【日記】20240317

林家つる子さんの真打ち昇進披露宴や、森山直太朗さんの20thライブなど晴れやかで大きなイベントに行く機会の多い週だった。彼らパフォーマーの集大成のようなものだ。

「どんな作品を書きたいですか?」
こういう質問をいただくことがたまにある。実際的な場だと、ジャンルだとかログラインだとか、いわゆる「作品のアイデア」の部分を答える場合もあるのだけれど、もっと抽象的で大きな目標を尋ねられている場合もある。

「いい作品が書きたい」
「面白い小説を書きたい」
「売れる商品を作りたい」

どれもこれも手に入れたい。強欲なので。これは追い求めても追い求めても、遠くに去っていってしまう幻の楼閣みたいな目標だ。
さて、別口でよく目にする表現というのがあって、

「読んだ人が元気になるものを書きたい」
「希望を与えられるようなものを書きたい」

なかなかに傲慢な目標だ。もちろん、「そうなったらいいな」と祈るような気持ちはあるけれど、書くことの目標が他人に何かしらの影響を与えることというのは、やっぱり傲慢なのだと思う。これは自戒として。

そんな風に考えているのだけれど、森山直太朗さんのライブから帰宅したときに、ふと思い立ってシンクに溜まった洗い物をして、ちょっとした水回りの掃除をした。風呂にお湯が溜まるのを待っている間にした、ちょっとした行動だけれど、すっきりサッパリしたキッチンはやっぱり嬉しいものだった。

「読み終わった人が、溜まってる洗い物をやっちゃおうかなと思う小説」

他人様を元気にしたいだのという、心のどこかにある傲慢な願いをちょっとだけ具体的にすることが許されるのならば、そういう作品を書ける作家になれたらいいなと思った。