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【声劇台本】SAKURA AWAKE



SAKURA AWAKE(サクラ アウェイク)

無機質な部屋で目覚めた白髪の青年
彼には記憶がなかった
隣に居た少女「ケア」は、彼の事を「桜花(おうか)」と呼び
記憶を戻す手伝いをすると言う

「迅雷の最適解」シリーズ作品
男1:女1
男性役は女性がやっても可
ストーリー展開・雰囲気が崩れない程度のアドリブ・言い換えは可
良かったらどうぞ


キャラクター


・桜花(おうか)
 男

童顔白髪の青年
目覚めた時は、白い無機質な部屋にいた
記憶がないせいで、戸惑う事が多く、ケアによく質問をする
一人称は僕

・ケア  女

目覚めた桜花の隣に居た少女
彼の手伝いをすることが目的
人間味が少ない、淡白な喋り方をする

ヒデじい様の台本投稿置き場にも置いてあります


シナリオ本文

桜花:(白い天井は、一番に見えた)
 
桜花:(ただ目を開けただけ、何も知らないまま)
 
桜花:……ここは?
 
ケア:お目覚めですか、桜花様
 
桜花:……え?
 
ケア:おはようございます
 
桜花:お、おはよう。……ちょっと待って
 
ケア:なんでしょう?
 
桜花:軽く挨拶してるけどさ、君は誰?
 
ケア:私の名は「ケア」です。桜花様
 
桜花:……桜花(おうか)?
 
ケア:桜に花と書いて、桜花です
 
桜花:それは、僕の名前?
 
ケア:はい、あなた様に与えれらた名前です
 
桜花:与えられた……? 本名じゃないの? ……あと、ここは?
 
ケア:桜花様の寝室です
 
桜花:寝室? こんなに機械っぽい部屋が?
 
桜花:ええと……ううん、ごめん
 
ケア:謝られることは、何も
 
桜花:いや、そういう意味じゃなくて……その、全然ついていけないんだ
 
ケア:ついていけないとは?
 
桜花:この状況にだよ。起きたら知らない部屋なんだし、知らない人が隣にいるし、これですぐ整理できる人はいないよ
 
ケア:……やはり、記憶の損失が大きくあるようです
 
桜花:記憶?
 
ケア:結論から申し上げますと、桜花様は、記憶を失っております
 
桜花:そう……なんだ。ていうかその「様」ってのは?
 
ケア:はい?
 
桜花:様呼びってことは……僕は何か、位の高い人なのかな、って
 
ケア:私から見れば、そうですね
 
ケア:貴方様は、造られた存在ですので
 
桜花:……造られた、存在? 僕が
 
ケア:はい
 
桜花:……次から次へと、色んな話が出てくるなぁ
 
ケア:一度、紅茶を飲まれますか?
 
桜花:紅茶、あるの?
 
ケア:はい
 
ケア:マスターが……「私を造ってくれたお方が」好んで飲んでいたものがありますので
 
桜花:君も、造られたの
 
ケア:はい。桜花様と同じです
 
桜花:……
 
桜花:(その後、ケアは僕を寝室から別の場所へ案内した)
 
桜花:(次の部屋も、無機質な部屋。真ん中にはテーブル席があった)
 
ケア:こちらでお待ちください
 
桜花:(しばらくして、ケアは別の部屋から、小さなティーカップを持ってくる。慣れたような手つきで、僕の目の前に置いた)
 
桜花:ありがとう
 
ケア:それでは、お話の続きを……
 
桜花:あれ? 君のは?
 
ケア:私は、要らないので
 
桜花:要らないの?
 
ケア:特段、私は紅茶を飲まなくても、アンドロイドですから、死ぬことはありません
 
桜花:ん? アンド、ロイド? ……機械ってこと?
 
ケア:はい
 
桜花:そんな風には、見えないな……
 
ケア:今の技術では、外見は人間と変わりないレベルにすることは可能です
 
桜花:君は、アンドロイドとして造られたの?
 
ケア:おっしゃる通りです
 
桜花:じゃあ、僕も造られたんだから、僕もアンドロイド?
 
ケア:桜花様は違います
 
桜花:僕は、違うんだ?
 
ケア:桜花様は、マスターの言葉を借りると……生命体という言葉が近いです
 
桜花:生命体って……人間じゃないみたい
 
ケア:特別な力を持った、人間といえばいいでしょうか
 
桜花:超能力ってこと?
 
ケア:そうですね
 
桜花:……ふうん
 
桜花:じゃあ僕は、ここで、その……実験みたいなのを受けてたとか? 能力の
 
ケア:実際は、桜花様は眠った状態で、調整をされておりました
 
桜花:調整!?
 
ケア:マスターはあの部屋に入って、桜花様の容態などをチェックされていました。毎日
 
桜花:へぇ……そんなに。よほど、大切だったのかな
 
ケア:はい。最高傑作と、よく呼んでおられました
 
桜花:は、はは。そうなんだ……
 
0:しばらくの間
 
桜花:……あの、こんなことをいきなり聞くのもどうかだけど
 
ケア:なんでしょうか
 
桜花:ケアは、僕に何をさせたいの?
 
桜花:僕が造られた存在なのは分かったけど、なんで造られたのか分かんないし
 
桜花:ケアはその理由を知っているんでしょ?
 
ケア:一つ、言えるとすれば、戦闘をするため、と
 
桜花:兵器、ってことかな
 
ケア:言葉としては、近いです
 
ケア:……別の部屋に、マスターの資料が残っております
 
桜花:資料?
 
ケア:あちらの部屋です。……その前に、紅茶は飲まれましたか? 片付けておきます
 
桜花:ああ、ありがとう
 
桜花:そうだ。……紅茶、美味しかったよ
 
ケア:……ありがとうございます
 
ケア:それでは、こちらへ
 
桜花:(ケアはそう言って、僕をまた別の部屋へ連れてきた)
 
桜花:(今度は少し広い部屋だ。部屋の作りやデザインに変わりないけど、奥のほうにぽつんと机があった。でもその机の上を見ると、乱雑に散らかっているのが見えた)
 
ケア:マスターの使われていた資料です。ご覧になりますか?
 
桜花:いいの?
 
ケア:もう、おられませんので
 
桜花:帰ってこないの?
 
ケア:いえ。既に死亡したものと思われます
 
桜花:えっ……?
 
ケア:なので、マスターは帰ってこられません
 
桜花:そうなんだ……
 
ケア:どうされますか?
 
桜花:ああ、うん。見てみるよ
 
桜花:えーっと……色々あるな……
 
桜花:……「髪の色や瞳の色を覗けばオリジナルと差異はなし。クローン体に直接、樹液を混ぜる実験は初の試みであったが、数々の開発個体の中でも、より強力な存在になる可能性が高い……」
 
桜花:……なんか、いろいろ書いてあるけど、これって僕の事?
 
ケア:はい
 
桜花:はは、はっきり言うんだね……
 
桜花:えっと、これ、クローン体ってあるけど。僕は誰かのクローンなの?
 
ケア:はい。桜花様のモデルになった人物がいます
 
桜花:そのクローンって、誰?
 
ケア:それに関してですが。次の部屋で、桜花様の記憶を取り戻す装置がありますゆえ、その時に、わかるかと
 
桜花:装置?
 
ケア:マスターが造られた装置です
 
桜花:へぇ……じゃあそれも、僕の為に?
 
ケア:はい
 
桜花:……まぁ、いきなりあなたはどこの誰ですって言われても、ピンとこないしな……そういう装置を使った方が、早いのか……
 
桜花:はぁ……考えれば考えるほど、疑問ばっかり浮かんでくる……
 
桜花:とりあえず……僕は、記憶を取り戻す必要があるんだね?
 
ケア:はい。それは、桜花様にとっても大事なものです
 
桜花:……そしたら、その記憶を取り戻す手伝い、してもらっていい?
 
ケア:承知しました。……では、こちらへ
 
桜花:(ケアは僕を、別の部屋へと案内する)
 
桜花:(今度は、更に広く、中央の床には、光の線が、円をえがくようにいくつも走っていて。上を見ると、巨大な円柱のようなものがあった。おそらく、あれが記憶を取り戻す装置なんだろう)
 
桜花:ここに立てばいいのかな?
 
ケア:はい。理解が早くて助かります
 
ケア:……それでは、これから桜花様には、オリジナル体の記憶から再現された「イメージ空間」を、桜花様の周りに展開いたします
 
桜花:展開……? 部屋が変わるの?
 
ケア:いえ。この部屋自体に変わりはないですが、仮想空間のようなものだと思ってくださいませ
 
桜花:分かった
 
桜花:っ? あそこにおいてあるのは?
 
ケア:あれは、桜花様の武器です
 
桜花:僕の? あの剣が?
 
ケア:マスターが造られました
 
桜花:……そうか、戦闘のため、って言ってたもんね
 
0:しばらくの間
 
ケア:それでは、準備はよろしいですか?
 
桜花:うん
 
ケア:承知しました
 
ケア:記憶追想プログラム、起動。第一段階、開始
 
桜花:っ!
 
桜花:(その瞬間、周りの景色が光の渦につつまれる。僕はまぶしくて、目を閉じたが、しばらくしてから開けると、別の場所になっていた
 
桜花:……ここは? 丘? 森、かな?
 
桜花:夕方、か
 
桜花:でも、あの部屋なんだよな……
 
桜花:……ん? あそこに、誰か、いる?
 
桜花:(僕の視線の先には、少女が居た。少女は軽い足取りで歩いていた。僕は、その子に呼びかける)
 
桜花:ねぇ、君……
 
少女:遅いよー! ハル!
 
桜花:っ……ハ、ル……!
 
桜花:(そう呼ばれた瞬間、頭の中で急に、電気が走るように記憶がよみがえってきた)
 
桜花:……そうか……そうだ
 
桜花:……なんで忘れてたんだろう
 
桜花:君の軽い足取りは、いつだって見ていたじゃないか
 
桜花:「ヒナミ」
 
少女:ハル? 
 
桜花:今日も、丘に行くの?
 
少女:うん。だって「飛んで」みたいし
 
桜花:……村の人に見られたら、大変だよ
 
少女:でも、ハルがいるから、大丈夫
 
桜花:……そうだね。そうだった
 
桜花:例え、村の人が、ヒナミの敵になっても
 
桜花:僕はヒナミをまもる
 
桜花:ずっと前から決めていたから
 
少女:……ありがとう、ハル
 
桜花:君が、「白い大樹」……昔、世界を滅ぼした大樹の血を持っているのは知ってる
 
少女:そう、私は言い伝えで聞いただけなんだけどね
 
少女:昔に存在していた「白い大樹」は、元は一人の人間。それが大樹になって、毒を撒いて、世界を壊しちゃった
 
少女:私は、その一族の末裔(まつえい)
 
少女:……ハルは、私が化け物でも、平気?
 
桜花:何回言わせるんだよ。ヒナミが化け物だろうと関係ない
 
桜花:僕は、君を守ると、ずっと決めている
 
桜花:それだけなんかじゃない
 
桜花:もし君が「白い大樹」になったとしても、必ず、必ず君を戻す方法を見つけて、助ける
 
桜花:絶対に、助ける
 
桜花:君は誰にも、殺させはしない
 
少女:……!
 
少女:ありがとう、ハル
 
少女:……あ、そうだ。最近、綺麗な花が咲いたの
 
桜花:へぇ、そうなんだ?
 
少女:ぽつんと伸びた木でね、この辺りで咲くのは珍しいって言われてる
 
桜花:なんて花?
 
少女:桜っていう名前、前に村の人に教えてもらったんだ
 
少女:小さなピンクの花弁だけど、遠くから見ると、その桜の花がまとまった木が……とても綺麗なんだ
 
少女:あ、ほら! あれ!
 
桜花:……。本当だ
 
桜花:……綺麗だよ、とても
 
0:
 
ケア:第一段階、終了
 
桜花:っ!
 
ケア:お疲れさまです
 
桜花:……ありがとう、ケア
 
桜花:大事なことを思い出したよ
 
ケア:無事に、第一段階は、成功したようですね
 
桜花:第一段階。
 
ケア:はい。もう一つだけ、あります
 
桜花:……その前に、少し疲れた
 
桜花:またさっきの紅茶、もらってもいい?
 
ケア:承知しました
 
0:
 
ケア:どうぞ
 
桜花:ありがとう
 
桜花:……うん。美味しいな、これ
 
ケア:マスターお気に入りの、紅茶です
 
桜花:はは。好きなものが合いそう
 
ケア:その話をすればきっと、マスターも喜ばれます
 
桜花:そうかな? 
 
ケア:ええ、おそらくですが
 
桜花:まぁ、今は、居ないんだもんね……
 
桜花:……ヒナミにも、飲ませてあげたいな
 
ケア:……
 
桜花:きっと美味しいって思ってくれる
 
桜花:……ねぇ、ケア
 
ケア:なんでしょう?
 
桜花:……ヒナミは、何処にいるか知らない?
 
ケア:……申し訳ございませんが
 
桜花:あ、ううん、いいんだ
 
桜花:その、マスターって人が、僕を造ったのも
 
桜花:きっと……元の僕が死んでしまったからなんだよね
 
桜花:だったらわざわざクローン体なんて造らないし
 
ケア:……
 
桜花:もしかしたらマスターも、ヒナミを知ってる人で
 
桜花:僕に、ヒナミを助けるように……体が変わっても、そうするように、造ってくれたのかなぁとか、考えちゃって
 
桜花:都合がいいかもしれないけど
 
桜花:マスターには感謝してるよ
 
桜花:……そしたら、次の段階
 
桜花:頼んでもいいかな
 
ケア:承知、しました
 
0:
 
ケア:……準備はよろしいですか?
 
桜花:うん
 
桜花:(ケアは、自分のことをずっとアンドロイドと言っている。それは事実なんだろうけど、でも、紅茶を出してくれたり、時折見せる表情は、どこか人間のよう。最後に見せた切ないような顔も、人間らしくて)
 
ケア:記憶追想プログラム。第2段階、開始
 
0:
 
桜花:……ここは?
 
0:-
 
桜花:(たくさんの瓦礫に、崩壊したビル。さっきの景色とはまるっきり違うところに来ていた。僕は、その中を進んでいく)
 
桜花:……あそこにいるのは? 誰だ?
 
0:-
 
桜花:(金色の髪に、一振りの剣、機械出てきた体。後姿は全く見たことのない人と思ったが、顔を見た瞬間、僕は驚きを隠せなかった)
 
桜花:……あれは、僕?
 
桜花:……ねぇ! 君!
 
0:-
 
桜花:(僕は呼びかけるが、青年は応えない)
 
桜花:(僕は、彼の後を追った)
 
0:-
 
桜花:この空間は、僕の記憶で出てきている……オリジナルの
 
桜花:……でも、なんであんな姿に?
 
桜花:っ!? あれは!?
 
桜花:なんだ、あの巨大な樹は……!? 
 
桜花:……待てよ。あの幹の中
 
桜花:(巨大な樹が、僕の前に現れる。ただ、その中央に大きく咲いている花のようなものがある。さらに、その花の中心には)
 
桜花:……まさか。……ヒナミ!?
 
桜花:そんな……嘘だろ? 大樹になってしまったのか!?
 
0:桜花は、自分に似た青年に声をかけた
 
桜花:……おい! 聞こえてるのか!
 
桜花:君は、僕なんだろ!?
 
桜花:今こそ、助ける時だ! ヒナミを救う時だ
 
桜花:なんでそんな体になったのか分からない!
 
桜花:でも……君は、君の持ってるその剣は、きっとヒナミを助けるためにあるんだろ!?
 
桜花:なぁ!
 
0:-
 
桜花:(しかし、その青年は、考えられない表情をしていた)
 
0:-
 
桜花:……え?
 
桜花:なんで、笑ってるんだ?
 
桜花:おい……おい!
 
0:-
 
桜花:(もう一人の僕は、笑う。笑って、剣を握る)
 
桜花:(剣に、段々と電気が纏われ、どんどんと大きくなっていく)
 
桜花:(何が起こっているかはわからない。でもはっきりとした悪い予感が、僕の脳裏をかすめていた)
 
桜花:(まさか、あの剣で、ヒナミを斬るんじゃ……)
 
0:-
 
桜花:何やってるんだよ……! 辞めろ! 
 
桜花:辞めろおおおおおおおお!!!
 
0:しばらくの間
 
桜花:ぁ……ぁぁ……
 
桜花:嘘だ……ヒナミ、そんな、そんな……!
 
桜花:待って、消えないで、ヒナミ! 嫌だ! 嫌だ!!
 
桜花:ぁ、ぁぁ……ぁぁぁああああ!
 
桜花:……
 
桜花:……ふざけるなよ
 
桜花:……何やってんだよ、お前
 
桜花:この、人殺しがああああああああああああ!!!
 
0:
 
桜花:殺してやる、殺してやる!!
 
桜花:あ、ああああああ……ぁぁ!
 
ケア:っ……かはっ……!
 
桜花:っ!?
 
桜花:ケ……ケア?
 
桜花:(ケアの声で、現実に戻ってきた)
 
桜花:(でも僕は、知らない間に、剣を握って、ケアを刺していた)
 
ケア:記憶追想プログラム……完了
 
ケア:オリジナルの……神器も……正常に稼働……
 
ケア:お疲れ……さまでした……桜花、様……
 
桜花:……っ!
 
ケア:あなたの……赴くままに……
 
桜花:……ケア?
 
桜花:死んだ、のか?
 
桜花:……いや、アンドロイドに、死ぬなんてないか
 
桜花:……はは
 
桜花:……あいつも、機械だったな
 
桜花:人殺しの機械になったのか? お前は?
 
桜花:……あいつは、僕なんかじゃない
 
桜花:あのイカれた機械は……僕が必ず……
 
桜花:壊してやるよ
 
 
 
 
 
 
 
 

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