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「書き出し」は、15の型で書き分ける 【文章術020】

僕のnoteでは、これからライターを目指す人や、新たなスキルを身につけたいビジネスパーソンに向けて、文章力を培うためのポイントを解説し、練習課題を出していく。

今回は、記事の冒頭部分——いわゆる「書き出し」で使える15の型について紹介したい。

書き出しは重要

記事の書き出しは、重要な役割を持っている。もし、記事の「タイトル」を「店の看板」と例えるならば、「冒頭文/書き出し」は「店の内装」や「店員の雰囲気」といったものに相当すると思えばよい。

例えば、「スペシャルカレー」という看板が気になって、その店の中を覗いたとしよう。エスニックな内装の店で、一人だけの店主がスマホをいじりながら椅子に座っているとしたら、スパイスが効きつつもどこかで食べたことのあるありきたりなカレーが出てきそうだ。あるいは、定食屋か喫茶店のような内装の店で、老夫婦が2人で厨房に立っていたとしたら、欧風のビーフカレーや香草を効かせた創作カレーなどを想像するかもしれない。

要は、内装や定員の雰囲気によって、客は「どんな店だろうか?」という想像を膨らませることになる。その想像が当たるか、外れるか、はここでは重要ではない。そういう現象がある、ということが重要だ。

つまり、文章の書き出しを見たとき、読者は「あ、この文はSEOを意識して書いているブログ系の記事なんだな」とか、「ストレートニュースだ」とか、「おや、この文はなんだかほかの記事と雰囲気が違うな。少し読んでみようか」とか無意識に判断しているわけである。

では、書き手側は無意識に冒頭文を書いていて良いだろうか? 否、意識的な使い分けができないとまずい。


どんな書き出しがあるか

そこで、書き手としては、どんな定番の書き出しが存在するのか、を知っておく必要がある。具体的には、以下の15のパターンに大別できることが多い。新聞、雑誌、ムック、書籍、ブログ、noteなどなど媒体によってよく使われるパターンは異なるが、一通り押さえておこう。

|1|自己紹介型:「こんにちは、いのうえあきらと申します。僕は先日〜」
|2|他者紹介型:「35歳で脱サラし、企業した田中太郎氏。彼は〜」
|3|課題提示型:「写真がうまく撮れないと悩んでいませんか? 実は〜」
|4|知識共有型:「皆さんは原稿料の相場について知っていますか? 実は〜」

|5|結論型:「記事の書き出しは重要な役割を持っている。もし〜」
|6|決め台詞型:「デザインはチカラ——。そう思う出来事が〜」
|7|事実型:「A社は3月14日、新製品のスーパーAを発売した。同製品は〜」
|8|自己開示型:「最近、イヤホンを3台購入しました。その理由は〜」
|9|自己主張型:「僕は電子書籍よりも紙の本が好きだ。そんなわけで〜」
|10|ポエム型:「春の雲はふわふわして甘そう。おもわず手を〜」
|11|トレンド型:「多くの企業がメタバースに注目している。きっかけは〜」
|12|情景描写型:「電話が鳴った。珍しく父からの〜」
|13|セリフ型:「『予約が取れていなかったって?』僕はフロントに〜」
|14|内容説明型:「僕のnoteでは、これからライターをめざすひとや〜」
|15|サマリー型:「書き出しの型として覚えるべきは3つある。それは〜」

なかでも、太字で記した書き出し——「他者紹介型」「課題提示型」「知識共有型」「結論型」「決め台詞型」「事実型」「自己開示型」「自己主張型」「トレンド型」「サマリー型」——については、実際に僕も仕事でよく使っている。

繰り返しになるが、これらの型は、店の内装と同じで、「どんな記事になるのか?」を読者に想像させる役割がある。そのため、有効に使える場面が自然と限られやすい。

たとえば、商品の購買意欲を高めるWeb記事ならば、課題提示型やトレンド型が使いやすいだろう。また、文字数の限られる雑誌本文ならば、結論型やサマリー型は必須のテクニックとなる。

なお、前提として、いつも書き出しを同じにすることは、何かしらの意図がなければ避けた方がよい。たとえば、本マガジンでは、新規流入者に対してターゲットとなる読者層をはっきりさせるために意図的に書き出しを統一しているが、その反面、記事としての導入部の面白さは削がれている。それでも良いとして意図的にやっているが、最善作ではないだろう。あるいは、ブロガーやnote投稿で個性を出すために、必ず自己紹介型を使うというのも一つの戦略だと言えるが、原稿に書き手のキャラクターが滲み出てしまうため、クライアントワークの受注原稿では使いづらい。

そのため、「書くことを仕事にする」「書き手の能力をUPする」という論点で話せば、複数の型を使い分けることは重要なスキルだ。もし企業クライアントから「こんな記事が欲しい」と言われたときに、書き手が要望を無視して自己紹介型を書いてきて「ちょっと待て」と思われることは避けよう。ぜひ、文章の用途に合わせ、複数の型で書けるようにチャレンジしてみて欲しい。

練習課題

【課題020】他人のnoteの投稿を検索しつつ、任意の20個の投稿の書き出しについて、本稿で紹介した型のどれに当てはまるかを考えてみよう。また、「他者紹介型」「課題提示型」「決め台詞型」の3つについて、それぞれ自分の文章で例文を書いてみよう。


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