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座右の銘になった私のバイブル

『置かれた場所で咲きなさい』
渡辺和子(修道者)

社会人になりたての頃、よく質問されて困ったことの一つに「座右の銘は?」というものがある。社会に出るまで、これといった生きる指針を持たずに過ごしていたため、聞かれるたびに「そもそも座右の銘って、何よ?」と辟易したものだ。そして、無難そうという理由で「一期一会」などと答えていたのだ。

これといった座右の銘に出会えず、そもそも座右の銘ってみなさんどうやって決めているの?と、恥ずかしくて誰にも聞けずに時は過ぎ、座右の銘を持たずに過ごしてしまった20代。そんなとき、小林聡美さんの座右の銘が「流れる水は腐らない」ということを知り、「え、四字熟語的なものじゃなくてもいいのか。」と変なところに感動した。さっそく、仲の良い会社の同期へそのことを話すと、「そんなら、この本のタイトルとかいいんじゃない?」と教えてもらったのが、『置かれた場所で咲きなさい』。

当初、本を紹介されたときは、「社畜精神旺盛やな」と、友人の厚意をちゃんと受け止められずにいた。ところが、本を読むと渡辺和子さんの優しさと愛情に満ちた言葉に、読了後、春の陽射しのもとお昼寝したような気持ちになった。

それからは、本のタイトルを座右の銘とし、年末年始に読み直し、一年の振り返りとくる年に向け、心に留める言葉を選んでいる。不思議なもので、毎年心に響く言葉が違ってくるのだ。自分の価値観が少しずつ変わっていることに、この本を通して毎回気づかされる。読むたびに印象を変え、何度も感動できる。そんな素敵な読書体験を私に贈ってくれた、友人とこの本に心から感謝したい。ありがとう。

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