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なぜインドの「家庭料理」をお届けするのか?-Sweet side of India-

どうして、インドの「家庭料理」をお出しするようになったのでしょうか。
2023年4月半ば、久しぶりに、インドの家庭料理を提供させていただく機会に恵まれました。インドの絵や、写真、エッセイの展示もあわせて、イベントのタイトルは“Sweet side of India” 。

“Sweet side of India”と名付けたイベントは実は2回目で、初めての開催は、横浜の旅をコンセプトにしたカフェ、Point Weatherさんでの展示会でした。この時は展示のみだったので、お料理と展示を両方やるのは、今回が初めて。福岡市にある、オーガニックカフェ・ウィンドファーム今宿店さんで開かせていただきました。


なぜインドの「家庭料理」なのか


色々理由は浮かぶのですが、なんとかまとめるならば、「だけじゃない」面を見ることが面白いからではないかと思います。インドでも、日本でも、外で食べられるカレーももちろん、それぞれに工夫されていておいしい。一方で、お家で食べられるごはんは、ほっこり落ち着く感じ辛いだけじゃないインド。危ないだけじゃないインド。「インド」という、なかなかパワフルな固有名詞に内在されているイメージとは別の面、多様性を感じられたら素敵じゃないか。そんな思いを込めての“Sweet side”なのです。

神さまも多面的だよなぁ、、と思いながら描いた絵

そもそも、スパイス=辛い、なのか?

スパイスカレーと聞くと、何種類ものスパイスが入っていて、パンチが効いて辛い、という印象が強いかもしれませんが、そもそもすべてのスパイスが辛いわけではありません。
ヱスビー食品さんのQ&Aの分かりやすかったので、引用させていただきます。


「日本は海の幸、山の幸に恵まれ、新鮮な食べ物が容易に手に入ったことから、強い香り付けや消臭効果を求める必要はなく、素材本来の持ち味をそのまま生かすような調理法が主流でした。そのため、日本ではスパイスを薬味として、新鮮故に味が比較的淡白な素材に辛みなどのアクセントを付ける目的で、少量を用いる場合が多かったのです。
こんなことから、日本ではスパイスは辛いものというイメージが強く印象付けられることになりました。しかし、世界のスパイスのうち、辛いものはわずかで、ほとんどのスパイスは香りを楽しむ目的で使われています。」

今回のメニューで登場したスパイスは?

スパイスは、香り!

今回お出ししたお料理では、クミンシードとマスタードシードをふんだんに使いました。どちらも、油の中で熱して香りがでてくると、Wooo!って気持ちになります。(分かりづらかったらすみません。><)

インド家庭料理ランチプレート


メニューはキチュリ、サンバル、にんじんのアチャール、水菜としめじのスパイスサラダ。

キチュリは豆とお米のお粥で、アーユルヴェーダでも、3つの性質(ヴァータ、ピッタ、カファ)のバランスがよい食事としてよく食べられます。辛いスパイスは入っておらず、クミンと生姜の香りと、ターメリックでやさしく色づいた黄色が癒し系なごはん。

サンバルは南インドのスープカレーで、酸味と辛味がさわやか。こちらは、仕上げにココナッツオイルで熱したマスタードシードをじゅわっとかけています。マスタードシードは油に香りをうつしていくと、ポップコーンみたいにパチパチ弾けて、なかなか可愛いです。香りもちょっとポップコーンと似ているかも⁉ 
サンバルにはレッドチリのパウダーも入っているので、ちょっと辛めだったかもしれません。

油の中でスパイスなどを熱して、油に香りをうつす調理法は、テンパリング、あるいはタルカと呼ばれています。
にんじんのアチャールや、水菜としめじのサラダも、テンパリングをしてつくりました。

今回召し上がってくださった方の中では、料理教室も気になる!というお声も複数あったので、いっしょにテンパリングしたら楽しいだろうな~!と妄想中。

「インドカレー楽しみ!」と言われると、うれしい気持ちと、”想像されているカレーと違うかもな…!?家庭料理なのと、わたしのアレンジが入っているのと…多様性をお楽しみいただければ!”という気持ちでドキドキ。結果的には、お野菜やお豆や、お米さんの声に導かれて楽しく作ることができ、美味しかった~と言っていただけてほっとしました。

事前予約制で行った今回のランチ。15人定員のところ、追加席を設けて16人の方がお越しくださいました!(嬉しかった~!)
ランチ以外にも、カフェ利用で立ち寄ってくださった方もあり、総勢30名ほどの方が足を運んでくれました。感謝…!

家庭料理。暮らし。日常。アート。


 料理研究家の土井善晴さんは、『料理と利他』等で「家庭料理は、民藝」と綴られていました。土地の風土によって生まれ、素朴で、素直だからこそ美しいもの。日本でインドの家庭料理を作る時は、日本にある素材をできるだけいかすので、混在家庭料理、なのかもしれません。

インド映画「マダム・イン・ニューヨーク」(原題:English Vinglish)では、フランス人シェフのローランが主人公のインド人女性シャシに、こう語りました。
“Food is art... Food is love. You cooking is love. Good food. You make people happy. You artist.”
ちなみに、このセリフの直前には、「料理は男が作ればアート。女が作れば家事であり義務なのよ。」というシャシの発言が。料理もお掃除も色々なケアも、日常的なものって、ジェンダー性を含め、奥深い面もある…。

いつも頑張り続けることはできないから、時にはラフに、たまには丁寧に。スパイス料理を作るとなると、気合いがいりそうな感じがするかもしれませんが、お味噌やお醤油のように、気軽に取り入れてもらえたらなって思います。
本noteの他の記事や、インスタグラムでも、ほんとーに簡単にできるレシピをお届けしていますので、よろしければお試しあれ!


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◆インド家庭料理について書いている私ですが、元々は料理に苦手意識がありました…そんなお話はこちらから。
https://note.com/alicetabiashi/n/n49b11dc7fab6

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ヒンディ語が少しでも分かると、インド料理の理解が深まったり、インド・ネパール料理屋さんとお話ができて楽しいですよ♪

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