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辛かったカミングアウト(治療前)

カミングアウトは
いいことばかりではない

強烈な拒否感・偏見を示されたこともある。

この記事では、そんな体験を話します。


▼LGBTQの用語はこちらで解説しています


▼時代背景

僕がまだ
ホルモン治療を始めて間もないとき。
なので、
20年くらい前の話である。

ガラケーしか持っていなかった時の
僕の情報収集方法といえば、
携帯メルマガだった。

当時は、
「まぐまぐ」というメルマガ配信サイトが主流で、
パソコンアドレスあてのものと、
携帯(ガラケー)あてのものに分かれていた。

ガラケーあてのものは、
文字数が少なかったり、
情報量も限られていたけど、
トランスジェンダーの先輩たちは、
そういうところから情報発信してくれていたし、

魔法のiランド」という、
ガラケーでも簡単なホームページができる
というアプリ的なものが、
流行っていた。

流行っていたといっても、
魔法のiランドでホームページを作っていたのは、
新宿2丁目のお店の人だったり、
すごく限られていたと思うし、
個性を出すとかあまりできなかったかな。

それでも発信をすることで
何かをアピールしたいという側と、
情報が欲しいという側の
需要と供給のバランスは
まあまあよかった記憶がある。

さて、
前置きはここまでにして、
カミングアウトの話。

今回、紹介する実話は、
このガラケーユーザー向けに
メルマガを配信していた会社の社長である。

そんな時代から、
割と進んだ考え方をしている人だと思っていたし、
柔軟な発想で
たくさんの情報を取り入れている
イノベーター的な人だなと
僕には見えていた。

その会社にお世話になったきっかけも
ガラケーのメルマガだったし、

ザ・ベンチャー企業!

っていう雰囲気も好きだった。


▼カミングアウトしてみようと


当時の僕は、
まだホルモン治療を始めたばかりで、
名前も雰囲気も
女子が強めだったと思う。

ただ入社したすぐあとくらいに、
この会社の人になら、
自分を受け入れてもらえるかもしてない。

そんな感覚になって、
思い切ってカミングアウトしてみることにした。


会社の人全員に、
自分が「性同一性障害」で、
今、ホルモン治療をしていて、
埼玉医大に通っていること。

できれば、
男物のスーツを着用して
働かせてほしい。

ということを伝えた。

最初は、驚かれたりしたけど、
好意的な姿勢で受け入れてくれたように見えたし、

服装も自由だから、
何着ててもいいよ、
と寛容だったのだ。

しかし、事態は一変した。


▼本性が見えたのは

いよいよその会社の商品をリリースする!

という間際は、
てんやわんやで会社に寝泊まりをする日々だった。

そんなときに、
会社の女子社員が
俺に好意的な態度を示し始めた。

その好意というのは、
恋愛感情的な好意だ。

しかし、
その女子社員は、
社長のお気に入りの子だった。

社長は
嫉妬していたのかもしれない。


あるとき、過労が重なり、
自律神経が乱れている状態になっていたので、
少し休暇を取らせてほしい
とお願いした。

すると、社長は

「自律神経失調症?
それなら、
性同一性障害だし、
障害者手帳でももらって
暮らせばいいじゃないか!」

と、
とても悪意をもって僕に告げた。

これには社員たちも言葉が出なかったようで、
その場は水をうったような静けさになった。

社長の本性が見えてしまった瞬間だった。

優しさやねぎらいや労りの言葉ではなく、
一番の急所をめがけて
攻撃をしてきたのだ。


僕はすぐに退職して、
その環境を離れた。

すると、
うそのように体調もよくなり、
その後、転職した先の会社には、
とても恵まれた。


▼環境を変えるのも手段の一つ

自分の居心地がよくない場所で、
自分自身を傷つけながら生きるのは、
本当につらいことだ。

そんなときは、
可能ならば「環境を変える」
ということをお勧めしたい。

今回の記事に書いたように、
心の底では差別して、
さげすんだ気持ちで
僕をみていた社長のような人がいたり、

近しい人(家族も含めて)と、
折り合いが合わなかったり、
性別のことで居心地が悪かったり。

僕の人生の中にも、
本当はたくさんいた。

でも、
そのことに縛られるよりも、
自分で変えていけるところは、
変えていくように工夫をしてきた。

例えば、
転職をしたり、
引っ越しをしたり。

攻撃してくる人が
パートナーである場合なら、
お別れするのも
環境を変える方法だと思う。

環境が変わると、
最初は痛みが伴ったりするけど、
また別の喜びも待っているし、

変えられないものに
心を痛めるよりは、

どうすれば心地よく生きていけるか

そのことを考えて、
工夫していったほうが、
与えられている小さな幸せにも
目が向きやすくなるんじゃないかな。

僕はそう思うし、
そのように生きてきた。

何かのヒントになれば幸いです。

他にも、
カミングアウトした実話を書いていますので、
併せてお読みくださいね🌈


▼カミングアウトシリーズ

*カミングアウトするしないについては、
個人の意思であり、
それをすることがいい悪い、
ということではありません。
また、
することを推奨する記事でもないことを、
ご理解ください.

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