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放課後ランプ【毎週ショートショートnote】

放課後の屋上。もうここでダベるのもあとわずかだ。
この春、俺たちはこの学校を卒業する。

「よし、準備OK! やるか」

かちん。

リーダーのサトルがカセットコンロに火を点けた。ぼっと青い炎が広がり、かすかなガスの臭いがつんと鼻を刺激する。

「よし、焼くぞー!」

なけなしの小遣いで買い込んだ食材を所狭しと鉄板に並べると、屋上が肉の焼ける刺激的な匂いで満ちる。
安い細切れの牛肉だけど、これが俺たちの卒業パーティーだ。

「おまえら、何やってる!!」

突然、背後から雷声が轟いた。
振り返ると生活指導の野口が仁王立ちになっている。

「はの、ほれはですね…」

口の中が肉でいっぱいの言い訳を遮るように、野口がふんと鼻を鳴らした。

「ったく、どうせならもっといい肉買え。おまえらの卒業祝いだろうが」

仏頂面の野口が突き出したその手には、肉屋の白い袋がぶら下がっていた。

大人になった今でも、あれほど美味い肉を食ったことはない。
あの日の屋上で仲間と囲んだ『放課後ランプ』。
もう手の届かない、遠い遠い昔の話だけれど。

(436字)

【あとがき】
皆さま、大変にご無沙汰しております。
最近、公募を含めて書く方が不調でして……。
そんな時は原点に戻ろうと、めちゃめちゃ久しぶりに毎ショに参加させていただきました。と言いつつも、灯りじゃなくてお肉で攻めるあたり、やはり風情より食い意地が……(笑)

ランプは柔らかくてクセのない上品な味(らしい)


それでも5月19日の文学フリマ東京38の準備を細々と進めております。
たらはさんにもご紹介いただき、感謝感激あめあられーーー!!
皆さま、どうぞよろしくお願いいたします!!

*この記事は、以下の企画に参加しております。


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