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新しい扉

タニヤ・タッカーという歌手の”ハロー・ミスター・サンシャイン”という曲をご存知でしょうか。
1976年に味の素ゼネラル・フーズのコーヒー「マックスウェル」のTVCMに使われていて、日本のみの配信だった曲です。
当時の流行りのカントリー風のミディアムバラードで、まだ小学生だった僕には、憧れのアメリカっぽい曲だと思ってたし、実際にシングル盤を買って何度も聴いたものでした。

この曲のソングライターのクレジットは、ミック・スチュワート。
憧れの洋楽の戸口を叩いた頃の普通のアメリカン・ミュージックだと信じて聴いていたのです。

しかし!
大人になった僕は信じられない事実を知ることに。
ミック・スチュワートは実はムッシュかまやつだったという、子供の僕が純真に憧れた洋楽への扉を叩いた貴重な想いを踏みにじる事実に。w
子供だった僕には、日本だけの発売とかそのソングライターの適当な感じの名前の怪しさを勘ぐる術もなく、ただただ素敵な洋楽だと信じて疑っていなかったのです。w

実はこの曲、日本人が日本のCMのために、アメリカからシンガーを連れてきてアメリカンな感じで売り出した商業ミュージックという素性で、それはそれでタニヤ・タッカーの黒歴史らしく、本国のプロフィールには記載さえされてないそうで。笑

「そういうことなんだ。世の中は。」

そう思った一つのエピソードでした。w
悔しいので、意外といい曲だぜ?ムッシュありがとね、な感じで僕のiPhoneにはちゃんと入ってて、東海道線で今でも聴いておるのですがね。

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世の中にはしくみというものがあって。
多くの世界でその仕組みはうまく稼働してて、そこから生み出されるものを僕らは仕組みとも知らされず享受してるわけです。
それは単純に僕らの幸せや心地よさに直結していることは実はとても多くてね。
そういう手練手管を経験値と統計学によって生み出されるのが商業的なコマーシャリズムというものなのです。
僕らは芸術や情熱にまで昇華されてきたその手練手管のおかげで、心に残るCMやイベントに出会えたわけなんですよね。
でも、最近のCMやイベントに関わるかつての手練手管衆が、ただの慣習集団や自己満足倶楽部に落ちた感はどうしても否めない。
先のマックスウェルの時みたいに、まだ試行錯誤の繰り返しが行われてた時代に、時代の縛りとともに知恵を絞って生み出そうとしてたパッションは、間違いなく今の慣習や惰性や無努力の感性とは違う世界観を生み出していたと感じるのです。
これは「昔は良かったな」というノスタルジーではありません。
長年培って育んできた経験値や統計学の限界がやってきているということなんだと思うのですね。

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新しい時代は間違いなくやってきています。
新しい感性はそれまでの統計学を凌駕して羽ばたき始めていますし、その破壊力は共感や否定を超えて凄まじいものがあります。
それまでの慣習に縛られた世界へのレジスタンスもなく、自由な感性に従って全く別の扉を開いて、その障壁をいとも簡単に乗り越えてくる感覚です。

しかし、そういう新しい感性が生まれ露出していることは事実ですが、反面、新しい人たちの体たらくも感じるわけです。
慣習側に入った新しい人たちが努力もせず、垂れ流される慣習の中で、どこかで見たような自己満足な世界観しか維持しない感じが溢れているとも感じるのですね。

僕ら古い人間はどちらの良さも知ってはいます。
でも、やっぱり慣習が生み出される過程に心躍らせていたわけでね。
今の古い価値観で動く世界はもう「悪」でしかないわけなんです。

だからこそ、新しい感性を楽しみにしたいと思うのです。
古くて心地いいことも大切にしながら、クリエイティブの可能性をまた信じさせてくれる新しい感性も楽しみたいと思うのですね。

応援したいと思います。w
新しい扉を開き、新しい世界に踏み出そうという人たちを。




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