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伝承浪漫 ~丹後国 天女はごろも伝説~

※画像はすべて拾い画を
 使用させてもらいました

伝説や伝承には、巨人や翼人、そして妖術など
奇々怪々な現象を物語に封じ込め
エンターテイメントとして
今に語りつがれているものが多くあります

たとえば、島根県のヤマタノオロチ伝説
ヤマタノオロチは漢字で書くと
八岐大蛇となり
文字通り8つの頭を持つ大蛇のことです

日本で最も高貴とされる神
三貴神のひとりスサノヲノミコトが
この大蛇の首を次々切り落とし
その骸から名刀、天叢雲剣を手にするお話です

古代日本にそんな怪獣がいたとは考えにくいのですが
当時、この山陰地方は
中国大陸から最先端の技術が伝わっており
鉄鉱石がとれる斐伊川周辺で
鉄鋼業(たたら)が盛んに行われておりました

そこで

川に大量の砂鉄が流され、水でサビた砂鉄が赤くなり
川が血のように赤く染まっていたのではないか
と、学者が推測するように

くねくね本流、支流と分かれる川を
大蛇と見立てるのです

その状況を、人々は風諭して
あのヤマタノオロチ伝説が出来上がったとしたら
どうでしょう?

八岐大蛇の『八』は古代
数字の八ではなく、大きく、とか、たくさんの
という意味だったそうです

三種の神器である天照の八咫鏡は
大きな銅鏡の姿見ですし
月読の八尺瓊勾玉は
大きな勾玉が連なった首飾りです
八つ、という意味ではなく大きな、いくつもの
ということなんですね
(ちなみに勾玉は誰も見たことがないので
本当のところは分かりません)

話を戻しましょう
この風諭を現実的な話に変換すると

たたらを営んでいた多くの豪族たちを統べた
スサノヲという男神が鉄の名刀を得た
ということになりそうです

スサノヲは、当時の出雲大社の主祭神ですから
(オオクニヌシになったのは最近の話)
出雲の国の最初の王は彼といえるでしょう

そしてその子孫であるオオクニヌシが
その後の国譲り神話となり
衰退の一途をたどるのです

このヤマタノオロチ伝説をこう解釈したとすると
伝説伝承とは、ファンタジーでありながら
実話を話すには、ちょっと憚るので
ドラマチックに風諭したもの
と、言えるかもしれません

山ちゃんは、そんな太古のミステリーを
実際にその土地を旅して
自分の中だけで好き勝手に解釈してゆく
歴史ロマンをこよなく愛しているのです

なので、近畿地方には多い時
年に24回、月に2回旅していました
今思えば、2週に1回、近畿にいるのですから
仕事して、家事もして、よく体力がもったものです

当時のマイレージって神でして
めちゃくちゃ貯まりました

丹後国一之宮 元伊勢 籠神社:宮津市
駐車料金500円だった記憶
境内は写真禁止じゃなかったかな
この右手奥に、奥宮 眞名井神社への道がある 徒歩10分くらい

さて、日本の正式な古文書、風土記には
丹後地方の天女はごろも伝説が記されています

この地は、天照大神の食を司った女神
豊受大神の出身地とあって
日本海の魚介類、丹後の豆類
さくら肉など、食の特産物が豊富でもあります

これは間違いなく脳内未解決事案
さっそく、ロマン旅へレッツゴー

天女はごろも伝説


丹後比治の山頂の真奈井の池に天女が降りて
水浴びをしていたところ
里に住むおじさんが、天女を帰すまいと
はごろもを隠してしまいました

おじさんは天女に
はごろもを返す代わりに娘になってくれといい
はごろもを返し、天女は娘となりました

天女は酒を造るのが得意で
造った酒は、飲んだ者の身体をたちまち癒し
それが話題となり
おじさん夫婦は大金持ちになりました

天女が娘になって10年が経ったころ
おじさんは、もう出てってくれと娘に言います

娘は、帰る場所をなくし
奈具の村に舞い降り
そこで豊受大神として祀られました、とさ

んんん、言いたいことは山ほどありますが
よくある昔話の流れで
貧乏人が金持ちに、平民が権力者になると
こんな風になる、という
代々日本人が受け継いだ思い込みの物語です

山ちゃんが訪れた丹後地方には
この伝説に出てくる真奈井の池の
『まない』と呼ばれる名称の神社がいくつもあります

天橋立の西のたもと
元伊勢と呼ばれる籠神社があります
その奥宮は眞名井(まない)神社といいますし

京丹後市の西の端にある豊受大神のお社も
比沼麻奈為(ひぬ、まない)神社です

どちらも、ヒーリングスポットとして
神社好きには絶大な人気を誇っております

個人的には、日本昔話のような
里の風景の中にぽつねんとある
比沼麻奈為神社、おすすめです

比沼麻奈為神社:京丹後市峰山町
田舎の集落の中をホント?あってる?と
頑張って通り切ると、突然現れます
駐車場5台分くらいあります

また、海に囲まれた
天橋立の橋の真ん中あたりにある井戸は
海水に囲まれた幅20mほどの砂州の土地に
なぜか真水が沸き上がっていて
未だに水脈が不明なんだそうです
(飲水できませんが、磯清水という井戸はあります)

天女が降りたために池が浄水になったのか
それとも浄水だから天女が降りたのか
それは分かりませんが
古くから、水と乙女は女性性の象徴
命に欠かせない水であることも然り
流れる水のごとく
あらゆる囲いに合わせてその形を変える様は
女性特有の円みや柔らかさに類似をみたのでしょう

山ちゃんが見た丹後国


・絹織物の展示物が美しかった
・おのじんさんの味噌が旨すぎた
・泊まったホテルの海老芋の煮びたしが絶品だった

なんと絹織物は、2000年前から盛んだったそうで
当時は粗末な麻の布が服に使われてましたから
大陸伝来の絹をみた時、その光沢に驚いたことでしょう

2000年前、ちょうどいい頃合いの
神代の時で弥生時代

天女とは、大陸から渡ってきた機織りの女性たちで
丹後の人々に、絹織物だけでなく
酒造りも伝えたに違いありません

その女たちが創り出す絹織物は
当時の大和人の目に
天女のはごろものように映ったのでしょう

さぁ、旅の最後は
天女が帰る場所をなくして
悲しみに暮れたまま降り立った

奈具の村です

宮津市の東側、由良という町に
その奈具神社がありました

国道から山に向かう道は
田畑の合間を車一台がやっとで
単線路を横断すると右手に
ぽつねんと小さなお社があります

奈具神社 :京都府宮津市由良
当時、誰もいなかったので変質者扱いされないか
心配だったのを覚えています

小さいけれど、社務所もあって
手入れが行き届いているのがよく分かります
これって地元で愛されている証拠ですね

あぁこの地で
天女は豊受大神となったのです

大陸から船団の一員として海を渡り
丹後半島に降り立った時
彼女たちは、こうなることを予測したでしょうか
生まれた地をはるか離れて
別の国の神となったのです

彼女たちの永きに渡る祭事で
魂は悲しみを解き放ち
この地の氏神として
あたたかく見守ってくれているのでしょうか

あぁぁぁ、俺なら

絶対許しません

そう心の中で悲しみを代弁し
境内を進みながら、邪念を膨らませたのでした

さてさて、今回の旅で体感した
大陸からきた機織りの女たちが
はごろもをまとった天女とする説を
脳内解決案件の主軸としますと

三重県伊勢市にある
全国津々浦々にある神社の総本家
かの伊勢神宮の外宮の主祭神にまでなった
豊受大神は、大陸人、ということになります

これは、当時の大陸の技術が最先端で
どれだけ和人がリスペクトしていたのか分かる
エピソードとしても解釈できるのです

この時代のあとも
大陸人が次々と日本に住みつきます
絹織物だけにとどまらず
様々な技術が、伝承されていったのでしょう

そして人種は、中国人だけではありません
シルクロードを経てインド人や
遠くペルシャ人までもいたと言いますから
日本は、国際都市だったんですね

ふぅ、脳内解決

2泊3泊の旅では
歴史の表層の旅にしかならないでしょう
それでも、いくつもの神話や伝説が結びつき
当時の権力分布や
暮らしぶりを垣間見ることができるのです

せっかく旅するなら
浪漫ちっくに演出すると
同じ絹織物も、はごろもに見える
かもしれません

有名な伝承といえば、他にも
和歌山県新宮市の徐福伝説があります
この旅もまたの機会に
お話しできたらと思います

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

おのじんHP
ふるさと納税あり、チェックです

泊まったホテル 旧プラザホテル吉翠苑
宿泊費が当時の2倍以上になってる(笑)
ここの料理が、なんせ美味しかった
豊受のご加護だにゃ


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