・…

山本麻莉
9か月前
2

水とともに生きる

昔から水のある場所が好きでなぜか心が落ち着く。 その気配を感じたくて、 部屋にも美術展の…

山本麻莉
9か月前
2

盆栽は、されど自由に枝を伸ばす

「選ぶとは、もう片方を捨てるということ」 10代のわたしに、母は何度も言った 結婚相手だっ…

山本麻莉
9か月前
6

短歌ってやつは

短編映画を無理やりに 三十一文字に詰め込むから 圧縮したzipファイルを解凍 あるいは 暗号化…

山本麻莉
9か月前
2

祈るように 書く

「さっき、人生が動き始めたかもしれない」 その時の感情の揺れを 過程で見つけた、今だけの…

山本麻莉
9か月前
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それでも、わたしは無駄を愛している

台風が近づいてきて外出もままならない。 一日中家に閉じこもっていたら 頭の中まで飽和しそうだ 歩きたい。 外の空気を吸いたい 気のむくままに足を運びたい 雨のまだあがらない夕暮れ 近所のスーパーまで行くことにした ティッシュペーパーが切れていたから。 そんなのを口実にして 無駄を愛しているのだ ふだんなら自転車であっという間に行く距離を わざわざ傘をさしてテクテク歩いていく サンダルを濡らしながらゆく ネットスーパーなら指先で終わる買い物を ひとつひとつ店の中を歩き回