Cash Only(現金のみ)

某お店で食事したときに、隣にふらりと外国の方が入ってきた。
もう日常的になった光景だ。

大将兼お店のオーナー氏が、カウンターに座るその外国の方に対して、次のように言っているのが聞こえてきた。

Cash Only.

つまり、この店はクレジットカードが使えません、ということだ。
僕が支払いをするときにも、たしかに現金でお願いしますと言われる。

いろんな理由があるのだろうと思われる。
(表向きの)最大の理由は、クレジットカードで支払われると、お店側に手数料が発生するということだろう。あまり詳しくは知らないが、結構な額をはねられる模様。最近は学会でもカード払いを認めているところがあるが、少なくない学会で、カードの利用手数料は支払う側の負担になっている。その額も、数パーセント取られるので、お店の負担はたしかに大きいと思われる。

別の店のオーナーが愚痴まじりに言っていたことだけれど、たとえば一休のようなサイトで予約を入れられた場合、一休に成功報酬(予約が成立したことに対する手数料)が抜かれる。その上でクレジットカードで支払われると、一休とカード会社に払うお金でかなりの負担になるという。なるほど、これはたしかに頷ける意見ではある。

話は元に戻るが、Cash Only と告げられたその外国の方は、十分な現金を持っておられなかったようで、静かに席を立って店を出て行ってしまった。

大将の意図は、外国人を追い出そうというところにはなかったと信じたいけれど、そうであるならば、カード利用はできるようにしておくべきではあるまいか。基本的には現金で払ってね、けれど、万が一、現金がない場合にはカードも使えますよ。ただし、カードの手数料は、お客さん負担でお願いしますというようには出来ないのかしら。

その外国の方が出て行ってしまったあと、ふと、僕が立て替えてあげればよかったのではないかと思い始めて、なんだか後味が悪かったのを思い出す。

カード先進国だと思われる近隣の国は、中国と韓国である。中国は、正確には電子決済、日本で言えば楽天ペイとかペイペイに相当するもの、が発達していて、ほとんどの人は現金を持たずに、スマホでピーピーやっている。注文も、テーブルに貼ってあるQRコードで出来たりする。

韓国は、文字通りのカード先進国で、クレジットカードがあれば屋台でも現金を使うことはない。タクシーやバス、地下鉄などは現金が使えなくなっている(ほぼ)。

そこまでしろとは、手数料の問題もあるので、日本では難しいのかもしれないけれど、手数料は使用者もちで使えるようにするとかいうことくらいはできるのではないかしら。

個人的には、すべての店でクレジットカード決済ができればありがたい。ほとんど現金を持ち歩かなくなっているし、カード決済の方がトラブルが少ない。

先に、(表向きには)と書いたけれど、現金でのやりとりをすると、その客の売り上げを帳簿から消してしまうこともできてしまうのではないかと、余計な勘ぐりをしてしまう。簡単に言うと、今日は3組の客が来たけれど、2組しか来なかったことにできる(のではないかしら)。すると、売り上げがないので、それにかかる税金もなくなるよね。勘ぐりすぎ? クレジットカードで切られると、記録が電子的な形で残るので、このようなことはできなくなる。韓国がクレジットカードを使わせているのは、政府の方針だと思われる。

値段の中に、クレジットカードの手数料を入れておけばいいと思うのだ。
その大将の店は付き出しを出さないので、変なテーブルチャージはないのだけれど、付き出しを出してお金を取る店は、それでクレジットカード代を取っているようなものである。

なんとかならんもんかのぉ。


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