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【タブー】日本の小売業とメーカーを食い潰すリテールメディアの危険性

はじめに
 リテールメディアとは、小売業が保有する販売チャネル(店頭・公式ウェブサイト・アプリ等)を活用したマーケティングの手段であり、近年急速に成長している分野です。小売業は自身のチャネルを広告媒体として活用し、メーカーに宣伝の機会を提供することで収益を上げています。日本でも、消費者とのタッチポイントを多く持つ小売業者のリテールメディアへの需要が高まっています。

広告代理店による搾取の現状
 しかし、小売業とメーカーの間に入る広告代理店が、独自の価格設定と高額な手数料を課すことで、両者の利益を搾取しているケースが後を絶ちません。広告代理店は、独自のアドネットワークを開発&駆使し、リテールメディアの配信価格を決定していますが、その過程は不透明なブラックボックスとなっています。さらに、売上高に対して20%以上の手数料や、本来の広告単価の100倍以上を課すケースも珍しくありません。

 こうした状況は、小売業の収益機会を制限し、メーカーのマーケティング費用の増大を招いています。一方的な価格決定と過剰な手数料は、両者の利益を著しく損なっているのです。

影響について
 この状況が長期化すれば、小売業とメーカーの収益性に深刻なダメージを与えかねません。また、広告代理店の介入は、リテールメディア市場での公正な競争を阻害し、新たなイノベーションを抑制する可能性もあります。消費者にとっても、本来受けられるはずの恩恵が制限されてしまいます。

 さらに、不透明な取引は、小売業やメーカーのブランド価値や信頼を損ねる恐れもあります。企業の透明性が損なわれれば、消費者からの支持を失う可能性が高まります。さらにコントロールをする側である広告代理店に店頭や商品への理解がない場合、更に散々たる状況になると予想します。

業界の反応は?
 前述の通り、リテールメディアは大きな可能性を秘めた分野ですが、現状では広告代理店による支配と不透明性が大きな課題となっています。まず、小売業者にとって、広告代理店が取引の窓口となり、レベニューシェアの内訳やキャンペーンごとの配当金額が不明瞭になっています。小売チャネルを提供する立場でありながら、適正な収益を得られていない実態があるのです。

 一方、メーカー側も代理店の一方的な価格設定に従わざるを得ず、マーケティング費用の大幅な増加に見舞われています。しかし、費用対効果が不透明なため、リテールメディアの実効性について疑問視する声も大きくなっています。

 このように、広告代理店の介在により、透明性と公平性が損なわれている現状があります。小売業者、メーカーの双方から、不信感が高まれば、リテールメディアの未来そのものが危ぶまれかねません。



結論として
 リテールメディアは、メーカーと消費者をつなぐ重要なチャネルですが、その健全な育成には、公正な取り決めと透明性の高い取引環境が必要不可欠です。広告代理店は、小売業とメーカーの利益を不当に搾取する現行の慣行を改め、両者の適正な収益と消費者の利益を守る姿勢に転換すべきです。これは業界全体が取り組むべき課題であり、テクノロジーと自主規制、そして政策的なアプローチを組み合わせた総合的な対策が求められています。リテールメディアの持続的な発展のため、いま私たちに求められているのは、問題の本質を見抜き、解決に向けて果敢に行動を起こすことです。

あとがき
 筆者は、2010年よりビッグデータを活用したデータドリブンコンサルに従事しており、リテールメディアのコンサルや開発を担当させて頂いております。現状の日本企業によるリテールメディア施策は単なる横文字の流行による副産物でしかなく、大して意味のないサービスで成り立っているのが現状です。願わくば、この記事が小売業やメーカーの方々の目に止まり、解決に向けた行動を起こすための火種になることを祈っております。

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