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もだ燃やしとツトメ

私は昨年から消防団に所属している。地区の春の総会で誘われて入団したのでようやく1年が経とうというところだ。なので、1年間の行事もおおよそ経験した。飲み会、BBQ、検閲、飲み会、夜警、飲み会、規律訓練、飲み会、飲み会。。。。とても楽しく活動している。
消防団に入った感想は記事にした。

火を扱うこと

先週は「もだ燃やし」という活動をおこなった。
田んぼに水が入るまでの季節は乾燥していて、枯れ草が燃えると危ないので、人の管理下であらかじめ燃やしてしまおうというもの。
「もだ燃やし」をググっても出てこないので、この辺の方言だと思われる。

あきら「もだ燃やしの“もだ”ってなんですか?」
先輩団員「うーん、昔から言っているからそう呼んでるけど、、、分からん」

河川敷の枯れ草にバーナーでちょっと火を点けるとあっという間に燃え広がった。こんなに簡単に燃えるのかと驚き、何かの拍子で火がついたら大変だとこの活動の意義に納得した。
周囲にこんなに可燃物があるとは想像できなかった。コンクリートとアスファルトに覆われている場所に住んでいると思いつかないことがこの里山ではよくある。

どんどん燃え広がり、
あっという間にまっくろけ(そして煙がモクモク)

特に、背の高い葦の枯れ草は、いったん燃えると怖いくらい勢いよく火の柱が立った。

葦だけで2m以上の火の手

話は変わるが、林業に関わっているお寺のご住職と先日話した時に、「火は神様だからね。馬鹿では扱えない」とおっしゃっていたのが印象的だった。火はちゃんと扱えば利益をもたらすし、下手をすると災害にもなる。また、馬鹿「には」ではなく、馬鹿「では」扱えないというのがポイントだと思う。つまり、ちゃんと習って成長すれば扱えるようになるということ。
さらに言うと、原子力はまだ人間が扱えない神様であるとも感じた。

田舎の仕事

河川敷を中心に2㎞強を10人近くで分担して焼いた。見回りも含めて半日仕事だ。
先日読んだ本に「田舎の仕事は“カセギ”と”ツトメ”に分けられる。カセギは収入になる仕事のこと。ツトメは収入にならないけどコミュニティの維持に必要な仕事のこと」と書いてあってとても納得した。消防団の活動はまさにツトメだなと。他にも、住民が共同でおこなう草刈り(この辺ではニンソクと呼ぶ)や、神社のお祭りなどもツトメだ。

延焼しないように水を撒きながら。散水も割と重労働。

この地域にこういった形態が残っているのは、農作業を生活のベースとしているからだろう。
「この日は消防団が活動しているから、自分のところの田んぼも焼いてもOK!」と回覧板でまわっている。なので、あちらこちらで田んぼを焼いていて、集落中に煙が上がっていた。作業中の農家さん(みんな知り合い)に会えば挨拶して一言二言会話をする。それくらい農家さんと距離が近く、稲作が中心の生活スタイルとなっている。
稲作は現代でも共同体運営的で、カッコよく言うとゲマインシャフト的だ。だから、その共同体を維持していくためにツトメが必要なのだと思う。今回作業しながら、ぼんやりとこんなことを思っていた。

山と田んぼと畑が風景のほとんどを占める

1,300字も書いて何が言いたいかっていうと、「移住して入団した消防団がおもしろい」ということ。

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