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かえるを投げつけたお姫様

先日とても信頼しているセラピストさんが面白い文章を送ってくれました。

文教大学名誉教授の土沼雅子さんが書かれた「カエルの王さま」のユング心理学的解釈という論文です。
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3491355_po_h2610.pdf?contentNo=1&alternativeNo=

グリム童話の有名な「カエルの王さま」についてのお姫様の行動についての怒りの解釈について書かれていました。

「美女と野獣」に代表される動物花婿物語は「ノロウェイの黒い雄牛」「太陽の東と月の西」「魔法にかけられた豚」その他多いが、そのほとんどの物語においては、お姫さまが、動物にキスをしたり、愛情を示したり、求婚することによって動物の魔法がとけるものである。しかし、「カエルの王さま」においては、女性の怒り、それも激怒といえる激しい怒りによって、魔法が解けるのである。この点についての、明確な解釈が、なされてはいない。(上記論文より引用)

「カエルの王さま」は、まりを泉に落としたお姫様が泉のかえるにまりを返してもらう代わりにかえるを城に招き入れ、一緒にご飯を食べたりベッドに一緒に寝る約束をしてしまったという話です。

一緒に寝る段階になってどうしてもそれが嫌なお姫様は怒りからそのかえるをつかんで投げてつけて壁にぶつけるのですが、ちょっとネットで調べてみたら、そういう展開ではなくて、「じゃあその代わりに私にキスをしてください。」とかえるが言ってキスしたところ王子様に代わるようなストーリーの改ざんをしてある絵本や動画がたくさん出てきました。

世論を配慮してかそのシーンが版によって変わっていったことを書いてあるリンクを張っておきます。

このお姫様の怒りが王子の魔法を解くという意図はとても大事なことなんですが、どんな時代にももともとの意図よりも忖度によって意図が捻じ曲げられるようなことがあるのだなと思いました。

僕は「怒ってはいけない」という自制心が強くあまり怒りを表に出すことはないのですが、こういう魔法を解くような怒りが大事なときもあるんだなとこの論文を読んで感じました。

土沼さんのこの本も面白そうなので機会があれば読んでみたいと思います。

別に怒ればいいってことではなくて怒りという形で湧き上がってくる感情をどう表現するかということが大事だと思います。

いずれにせよ、アニマとアニムスというような対立したものが、親密になり、同居する時には、きちんと対決し、意識化していう作業が必要である。それによって真の関係、個性化を作る能力を獲得することができるといえる。(上記論文より引用)

パートナーとぶつかり合うことで親密な方向へと向かっていくことがあるのは、経験上知っている方もたくさんおられると思いますが、自分の中の男性性を女性性という統合においても怒りや対立は大事だなと思いました。


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