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豪雨の太宰府で親友のパートナーとごはんを食べたら美味しいねえと楽しいねえだった

親友が福岡に遊びに来てくれた。
最終日は親友のパートナーが弾丸で福岡に飛んできてくれたので
私、夫との4人で太宰府天満宮に観光しに行った。

その日は遅れてやってきた梅雨の日みたいで
バサっと逆さにしたバケツの水が落ちてくるような豪雨に見舞われた。

雨降りすぎて全部みずたまりになってる参道

「すごい雨やねえ」「14時台の降水量14mmやて」など
先の天気を気にしつつ、地鶏を炭火で美味しくいただける『山蔵(さんぞう)』に
服をびしゃびしゃにしながら向かう。

「炭火あったかいわ〜」と暖かさを感じながら
プリプリな地鶏を網の上に乗せていくと
皮が熱に当てられて焼き目がついていった。
焼き立てを頬張る。おいしい。

朝締めの鶏を炭火で焼いていく

おいしいね、楽しいね

なんだっけ、美味しいが楽しいって思える関係が一番心地よいって
言葉が編まれた本。
そうだ、親友が「この本あげます」と置いていった
ジェーン・スーさんの『おつかれ、今日の私。』という
自分を労るセルフケアエッセイが48編収録されたもの。

彼女が「ゆっくり読んで!」と置いていってくれた本

スーさんが気の知れない女友達と食事を囲むひと時を切り取ったエピソードを書いた「美味しいねえと楽しいねえ」の章の中で以下のように書かれていた。

「美味しいねえ」がいつの間にか「楽しいねえ」になった理由はなんだろう?
多分、リラックスしたまま食事ができたからだ。
(中略)
女友達と宿の部屋で二人きり(レストランの個室とはまた違う空間!)で気兼ねなく食べた和食コースは、びっくりするほど味がわかって美味しかったのだ。
美味しいと自然と楽しくなった、食事って、八割くらいはこうあってほしい。
食事が難しくなったんじゃない。私が食事を難しくしていたのだろう。

『おつかれ、今日の私。ーP148-151』

地鶏のお店で食べていたときは、
お互いパートナー同士が隣り合って座っていたのもあるし、
目の前に美味しいご飯が並んでいたのもあって、
「味がわかる」場だった。変に気をつかいすぎることもないし
「タレと塩どっちが好き?」とその場の料理に意識を向けたりお互いの話をしたり
楽しかったなあ。

不思議。
今食卓を囲んでいるのは、大学や職場が同じわけでもない。
同郷の出身でもない、普通であれば交わらない人たち。


親友とは、高校3年生の夏に受けた短期英語講習で出会った。
当時の彼女は、アメリカ留学から帰ってきたばっかりで
「アメリカにかぶれていた」と本人がはにかみながら語っていたけども
外国の雰囲気を滲ませる存在だった。

足元はビーサンで、胸下まである黒髪ロングヘア。
青いリュックのなかには筆箱がなく、リュックに筆記用具を直接入れていた。
「アメリカにいたときはみんなこうしてたんだ」と話していた。

向こうは向こうで、私のことを
「お昼ご飯のためにマイお椀を持ってきている変わっている子」と
認知していたみたいで、短期講習中の発表のペアをする仲になった。

互いに別の大学に進学してからも、
彼女が声をかけてくれたことをきっかけに、毎月カフェでごはんを食べて
最近読んだ本を交換しあって近況を話し合う付き合いが続いていた。


彼女と屋久島に行こう!と二人で屋久島に行き
泊まったゲストハウスで今の夫と出会った。

ゲストハウスは彼女が見つけてくれた宿で、
夫がそのゲストハウスを発つ前日に
わたしたちがチェックインしたので奇跡のような出会いだった。

短期留学で彼女に出会えなかったら、
屋久島に一緒に行こう!となる仲じゃなかったら、
お互い旅先でゲストハウスなどの交流を楽しむタイプじゃなかったら、
多分、夫とは出会えてない。

ましてや、屋久島から帰ってきて
彼女から「屋久島で会った人のFacebookプロフィールが、あきの描いた似顔絵になってるよ!」と連絡が来なかったらメッセージを交換する仲にはならなかったと思う。
きっとそう。


彼女とパートナーもアプリで知り合ったそうだ。
普通の生活圏内で暮らしている限り、交差しない人たちが
偶然と必然が重なって4人で地鶏に舌鼓を打っている。

不思議だなあと何度も思った。
でも心地よかったし、楽しい時間だった。

なにより。パートナーが隣にいる彼女の表情がリラックスしていたのを見て
すっごく嬉しかったのだ。

もちろんパートナーシップの中身はそれぞれの関係の中でしか見えないから
わからないけども、
びしゃびしゃになったスカートも靴も、些細なことと思えるくらい
親友のパートナーと一緒にいるときに見せる顔が見れたことが嬉しかった。

なんでだろう?たぶん人それぞれ
女友達に見せる顔、親に見せる顔、子どもに見せる顔って
器用に巧みに振る舞いを微調整していきていく生き物だと思うんだけど、
わたしは彼女がどこの世界線においても幸せでいて欲しいので
パートナーとの関係がリラックスできる関係であれることが嬉しく思ったんだと思う。

こんなことを書くと愛が重いと自覚しているんだけど、
彼女は18歳で出会ってから、輝き続けている大事にしたい人なので
しょうがない、想うことは自由だ
自制はちゃんとしようと自分に言い聞かせている

次は4人でグランピングに行こうね、と
淡い約束をした

いつになるかわからないけど、それでいいと思っている。
彼女との付き合いは高校から続いて今までもこれからも続いていてほしいものだから
共通の希望を持っていること自体が尊いのだ。

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