てのひら

今日気がついたのだが、最近私は忘れたことを思い出すときに、右手を半ばかざしているようだ。
料理をダイニングに運ぶとき、冷蔵庫から何かを取り出すとき等、思いだすよすがにその仕草をしてる気がする。

ある夜半。
目を開けても、何も見えなかった。
常夜灯は点いてるはずなのに。
どういうこと?
と右手をちょっと上げたら


常夜灯下の夜半の室内が目に飛び込んできた。


ぞっとして、


おそるおそるてのひらを自分に向けたら


自分が見えた。


何のことはない。


私の視力はいつの間にか


てのひらに移っていたのだ。

それでも地球は回っている