外国語との接点③ ルーマニア語

Kさんとはよくポーランドのサイトで遊んでいた。対局とチャットくらいしかできない簡素な仕様だったが、バックギャモン、シャンチー、チェッカーなど、我々の好む伝統的ボードゲームが数多く用意されており、外国語に疎い私でも日本語版で問題なく楽しむことができた。

東欧をはじめ世界中のプレイヤー達が書き込むチャット欄には様々な言語が飛び交っていたはずだが、内容はもちろん、それが何語かもわからない場合が多かった。そんな中で比較的判別しやすかった言語が、ルーマニア語である。

バックギャモンの対局場に行くと、何故かプレイヤーの大半がルーマニア人で、いつも誰かが "Bună"(こんにちは)と言っていた。ロマンス語に親しんだ今でこそ、フランス語 "Bonjour" の bon などと同じものだと納得できるが、当時はブナの木しか思い浮かばなくてなんだか愉快だった。バックギャモンといえばルーマニア人、ルーマニア人と言えばブナであり、画面に映るバックギャモン盤もブナの木で出来ているような気がするのだった。

ルーマニア語は入門書もかじったことがない。ただ知識が全くないわけではないらしく、人名を見てルーマニア語の名前だと直感的にわかることがある。

以前、チェスの Navrotescu 選手を名前だけで判断し、ルーマニアの人として言及したところ、「フランスの人ですよ」とツッコまれたことがある。調べてみると彼女はルーマニア生まれフランス国籍の選手なので、間違っていたわけではないが、人を安易に言語で分類する癖には自覚的になったほうが良さそうだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?