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1月景気動向指数・速報値・一致CIは、鉱工業生産指数などの大幅低下で、前月差マイナスに転じ、景気の基調判断は10カ月ぶりに「足踏み」に下方修正か。―日本の主要経済指標予測(2024年2月29日)―

1月景気動向指数・速報値・一致CIは前月差▲3.2程度のマイナスと暫定的に予測、3カ月移動平均の前月差の3カ月累計のマイナス幅は基準の▲1.16を超えるか。(3月8日発表)

 景気動向指数の基調判断は、23年4月改定値で景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」に、それまでの景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏み」から、上方修正されました。その後5月~12月では速報値、改定値とも「改善」になり9カ月連続「改善」となっています。
 
 景気動向指数では、一致CIを使っての基調判断が機械的に行われています。当月の一致CIの前月差が一時的な要因に左右され安定しないため、3カ月後方移動平均と7カ月後方移動平均の前月差を中心に用い、当月の変化方向(前月差の符号)も加味して行われます。基調判断は「改善」「足踏み」「局面変化(上方へのor下方への)」「悪化」「下げ止まり」の5つがあります。
 
 一致CI前月差・12月速報値は+1.6の上昇でした。2月28日発表の12月改定値で労働投入量が加わり、前月差寄与度▲0.10とマイナスだったことなどで、12月改定値で一致CI前月差は+1.3と速報値から0.3ポイント下方修正になりました。実は12月改定値での下方修正が1月での景気の基調判断の下方修正につながります。
 
 もし、12月の改定値が速報値と同じだったなら、1月での景気の基調判断は「改善」のままだったと思われます。12月の3カ月後方移動平均は+0.17から+0.07に0.10ポイント低下しました。また1月の3カ月後方移動平均は12月の改定値で計算すると0.10ポイント低下し、合わせて0.20ポイント、3カ月後方移動平均の前月差・3カ月累計を押し下げるからです。

 但し、3月4日に10~12月期の法人企業統計が発表され、10月から12月の営業利益が1月速報値の段階で加わることが、3カ月移動平均の前月差3カ月累計に好影響を及ぼした場合には、景気の基調判断が「改善」に留まる可能性がある点には留意する必要があります。
 
 1月速報値の一致CIは前月差▲3.2程度の下降と暫定的に予測します。3月1日発表の有効求人倍率を1.28倍と12月から0.01倍上昇すると仮定しました。前月差下降は2カ月ぶりです。
 
 一致系列で、速報値からデータが利用可能な8系列では、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の3系列が前月差寄与度プラスに、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、輸出数量指数の5系列が前月差寄与度マイナスになると暫定的に予測します。


いったん「足踏み」になると「改善」に戻るのは早くても6月7日の4月速報値に

 1月の景気の基調判断は10カ月ぶりに「足踏み」に下方修正されると予測します。景気拡張の動きが足踏み状態になって いる可能性が高いことを示す「足踏み」に下方修正されるための条件は、「当月の前月差の符号がマイナス」かつ、「3カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が1標準偏差分(1.16)以上」です。一致CIの前月差は▲3.2程度の下降を予想します。また3カ月後方移動平均の3カ月累計の前月差が▲1.27程度のマイナスになると予測されるためです。
 
 景気動向指数の景気の基調判断が、「足踏み」から「改善」に上方修正されるためには、「原則として3か月以上連続して、3か月後方移動平均が上昇 、かつ当月の前月差の符号がプラス」になることが条件で、過去の数字が大幅に改定されなければ、早くても4月速報分が発表される6月7日になってしまいます。
 
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。