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「ナツイチ」から気になった本を読んでみる!

本好きの夏の楽しみといえば、大手出版社による夏の文庫フェアではないでしょうか?集英社文庫(ナツイチ)とKADOKAWA(カドブン夏推し)のフェアが6月中旬より始まったので、早速本屋へ行ってラインナップをチェックしてきました。

各社1冊ずつラインナップから気になった本を購入してみたのですが、今回はナツイチより三田誠広さんの『いちご同盟』を読んだのでその感想です。青春小説が好きなのもありますが、何よりもタイトルの「いちご」が気になってこの作品を選んでみました!

『いちご同盟』感想

小学生が自殺したという不穏な出来事が身近であり、「死」に疑問を抱いていた良一。彼は同級生の徹也をきっかけに、直美という難病を抱えた少女と知り合います。大切なものを失いながらも懸命に生きる直美に恋をし、生きる理由を見つけていく良一の心の変化が味わえる非常に美しい物語でした。

今から30年以上も前の作品ではありますが、「生と死」という今作の大きなテーマは最近の青春小説にも通じるところがあり、読んでいて不思議と古臭さを感じられませんでした。

良一のように進路に悩んだり、そのことで周りの大人とぶつかってしまったりといった経験は、多くの人にもあるのではないでしょうか。
作中で描かれている良一の状況と、読者の経験が重なって読めるところも今作を古臭く感じない要素のひとつなのかな、と私は思いました。

また描写もとても綺麗で、読んでいると作中のシーンや言葉のひとつひとつが深く心に刻まれていきました。中でもラストの直美の死の瞬間を描いたシーンは圧巻でした。言葉でありとあらゆる場面・感情を伝える「小説」ってやっぱりいいな、と改めて思いました。

ちなみにタイトルの「いちご」ですが、食べ物のいちごとはまったく関係なかったです。でも作品においてとても重要なシーンで「いちご」という言葉が活かされており、読後にタイトルを見るとまた新たな感動が生まれていくようでした。

直美との淡い恋と切なすぎる別れを経験し、良一が得たものはたくさんあったと思います。特に徹也と結んだ「同盟」は、これからも長く続いていくと予感します。恋と友情と、将来への不安。今作には「青春」のすべてが詰まっていました。宝物にしたい瞬間が盛りだくさんの作品で、これからも読み返したいと思えた1冊でした!

(インスタに投稿した今作の感想も貼っておきます!)

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今の売れ筋の作品だけでなく、心に残るロングセラーとも出会いやすいところも夏の文庫キャンペーンのいい点ですね。

今年もナツイチはもちろん、KADOKAWAと今日明日あたりで始まる新潮文庫の夏のフェアも、自分なりに気になる作品を楽しめたらいいなと思います!

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