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晴天

兵隊さん
お引っ越し
決まった

女の人たち
お赤飯
炊きはじめた

私たち
子どもら
たくさんの
旗を
つくるように
言われた

みんな
何も言わず
つくった

私も
無言で
つくった

兵隊さん
お引っ越し
する日
駅に
たくさんの人
集まった

みんな
顔に
灰色の雲
張りつけていた
兵隊さんの
晴れ晴れとした顔と
くっきり
真逆

それが
私には
なんだか
奇妙で
おかしくも
あった

けど
笑ったら
いけないと
それは
小さかった
私にも
なんとなく
理解
できた

汽車が
動き出し
みんな
旗を
振った

大きな声で
何か
言っている人
いた

泣いている人
いた
ように
思う

わたし
わけも
分からず
旗を
振り
その異様な
雰囲気の
一部を
成していた

私にとっては
奇妙な
数日間
だった

それが
私が知る
あの兵隊さんの
記憶の
すべて

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