アパレル業界で私が知ってること 閑話:BPR的なお話

 ぶっちゃけ存在を忘れがちになっていたりしましたので、ちょっと思い出したように(というか思い出したのですが)書いてみたりなんかして。いや定期的に更新しろよって話なんですが、外的な圧力がないっていうか、良いように言えば自分のペースで書けるってのは魅力なんですが、逆に言えば私のペースなんざあってないようなものなので、なんかついつい放置したりしがちになってたり。
 まあ自覚している欠点なんですが、自分の事に関しては徹底的に自堕落なんですよね、私。多少なりとも他人が関与していることが明確な場合、迷惑かけたくねーなーとかって思うので提出物とかは比較的きっちり出すタイプなんですけど、自分の事になるとついつい適当になります。なんせ夏休みの宿題は7月中に仕上げて9月1日には紛失しているっていうのがデフォルトだったくらいです。三つ子の魂百までなんでしょうかこれ?だとしたら哀しいお知らせです。いやちゃんとすりゃいいだけなんですけど。

 まあこのnoteというかマガジンもローカロリーなわりに文章量だけはふえてきまして。まあ要するに中身薄いなーって事ですけど。トホホ。
 おかげさまでアパレル業界のディープなお話とかができるような方々とも数名お知り合いにならせて頂いたりでありがたいやらよく考えたらそれってnote関係ないよなだったりやらですけどSNSには違いないのでいい時代になったな―って思ってたりもします。

 それもこれも、会社やべーけど潰れてもらうと困るし的な考えの下、とりあえずやらないと会社が潰れる可能性がある事は全部やる的な、まあ個人的にはある種の思考停止ではあったんですが、それはそれでいろいろな知見が得られたわけですし、ある意味実際に運用までできる機会があったのはいい勉強にはなったなーと思ったりしている今日この頃ではあります。

 おかげで生産も企画もMD構成も店頭展開も販売もマークダウンも最終処分も、まあ予算策定やら予実管理やら利益管理やら、キャッシュフロー的なところとかも在庫管理も物流っていうかSCM的なところとかもIT的なところっていうかシステム構築やらデータベース構築やらPOS分析やら、ついでにクレーム処理やら棚卸やらまで、アパレル商社っていうかそういう感じの企業でやっているであろう大抵の事に、しかも現場レベルのあーだこーだまで含めて経験しているってのは実は業界でも珍しいっぽくて、ユニークだと言えばそれまでなんですが、冷静に考えたら「いやそれって本当に必要なのか?」って思っちゃったりもしなくもありません。だって普通の企業はそういう変なのがいなくても回ってはいるわけですから。

 とは言え、アパレル業界がいまいち苦労している原因の一つに「全体把握できる人材がいない」ってのはあるっちゃあるのかな?とは思ってみたりしなくもありません。なんか真面目に整理してみたい気もするけど、なんか「アパレル業界の在り方は云々」とかってのが柄じゃないのも事実なんですよね。

 まあ、私が比較的特殊なのは上記のあーだこーだを並列的にやっていたってところなのかもしれません。
 っていいますか、そもそも私がやってきたことって、目線を変えてみればBPR(ビジネスプロセスドリエンジニアリング。誤解を恐れずざっくり言っちゃえば、ありものを組み替えてビジネスプロセスを再構築する)ってのだったりします。

 実際、生産部門も企画部門も店頭も物流も以前からありましたからね。当たり前っちゃ当たり前なんですが。

 実際のところ、アパレル業界ってスペシャリストは本当に多数いらっしゃって、そりゃもう「カリスマ○○」なんてのがわりかし普通に存在していたりするわけです。まあそこまでいかなくてもスペシャリストとして優秀な方ってのは本当に多くて、仕事もバリバリできたりするわけですよ。

 でもね、正直思うんですけど、バリバリ仕事できなくてもいいから利益出して欲しいとか思っちゃうわけなんですよね、実際。

 例えば生産管理なんてお仕事は、言ってみれば当初予定通りの納期できっちり納品させるのが仕事なわけですが、アパレルなんてのは製品検査が通らなければ納品できないわけですから、まあある程度バッファとか見てるわけなんですよね。しかも天候に左右されたりするので、当初予定通りバッチリ納品させる必然性って実はそれほど大きくなかったりもしたりします。ま、遅れるといろいろ面倒なのですが、早くなる分には比較的「まあそれはそれで別にいいか♪」なんですよ。
 企画だって実際そういう面とかあったりして、そもそも当初MD計画ってのが気候の変動とかの影響でズレるってのが前提だったりするので、MD計画は重要なんですがそれと同じくらい「じゃあ現実的にどうへんこうしようか」ってのも重要になってきたりします。

 ついでに言っちゃうと、そういう変更がある事を前提にした場合、部門部門で独自にきっちりやる事よりもその場に応じて臨機応変に対応できる方が効果的だったりとかするんですよね。

 で、BPRの話です。具体的なお話をした方がよさそうな気がしました。
 じゃあどういう風にビジネスプロセスをリエンジニアリングしたかっていいますと、要するに横連携を強化するようにしたわけです。あ、一言で終わってしまった。補足せねば。

 端的に言ってしまえば、過去は生産担当は納品された商品が、まあ極論しちゃえばいつ会社から店頭に出荷されるかすら興味の対象外だったりしたわけですね。当たり前っちゃ当たり前です。会社に仕入れるまでが業務ですから。
 でもそれだと思ったより早く暑くなったり寒くなったりとかって対応できないんですよね、実際。いや実際に対応するのってかなり難しいんですけど、やろうと思ってできないのとそもそもやる必要を感じていないのとでは大きな差です。たとえ1デザインだけでも早くできるだけで全体の売上が変わるなんてのはざらだったりしますから。トータルコーディネイトでの販売ってのはそういうものですし。

 まあ冷静になって思い出してみれば、計画書的な物は必ず見え方が異なるというか、視点が異なるような感じの複数の種類を作っていまして、まあ販売計画だったりMD計画だったりって感じですかね?このあたりの詳細は書き始めたら長くなるうえに結構独自メソッドというかブランド特性に合わせて書かないと行けなくなったりしますから、まあここでは書きませんけど。

 それはさておき、本当の意味での横連携ができるようになるまでにはそれなりに時間がかかった記憶があります。ぶっちゃけ縦組織がやっぱり面倒で、端的に言えば素直に「遅れてます。てへ♪」で済むような事が縦組織的な弊害というか要するに責任者が蓋をするんですよね、やっぱり。
 「情報を隠すのが最大の問題点」だっていうのを事実として、まあ上役な方々に根本的に理解してもらうってのが手間でした。実際的には現場から情報がもらえていましたから情報としては知ってましたし、隠してたら「あー隠してるな―」ってすぐにわかるんですけどね。このあたりはテクニカルな事をいっぱいやっていた記憶があります。遅れているのをわかっていて「〇〇は納期通りあがるんですよね?」とかってオフィシャルな会議で聞いてみたり「○○が店頭展開され始めますから店頭の商品ショートにはなりません」とか言ってみたり。
 こういう発言をしておけば、会議終わったらすぐに相談に来てくださいます。その時点で遅れている事がわかっていますから複数のリカバリー案は持ってますし。役職がある方が動いてもらう方が楽な事って多いんですよ。これがAさんBさんの問題だった時に、組織から外れたところでAさんの商品を優先したらBさんがかわいそうですからね。

 まあ、でも、そういうのを数年?だったかな?やっていたら、生産がMD計画書を見ながら仕事をするようになって、問題があればリカバリー提案とかしてくれるようになりました。ありがたい話です。
 企画段階でも生産が仮納期を提示してくれるようになりましたから、イレギュラーが発生しない限りはMD計画上納期に間に合うようになってきましたし、無理なモノは無理って最初に言ってくれるようにもなりました。で、それを受けてMD計画を修正したり、事前発注(!)したりとかっていう事ができるようになってきたわけですね。まあイレギュラーが日常茶飯事なのがアパレルの特徴ですから、調整は必須なんですけど、それでもベースの計画があるのと無いのとでは調整の難易度が大違いですからねー。

 やっぱりあるんですよ。気候的に遅れてもべつにいーやとか、これはちょっと遅れたらヤベーから他のを止めてでも早く作ってくれーとか、できるできないは別として「これ1週間早くできん?」とか。まあこのあたりになると物流部門とも綿密な連携が必要になりますけど。海外生産だと出荷時数量で振り分けしておいて事前にデータセットしておくとか物流に「これ至急だから入荷したら即連絡お願い。即出荷依頼かけるから」とかっていう連携はよくやってました。事前に振り分けた数量を物流に渡すってのは、かなり大量なグループの場合はやった事がありますが、物流オペレーションが煩雑になりますので私が物流にいた時に一度やっただけです。まああの物量は値付け作業を外注に出さないとお話にならないレベルでしたから、値札作成を入荷前に終わらせたかったからっていうイレギュラー中のイレギュラーでしたから。神経すり減りましたよあの時は。

 まあ、ビジネスプロセスの組み直しっていっても、運営レベルにまできっちりと組みなおすってなるとかなり煩雑というか同じことをやっていても役目が変わるってのがありますのでそこを理解してもらうまでが大変だったりとかしてましたね、実際。

 特にアパレルは「どこかで何かが変わったらその影響でどこそこが変わって…」的な、まあ要するにタスクごとで管理したり解決したりするのが困難だったり不合理だったりって面が大きいんですよね、実際。アパレル業界がややこしいって言われる原因の一つだろうなーとは思います。

 ちなみにこういう事をやっていた際に、実はフレームワーク的なというかメソッド的なというかそういう改善改革用の思考手法ってのを思いついておりまして。「ノード・リンク式問題解決法」とでもいいましょうか。簡単に言えばタスク内で改善改革を行うんじゃなくて、他の業務との接点のところに注目してそこから業務改善改革をスタートさせるっていう手法です。

 次はこのお話とか書いてみようかと思っています。


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