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ロックなトシちゃん

地上波テレビ番組にトシちゃんが降臨!1時間以上も特集してもらえて感涙!私がファン復活してからでも、ここまでくるのにだいぶかかった感があり、ずっとファンだった方々は、どんな気持ちだろうかと。大きな1歩だったことは間違いないが、まだ満足できない。過去から今までの偉大な歴史は、かなり紹介してもらえたけれど、今のパフォーマンスについては、驚かれているだけで、言及が足りていない。年齢や懐かしさという色眼鏡なしでも、世に出すべきグレードの高さという評価があれば、地上波音楽番組に出演できるはず。その壁こそ、忖度の壁なのだと思う。トシちゃんは、過去のスターではなく、現在の大スターであり、偉大なアーティストであり、熱いロックボーカリスト。その上、圧倒的な華がある。まだまだトシちゃんの真の評価と活躍はこれからだと考える。

興奮冷めやらぬまま、先日の「WOWOW特別番組 ロマンティストでいいじゃない」を観た感想を中心に書きたい。この番組で、最も正確にトシちゃんを表現するワードと出会った。それは、ロック!ギタリストの江口正祥氏が使われた言葉である。トシちゃんについて語り尽くしたつもりだったのに、私は今まで使ったことがなかった。なぜ、このワードに気づかなかったのだろう!夢の世界を体現するアイドルなだけに、イメージが遠かったからだろうか。

江口さんと言えば、かつて尾崎豊を支え、さまざまなアーティストとの共演経験があり、トシちゃんを四半世紀以上も見続けている人。ロック界に精通する優秀なロックギタリストの方がそのように評してくれて、本当に嬉しかった。何となく言葉足らずに思えていたのは、きっと、このロックという大事な点を言い表せていなかったせいだ。

ロックの定義を改めて紐解くと、狭義では、強いビートと大音量のサウンドを特色とした音楽ジャンル。広義では、黒人音楽のリズム・アンド・ブルースを起源とした精神をさし、反体制、大衆主導、自由の希求、思いを貫く強い意志といった意味合いも帯びる。江口さんは狭義で使っていたかもしれないが、私は広義の側面も強く感じる。

口パク・イヤモニをしないことは、トシちゃんファンにとって当たり前過ぎて、特に論じてこなかった。だが、そこにもロックの根拠があると言っていいだろう。今回のインタビューでトシちゃんは、口パクを「何か嘘じゃん!」と一刀両断。また、イヤモニは、本人の耳を守るためでもあるわけだが、使わないと明言。現状、イヤモニ・口パクを使って正確で綺麗な音を目指す方が、テレビ界では主流だろうけれど、表面的で淡白な音になってしまう可能性も否定できない。トシちゃんの生ライブでは、バンド音を背負って身体ごと表現するトシちゃんと、ロック魂を共有するバックのプロ集団とのグルーブ感が、空間を通して重厚に伝わってくるから、圧倒的な感動がある。

トシちゃんの魅力は「味と色気」という江口さんの言葉にも、その通り!と叫びたかった。年齢経過とともにますます魅力が増し、いつでも聴き手の心と身体に直接響いてくるのは、そのためだったのだ。(江口さん、的確に表現してくださって、ありがとうございます。)拡散祭りの「ヒマワリ」は、私の携帯の中にもある宝物だが、画面を通してまた聴いて、さらに感動。
……そのままでいて 変わらないで 僕はヒマワリのように 笑い続けて この声が世界をまわり 君に聞こえたら……
トシちゃんが歌うからこそ、トシちゃんのために書いた太田さんの歌詞の意味がハッキリ伝わってきて、心に染み入る。この味は、トシちゃんにしか、絶対に出せない。2022年のライブで久々に聴いた「ムーンライト・センセイション」も、素敵に歳を重ねたからこそ出せる色気に溢れていた。

NAOTOさんのお話も、プロダンサー目線から、トシちゃんの凄さが真っ直ぐ伝わってくるものだった。お世辞を嫌うトシちゃんの性格をよく知る側近の言葉だけに、真実味が宿る。61歳にして29歳の時に匹敵するレベルのダンスに戻そうと、10年以上やってきた振り付けを変えて挑む心意気に、改めてしびれた。トシちゃんはその理由を「飽きたから」と軽く語っていたが。61歳のトシちゃんは、50歳で亡くなったマイケルの辿れなかった道を、自分を甘やかさずに歩み続けているのだ。

トシちゃん自身は、言葉で上手く自分を表現できないどころか、大したことをしていない体で、いつもごまかしてしまうけれど、行動は嘘をつかない。そこもロックたる所以。周りの人々は、本人の言葉による説明はなくとも、その行動から全てを受信し、魂レベルでよく理解しているようだ。だからこそ、トシちゃんから離れず、黙って支えてくれているのだろう。この関係性も、まさにロックだ。

いつものことながら、いざ真面目に話し出すと、トシちゃんの言葉には真実が光る。「全幅の信頼をしているNAOTOさん。」という垣花さんの言葉に、「全幅の信頼はしてないけどね、8割ぐらいかな。」と返す。「全幅でいいじゃないですか。」と言われていたけれど、その方が、むしろ嘘くさい。「俺は田原俊彦をやってるんだから、俺の横にいる以上、日本一のダンサーであり、アーティストでなければ困る。」この高邁な精神を共有するダンサーは、さぞかし誇らしいことだろう。ライブ映像に映し出される自分のことを何度も「こいつ」と呼ぶ。エンターテイナー・田原俊彦を、冷静かつ客観的に見ている証拠だろう。

今回のインタビュー中、特に印象深かったのは(司会の垣花さんによるナイスリードのおかげだが)、トシちゃんが「変わらないことの大切さ」を強調し、「田原俊彦をやり続けることは楽しい」と連呼していたこと。変わらず地道に継続していたら、きっと誰かが気づいてくれる。苦しい時も諦めなければ、未来は開ける。技術革新によって単純化される時代でも、泥臭いアーティスト魂を貫く意味がある。努力を惜しまなければ、いつか大きな楽しみや喜びにつながる。魂を共有しあえる仲間がいることは、真に豊かである。ハッピーオーラは、周りまで明るくする。長く生きてきて、いつしか懐疑的になり、忘れかけていた理想も、トシちゃんを見ていると、現実として信じられてくる。トシちゃんの身体を通して、言葉はなくとも、多くのメッセージが、自然と伝わってくるのだ。

日本テレビ「行列のできる相談所スペシャル」でのパフォーマンスからも、いつの間にか、自分ももっと頑張ろうという、もの凄いパワーをもらった。ここで披露されたメドレーは、この番組独自のものだった。ファン歴がそれなりに長くなって、トシちゃんのメドレーは、たくさんのパターンを観てきた。トシちゃん自身、今の自分の力を十分承知で、キレイに美しく完璧にまとめあげることもできるはず。それなのに、今回も、ギリギリキツい線までとことん攻めた、ハードな曲順と曲数にしていた。これがロックなトシちゃんの真髄だ。バラード系を多めにしたり、曲順を変えたら、ここまで苦しまずに見せることもできる。それなのに、わざと後半に激しい曲を入れ、もう終わりと見せかけて、さらにもう1曲畳みかける。このロック魂は、初めて観た人や、トシちゃんをよく知らない人、美しく整ったものにしか価値を求めない人にはわからないことかもしれない。

私はトシちゃんの身体が心配で、「もう少し楽な構成にして、身体を大切にして、長く続けてください。」と、直接、ファンクラブにメールしたことがある。その後、ますますツアー構成がキツくなった。そういう声が耳に入り、何クソと、さらにロック魂に火をつけてしまったのかもしれない。ツアー中、怪我をしないかハラハラするし、今回も、攻め過ぎて大丈夫かと、見ていて心配になった。だが、結局、トシちゃんのロック魂はテレビ画面からも確実に伝わってきて、またもやウルッときた。この魂がいつもあるから、変わらないどころか、過去を上回るレベルを継続してこれたのだろう。

80年代と違いコンプライアンスに厳しい今のテレビで、トシちゃんが失言しないか、あるいは、小さくまとまってしまわないか心配だったが、いつもと変わらなかった。太田さんや友近さん、東野さんなどが温かく囲んでくれていたからかもしれないが。時代が変わっても、自分らしさを貫き、まわりを気にして合わせたりしないところもロック。トシちゃんは破天荒でいて、人を傷つけない繊細さもあわせもっているので、変わらない今のまま、テレビにたくさん出演して欲しい。余談だが、フワちゃんが「トシちゃん!」と声をかけてくれると、ゆるキャラを呼んでいるように聞こえて面白かった!もうトシちゃんは、キャラクターとして確立されているから、何を言っても大丈夫なのかも?

ロックなトシちゃんは、本人が意図するかしないかに関わらず、強い影響力を持つ。バンドメンバーを熱くし、ダンサーを鼓舞し、観客にエネルギーを与え、私たちファミリーを幸福に導く。ひいては、世の中を明るく照らす。大げさに聞こえてしまうかもしれないが、戦争やコロナ、物価高など、さまざまなことに先が見えない今だからこそ、トシちゃんの音楽と魂が、より響いてくる気がしてならない。1980年代がトシちゃんによっても牽引されたように、今の混迷した世の中を、強靭な精神で引っ張って欲しいものだ。そんな思いも含めて、トシちゃんへの愛は深まる一方で、「トシ活」はやめられない。

最後に、WOWOW番組制作者が、YouTubeチャンネルのクルーだそうで。前回、批判的に書いてしまったが、この大事な制作と重なっていたから生ライブ配信に影響したのかもしれないと思った。(そうだったら、言い過ぎてしまい、すみませんでした。この度は、トシちゃんを見事に深掘りしてくださって、ありがとうございました。届かないとは思いますが、厚く御礼申し上げます。)

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