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自分的外資系で活躍する考え方

こんにちは、アレンです!外資系業界に足を踏み入れてから現在までに18年の経験を積んできました。現在はEUの医療機器メーカーでAPACのマネジャーとして働いており、今までUS、中国、オランダ、ドイツ、香港、オーストラリア、シンガポール、韓国、メキシコ、アイスランド、フランスなど様々なグローバルチームと働いてきました。これまでのキャリアを通じて、外資系企業で活躍している人々にはいくつかの共通点があると思います。今日は外資系企業で必要だと思う考え方やスキルなど、私の独断と偏見で書いていこうと思います。

英語ができる人:

外資系企業では、英語を堪能な人々が多いと一般に思われがちですが、実際には英語を使わない職種も存在します。特に、日本市場向けの営業職では商品やサービスの販売能力が英語能力よりも優先されることが多いです。しかし、外資系企業でのキャリアを積む上で英語のコミュニケーション能力はMUSTではないものの有利となります。

ここで言う有利な英語とは、文法的に正しい英語を書く、読むことではなく、自分の考えを明確に伝え、ディスカッションができるレベルのことを指します。このようなレベルの英語力があれば、本社との連携や、日本法人とグローバルチーム間の橋渡し役として活躍することが可能です。例えば、EUの医療機器の会社で日本法人の立ち上げをしたときのプロジェクトでは、システムやオペレーションの設計・導入が必要だったために日本側としての要件を集めグローバルのシステム担当者へのコミュニケーションが必要でした。当然ながら日本の商習慣をなかなか理解してくれなかったので、粘り強いディスカッションにより日本市場に合うシステムが完成しました。

外資系においては英語を完璧に話す必要はありませんが、相手に伝えようとする意志とコミュニケーションを取る姿勢が重要です。本社のスタッフも、日本人は英語がネイティブではないことを理解しており、意見をしっかりと聞いてくれることが多いので、積極的に意見やアイデアを述べることが大事だと思います。英語が苦手だとしても、コミュニケーションを取ることで自然と英語能力が向上し、グローバル担当者からは多くの情報を得ることができ、仕事がさらに面白くなるループに入ります。実際に最初は英語が出来なくてもプレゼンが出来るまで上達した人をたくさん見てきました。ぜひ英語を話す機会をたくさん作ってみてください。

アピールが上手な人:
アピールの定義は幅広いですが、ここで言うアピールとは、自分の役割や期待されていることを理解し、結果を残した上で、上長やマネジメントチームに訴えかけることを指します。例えば、プロジェクトのミーティングで発言したり、上長との1on1などで達成したことを報告したり、グローバルチームに自分自身の存在感を上げるためにアピールが必要だと思います。日本では謙虚さが美徳とされることが多いですが、(それも大事ですが)外資系企業ではアピールが必要です。ただしあくまでも「適切」にです。自慢や他人の批判ではなく、自分の考えや達成したこと、より良くするためのアイデアなどをフラットに共有することです。

USの通信会社時代の上司がよく言っていた「There is no such thing as stupid questions/ideas」(バカな質問やアイデアなどはひとつもない)は、全ての質問やアイデアには「価値」があるという考え方を表しています。私も以前はバカな質問をしないようにしようと考えた挙句、結局質問をしないことがよくありました。外資系企業では、素直に「分からないから詳しく教えて」という態度がよしとされている気がします。それにアイデアはフラットに受け入れられる傾向があります。アイデアが受け入れられない場合でも、単に否定されることは少なく、そのブレインストーミングプロセス自体がイノベーションへの扉を開くことが多々あります。

アピールは、グローバルレベルで自身のリーダーシップを示す機会となります。自分のアイデアを前向きに共有することで、グローバルとローカルのギャップを埋めることができます。私は多くの問題はコミュニケーション不足によって発生していると思います。いくらAIが発達しようが、ビジネスの原動力はいつの時代も人であり、AIがアイデア出ししたとしてもそれを伝えたり、ネゴシエーションしたり、チームをまとめたりするのは今後も人です。積極的に自分の考えやアイデアをアピールしていきましょう。

前向きな粘り強さ:
外資系企業においては、しばしば製品の品質レベルやシステム設計が日本の顧客の基準に適合しない場合があります。以前、製品の箱が破損していることが多く、日本のお客様からクレームが入っていました。これを本社にエスカレーションしたら、「箱は捨てるものじゃないの?」と一点張りで理解してもらうことが難しかったです。日本の顧客は化粧箱も製品の一部という認識があり、特に数万円もする商品だと箱も捨てずにとっておくことも多いかと思います。私も日本人ながら理解はしますが、「どうせ捨てるものじゃないの」というマインドでした。とは言っても、お客様は困っているわけなのでどうにかしないと思い、箱に傷がつく原因をまず洗い出したところ、「箱のクオリティが低い」と「物流センターでの梱包が雑」とのことが判明しました。それをベースにパッケージングチームには箱の改善、USの物流センターには改善の要請を粘り強く行ったところ、箱の品質と梱包が改善され、クレームが大幅に減りました。

外資系の日本法人はしばしばグローバル本社の意向に従うことが多く、バジェット、リソースや権限も含み、本社が握っていることが多いです。そのため、なかなか提案を受け入れてくれないこともあり、時には諦めたくなりますが、ビジネスを成長させたい場合はその国の市場の特性に合わせた展開が必要不可欠です。時には連絡をしてもグローバル担当者は日本だけ見ている訳ではないのでスルーされたり、バジェットを理由に優先順位が低くなったりすることもありますが、それでも粘り強くコミュニケーションを取り続けることが大切です。

また、グローバルレベルで業務を進める際には、国民性に合わせたアプローチも重要だと思います。USチームにはジャパンとしてのビジョンを共有し、協力を仰ぐことでチームワークを築けることが多いかと思います。USのリーダーはビジョン型が多いのかなと思います。その反面、中国、シンガポール、香港などのアジア圏の国々とのプロジェクトは、文化的類似性を活かしたコミュニケーションが必要だと思います。国によって若干違いますが、アジアは関係性構築がまず大事だと思います。あと、細かい作業が苦じゃない人が多いので、詳細な説明や細かいフォローアップが必要だと思います。どの国のチームと働く場合でも、自分の都合ばかりを押し付けるのではなく、相手をリスペクトし、関係性を構築する必要があると思います。

自己成長に重きを置く人:
外資系企業で働く中で、多くのグローバルのエグゼクティブと会ってきましたが、自己研磨をしていない人に出会ったことがありません。日本・グローバルに関わらず、成功するビジネスパーソンは常に新しいトレンドやテクノロジーを積極的に学び、それを日常的に活用している気がします。特に外資系企業は年功序列や終身雇用を前提としないため、次のステップに上がるために自己のキャリアを責任持って自らドライブし、必要なスキルや知識を習得する意欲があると思います。

日本においても、最近はリスキリングやジョブ型の職種が増加し、能動的な学習の重要性が高まっています。私もそうですが、社会人になって大学院(MBA)に通ったり、資格取得のために勉強したりする人が増えていて、とても良い傾向だと思います。現在はテクノロジーの変化が急速に進んでおり、今まで当たり前だったビジネスモデルやスキルが陳腐化する可能性も高いです。現代のビジネスパーソンは危機感を持つ必要があると思います。

そんな忙しいビジネスパーソン向けに私がお勧めするコストパフォーマンスに優れた勉強方法は、「読書」です。特に本には昔の偉人や現代のカリスマ経営者、インフルエンサーなど、さまざまな知識や知見が詰まっており、誰でも簡単に本屋さんや電子書籍などで入手できます。またAudibleやUdemyといったデジタルプラットフォームを利用することも、通勤などの隙間時間で勉強する現代の学習スタイルに合った有効な手段です。YouTubeもプレミアムサービスにすれば勉強になるコンテンツを広告無しで見られるのでお勧めです。現代はデジタルやアナログなど勉強方法が多岐に渡っているので、とても便利な世の中になったと思います。

それ以外に自己成長には健康の維持も重要であり、多くのエグゼクティブが運動を日常に取り入れています。クロスフィット、ランニング、筋トレや格闘技などアクティブな人が多いかと思います。これらの活動を通じて、仕事のパフォーマンスやQOLを向上させるとともに、家族と過ごす時間も大切にしています。結局のところ、勉強もしかり運動もしかり、仕事以外でどのように時間を使うかが、今後の人生をより良くしていくためのカギになると言えるでしょう

ユーモアがある人:
意外に思われるかもしれませんが、ユーモアは外資系企業で活躍するために重要なスキルだと思います。ここでいうユーモアとは、何もお笑い芸人のように笑いを取ることではなく、ユーモアを大事に遊び心や余裕を持ち、ポジティブな雰囲気をチーム内で作り出すことです。「Psychological safety」(心理的安全性)という言葉が注目されていますが、リーダーが権限を振りかざし、感情的になるようなチームや職場環境は離職率も高く、リーダーの顔色を伺う組織となり、イノベーションの芽が摘まれてしまいます。

グローバルなビジネス環境では、「ラポール」や「アイスブレイキング」を通じていかに相手と良い関係を構築するかが重要とされています。私自身もグローバルのボスとのミーティングでは、カジュアルな話題から始めます。家族のこと、週末に何をしたか、趣味や最近興味を持っていることなど、軽い話題を交えながら本題に入ります。また、商談などではじめて会う相手とも同様のアプローチをとっていて、どの状況や立場だろうがまずお互いを理解し、良い関係性を作り出すことが第一ステップだと思います。

ビジネスにおいて利益はとても大事ですが、最終的には人と人との関係になります。そして、誰もが可能な限り関係性の良い人と仕事をしたいと考えています。真剣になることはとても良いですが、ユーモアをベースに良い雰囲気を作ることで、心の余裕が生まれ、相手との心理的な距離を縮めることができます。リーダーが良好な気持ちでいることがで、コミュニケーションも活性化され、効果的なチームや組織を作るために必要だと私は考えます。

以上で5つ紹介しましたが、これらの特徴は外資系企業で活躍するための重要な要素ですが、実際には業界関係なしにすべてに共通するものだと思います。外資系で働いている方々、またはそうした環境に飛び込みたいと考えている方々に、少しでも役立つようでしたら大変嬉しいです。

【私の自己紹介】

Aki Allen Kaneko
1979年 カナダ・トロント生まれ。日本に帰国後、学校生活に馴染めず高校中退。その後、大検に合格し、青山学院大学に進学。カナダのマギル大学でMBAを取得。

フランスの消費財会社、USの通信会社、UKのコンサルティング会社を経て、現在はEUの医療機器メーカーでアジアのオペレーションディレクターを務める。また、サイファーホールディングス株式会社を創業。新規事業コンサルティングやマネジメントコーチングビジネスを展開している。

自らの20年間の外資系経験と起業経験をベースにキャリアアップや起業など多種多様なキャリアパスを示し、それを実現するためのマインドや勉強方法を推進。また、グローバルリーダーを育成するためのコーチングセッションや、企業の成長・挑戦を支援するため、ミッション・ビジョンに繋がる経営戦略の策定方法からマネジメントの考え方まで幅広く発信している。

趣味はブレイクダンス、ブラジリアン柔術と読書。最近は生成AIとデジタルマーケティングの勉強にはまっている。

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