駒の一つ
私を採用くれたディレクターが退職する。
突然のことだった。
彼は、先週水曜日に本部に呼び出され、即日合意による退職となった。それに同意しなければ、解雇の選択肢しかないのだから、受け入れざるを得ない。解雇なら、失業保険は出ない。
首切りの理由は、いくつか教えてもらったものの、ほぼ会社都合のように聞こえる。
退職日は3月末日だが、有休消費のため、先週いっぱい働いて、事実上職場を去った。
そして、昨日いつも多くの社員の尻拭いをしてきた、長年勤務しているNo.2の上司が倒れた。医師による書類を提出しての、2週間の労働停止だ。
いつかこんな日が来るだろうと、彼女の健康状態を気にしていた。心配だけれど、こういうことにならないと、彼女は自分を犠牲にして、長時間労働を続けただろう。ゆっくり休んでもらいたい。
こんなことがあって、よく言われることだけれど、企業にとって、社員なんて、やはり駒の一つに過ぎないのだと再認識した。私など、その最たるもの。そういうこと。
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