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トシちゃんのブランド価値

昨年末のYouTube「田原トシちゃんねる!」生配信を、ものすごく楽しみにしていた。「ザ・ベストテン」などの生放送に出演していたトシちゃんを待っていた中高生当時と同じぐらいのテンションで。いい年してこんなにもワクワクすることがあるんだと、自分でも恥ずかしくなるぐらいに。それなのに、音声が出ないという放送事故に遭遇。30分近く待たされることになった。

正直、こんなことがあっていいのかと怒りが湧き上がった。ネット関連には疎いので、なぜ起きたのかは分からないものの、若手スタッフには、その道のプロだからこそ頼んでいるはず。損害賠償ものなのではと思った。「聞こえない」と訴えるたくさんのチャットを見ながら、なぜスタッフは気づかないのかと憤り、ファミリー以外の視聴者は見るのを止めてしまうのではと焦った。それなのに、再開した時のスタッフはそこまで悪びれていない様子。こんなことでいいのだろうか。

私たちファミリーは待てるけれど、大スターのトシちゃんを待たせるとは何たること!その上、謝ったり、時間延長したり、盛り上げたり、全てにおいてトシちゃんが懸命にフォローしている。スタッフにプロ意識が足りないのではないだろうかと、頭に来た。曲がりなりにも仕事をしている身として、謝って済むレベルではない大きなミスとの思いは、今も変わっていない。

内容にも不満があった。質問コーナーと言っても、ろくにチャットを取り上げられず、その他、特に企画もない。あまりにも当日任せの、行き当たりばったり。質問するという企画なら、事前に聞いておいてくれればいくらでも聞きたいことがあるのに、急に言われても出てこない。また、既にマックを食べる企画はやっているに、今回用意されたのもマックの商品。トシちゃんがぞんざいに扱われている気がする。スタッフにやる気がないのか、準備不足なのか、いいかげん過ぎるという信じられない気持ちだった。それとも、これは世代間格差なのだろうか。今の若い方々は、ゆるゆるがいいとか!? トシちゃんが「早く質問してよ」と催促したり、合間に一生懸命話題を出してくれたり、スタッフに対する文句口調を多少使ったり、普段はプライベートを見せたがらないのに、自分の携帯画面を見せるドキドキ演出をしたりすることで、視聴者の不満のガス抜きをしてくれたように思えた。

そんなこんなで放送は終了。満足した人には申し訳ないが、時間の無駄が多く、企画不足に感じた。ゲストを呼ぶのが難しいなら、いつもついてくれているマネージャーさんに座ってもらうだけで結構面白くなるんじゃないかと、素人なりに考えてみたり。だが、ブログやツイッターなどの感想を読んでみると、皆さんのコメントは優しい。トシちゃんに関わる人全てに対して優しいのだろうか。ファミリーの方々は、人間が出来ているのだなぁ。私なんて、トシちゃんを軽んじるようなYouTubeをやる意味があるのかとまで、考えが及んでいた。

その後、よくよく振り返ってみると、新鮮なシーンは確かにあった。トシちゃんが足利フラワーパークに行ったことや、カズさん通じて香川真司さん、松井大輔さん、内田篤人さんら有名サッカー選手(サッカー好きにはたまらない面々!)と交流があったことなど、新しいエピソードを聞けた。おにぎりを握る綺麗な仕草を見れたり、可愛いバレンの似顔絵をはじめ、筆談をいっぱい目にしたり、質問に対する答えが優しくて素敵だと感じたり、いつもと一味違うサラリーマンスタイルを堪能できたり。このような場面を見られるのは、今までのメディアではなかなかできなかったこと。案外楽しめたことに気づく。全てトシちゃんの力によるものだが。

また、トシちゃんのコメント力にも舌を巻く。「決して僕はスタッフを怒鳴りつけていません。大人になりました。」「疲れて帰ってきたサラリーマンみたいじゃね?」「フォーマルにドレスアップしてきたら、何だいつもの部屋じゃねぇか。」「どんだけ安上がりなタレントなんだ俺は。」「田原俊彦をやめた時点で、僕はポンコツになっていくんではないかと思いますけど。」「抱負?僕は甲府出身なんですけど。無理があったな。……来年の抱負は、変わらないことですね。」「地味に攻めよう。」「ケーキは焼くもんじゃないんだよ。食べるもんなんだよ。」「来年も歌って踊って笑われて、楽しく行きます!」等々、ハチャメチャでいてちょっと真面目という、絶妙な塩梅のコメントを残している。

結局のところ、これら全てを含めて「トシちゃんブランド」なのだろう。トシちゃんは、どんな場面でも最善を尽くす。ハプニングの際にも慌てず対応出来る。いつも明るく華やか。俊敏かつ独創的なコメント力がある。その時何が最も大切かを判断して対処できる。元々人間力があるから、生に強いのだ。

何度も挙げている有名な話だが、「夜のヒットスタジオ」で it's bad を歌った時、途中で「間違えた!」と叫んで、バック転も入れたダンスでリカバリーしたこと、レーガン元大統領ご夫妻歓迎コンサートで、黒いハットのところ赤いハットを渡され、何事もないように、美しく投げ飛ばす演出を入れて仕上げたこと。還暦記念ライブでは、変な音を立てて直らないアンプ(?)に「シーっ」と合図したり、直しに来たスタッフを蹴る仕草をして観客を笑わせたこと。最近のライブでも、マイクスタンドを倒してしまうハプニングで、明らかに一瞬ハッとしていたが、足でカッコよく元に戻して見せた。

失敗があったとしても、成功に導く術を知っている。失敗しないで上手にまとめる以上に私たちの記憶に残るし、後々まで、かっこよさにしびれることとなる。素晴らしい対応力を見せつけられ、さらにトシちゃんへのリスペクトが高まる。

今回も同様だ。ミスの後でも、いつも通り笑いに変え、決して視聴者に不快感を与えず、サインプレゼントなど付加価値をつけ、さらに楽しい生ライブになるよう、全力で取り組んでくれた。全ては視聴者のため。ここで、その最も大切なことを忘れないから、必ずマイナスがプラスに転換する。素のトシちゃんが、おおらかで優しくて肝が据わっているから可能な技だろう。

若きクリエイターや企業経営者にも、学ぶべき点があるのではないだろうか。失敗を恐れないでチャレンジしてみること。失敗しても慌てずに、最大限リカバリーを試みること。何のための仕事かという根本がブレないこと。失敗したらお詫びとして、付加価値をつけて返すこと。スタッフを信頼して、できるだけ任せること。最終的な責任は自分が負うこと。諦めずに取り組み、最後には全てをプラスにしてみせること。

ファミリーの皆さんは、そのことをよく知っているから怒らないのだろう。そして、必ずトシちゃんは、次の機会でさらに楽しい企画をしてくれるという、揺るぎない信頼関係がある。だから、これからに期待し、スタッフにも理解を示し、いつまでも待てるのだろう。私はまだまだ考えが浅いのだと反省した。

優秀なスタッフに囲まれ、安定的にパフォーマンスをするだけの実力をトシちゃんは持っているはずだ。それなのに、独立してからは、多少心許ないスタッフでも、忍耐強く待ち、自分の場所まで引き上げてきたような気がする。ダンサーのまとめ役であり、振り付け師でもあるNAOTOさんは、絶対的信頼のおける優秀なパートナーだが、最初から今ほどの実力はなかったのではないだろうか。今回も、若手スタッフと組むと決めたからには、口出ししたくても我慢して任せ、新しい才能とのコラボから生まれるものを、長い目で見ながら楽しんでいるのかもしれない。トシちゃんは、懐の大きな猛者に違いない。

私も、今回の怒りは既に収まった。むしろ、さらに次回への期待値が高まって、嬉しい気持ちである。これも、トシちゃんのブランド力によるもの。トシちゃんが好きだと言った国・イタリアの老舗ブランドのように、何があっても崩れない。このYouTubeも、始めたからには、より視聴者を楽しませるチャンネルへと進化させるだろう。今後も、ちょっとぐらい失敗してもいいから、休まずに続けて欲しい。ファミリーは、その成長過程を含めて長く楽しめるのだから、普通以上に贅沢なエンターテインメント!

明らかにミスがあった今回も、結果として、トシちゃんの人間力が心に残ったし、いつでもどんなことがあっても楽しめるという意識が私に生まれた神回となった。だいたい、トシちゃんと生で対面できること自体、80年代当時には考えられなかった、贅沢過ぎるコンテンツなのだ。何もせずに、笑顔を見せてくれるだけでも十分というものだ。

今年元旦のBS「人生歌がある」では、またまた圧巻の「抱きしめてトゥナイト」を披露。歌声の伸びといい、ダンスの切れ味といい、素敵な衣装といい、スタイルの良さといい、表情の豊かさといい、私が観た何百回以上もの抱きトゥナ史上、最高峰だった。いまだに進化できるって、いったいどういうこと!改めて、トシちゃんブランドの安定したかっこよさを満喫した次第である。

このようなトシちゃんと関わったからには、若手スタッフさんに、YouTube界の殿堂入りを目指すぐらいのモチベーションで取り組んで欲しいなぁ。また、視聴者の対象をトシちゃんファンだけでなく、世間一般に広げて欲しいなぁ。必死に頑張った上での結果を出して欲しい。散々文句を言った後に何だが、トシちゃんが見込んだ方々なのだから、伸びしろしか感じない。YouTubeが、トシちゃんのブランド価値をさらに上げると期待している。

最後まで読んでくださったファミリーの皆さま、いつもありがとうございます!一方的に書きたいことを記すだけ、ツイッターなどは読むだけで、失礼しています。もう書きたいことは全て出してしまった感がありますが、トシちゃんに新たなご活躍があったら、また書けるかもしれません。今年もよろしくお願い致します。

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