見出し画像

叔父へのカミングアウト

お前、もしかしたら
性同一性障害じゃないのか?


親戚一のキレ者の叔父は、
ストレートにそうきいてきた。


この記事では、
戸籍訂正済トランスジェンダーの僕が
実際に行ったカミングアウトの実話を書いていきます。

今回は、「叔父さん」編です。

▼LGBTQの用語はこちらで解説しています


▼叔父さんについて

僕の父は、4人兄弟の長男だ。

ここでは、以下のような仮称で呼ぶことにする。

◆長男(父):一郎
◆二男(おじ):二郎
◆三男(おじ):三郎・・・今回のキーマン
◆長女(おば):竹子
◇二郎おじさんの妻:松子
◇三郎おじさんの妻:梅子
◇三郎おじさんの長男:直太朗
◇三郎おじさんのニ男:星次朗


今回の記事で書くのは

【三郎おじさん】

へのカミングアウトについてのものである。


三郎おじさんは、
地元で冠婚葬祭の事業を営んでいる実業家で、

おじさんの同級生には国会議員もいるし
おじさんの長男である直太朗や、
ニ男の星次朗の結婚式には
なぜか有名な国会議員も参列していた。

交友関係が謎に広い三郎おじさんだが、
それだけ敏腕経営者であり、
キレものなのである。


▼祖父について

僕の祖父は、政治家だった。

地元では権力者的な家系で、
いろんな人が出入りしていた。

僕が幼少期には
父・一郎は地元を離れていたけど、
僕が中学生くらいのときに、
大き目の選挙があったので
ちょこちょこ帰省したりしていた。

しかし、僕が16歳のときに、
父・一郎が二回目の離婚をして、
僕は父ではなく、
育ての母のほうについていった。

なので、
父方の親戚とは12年以上、
疎遠になっていたし
僕も生まれた土地を
「ふるさと」とか
「実家」という気持ちになれずに、
心が離れていた。

もちろん、
三郎おじさんだけではなく、
親戚たちとは、
まったく交流がなかったのだが、

あるとき、
転機が訪れた。


▼故郷とのかかわりの転機

祖父にいよいよお迎えがきそうだ、
という連絡をうけて、

生きている間に顔を見ておきたい!

そう思って、
当時、昼夜働いていた僕は、
朝まで働いたあと
そのまま羽田空港に向かって、
日帰りでのお見舞いを
決行することにした。

そのときの僕はというと、
既にホルモン治療をして、
改名をし、
ちょうど胸をとる手術を終えていたので、
だいぶ見た目は変わっていた。

祖父の周りには、
祖母も父も三郎おじさんもいた。

祖父は
何かを察したのか、
いつも見せない笑顔を僕に向けた。

父は
僕にかける言葉が見当たらなかったのか、
終始無言でいた。

そして、
祖父のお見舞いを終え、
すぐに帰りの飛行機に乗るために
空港に送ってくれた三郎おじさんは、
僕に向かってこう言った。

「お前、もしかしたら、
性同一性障害なんじゃないのか?」


あまりにストレートだよ!!(笑)

と思ったけど、僕は

「ああ、そうだよ。
今は名前も新しくしてる。」

と答えると、

やっぱりな。
俺は何年か前にテレビでみて、
お前の小さな頃の言動に当てはまっているなと
ピンときていたんだよ。
そのあと、
性同一性障害に関する本も何冊も読んでいたし、
今日のお前の姿をみて確信したよ。


そして、これからは
僕の新しい名前で呼んでくれることを
約束してくれた。

これからは●●って呼ぶね。

と。

それから半年くらい経過して、
祖父は他界した。

葬式に参列したとき、
変わり果てた僕をみて
周囲の親戚はみな驚いていたが、

三郎おじさんが
根回しをしてくれたようで、
親戚たちは、
男として生きている僕を
スムーズに迎えてくれたのだ。

16年前、
28歳の10月の出来事だった。


▼初めてのALLYの心強さ

僕にとって、
親族の中での初めてのALLYは、

三郎おじさん

である。

ALLY(アライ)とは、
LGBTQ・性的マイノリティを積極的に理解し
味方になる人のことだ。

三郎おじさんは、
まさに、

積極的に理解しようと
本を読んだりして情報を集めてくれたし、

味方になるために、
それを僕に伝えてくれて
親族に発信をして
説明をしてくれていた。


トランスジェンダーは
からだの性別と
自認している性別が一致していないので、
自認している性別に
見た目などを寄せていこうとする。

ホルモン治療をしたり、
改名したり、
手術をしていくと、
当然、
見た目などに様々な変化が起こる。

それらをおこなったタイミングで、
僕は故郷を捨てる気持ちでいた。

親族との関係も断絶していたし、

変わってしまった自分を受け入れてもらえない、

という、
先入観思い込みもあったからだ。

トランスジェンダーの中にも
一人で生きていくという
決意をする人も多くいるし
寂しさを抱えながら
生活している人もたくさんいるのだ。

しかし、
三郎おじさんという
スーパーALLYのおかげで、
僕は故郷を捨てずに済んだし、
親族との関係も
男の僕としてうまくいっている。


ALLYがいる。


ただそれだけで、
強くなれるのだ。


LGBTQの方々の中でも
家族兄弟などに
カミングアウトができなかったり、
受け入れてもらえなくて悩んでいる方も、

親族とかその周囲に
ALLYが隠れていることもあるので、
希望を捨てずに
生きていってほしいと切に願う。


▼カミングアウトシリーズ

*カミングアウトするしないについては、
個人の意思であり、
それをすることがいい悪い、
ということではありません。
また、
することを推奨する記事でもないことを、
ご理解ください.


▼スタエフでも配信しました


▼新生光の自己紹介

▼Kindle出版してます

【新生光の発信いろいろ】
☆Twitter 
https://twitter.com/ftm_hikaru
☆standFM 
https://stand.fm/channels/601415fd2b4a4592fede26ae
☆LINE公式 
https://lin.ee/n1EyGhJ

最後までお読みいただき、ありがとうございます!何かピンときた方や、何らかの形でLGBTQの支援をしたい、ALLYになりたい!けど何をしたらいいかわからないという方はぜひサポートをお願いいたします!ALLYESの活動資金とさせていただきます🌈