暁(あきら)

仕事や己の充実について 口では言い表せない感情について綴っていくアカウントです

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最近の記事

仕事が出来ない⑤

「暁先生」 名前を呼ばれふと我に返った。返るべき我がある事に驚いた。私は放心したまま、その場から動くことが出来ずにいたのだ。 「この書類の確認お願いします」 気を使ってくれたのか集中出来る作業を提供してくれた。 日付、名前、内容、サイン、次から次へと目に映る情報を頭を使わず処理していく。抜けがなく既に処理された書類というのはすぐ分かった。 定時になり、その日は直ぐに帰宅出来た。ご飯を食べ風呂に入り、目を瞑る。時間は平等に流れ、何一つ変わることなく次の日はやってくる。 快眠だっ

    • 仕事が出来ない④

      前日はよく眠れた。のだと思う。疲労感と期待で横になった気絶にも近いそれは翌朝、何故か不快感なく私を起こした。 軽い足取りで職場へ向かう。面接に訪れた時より外見が明るく見えたのは時間帯のせいだったのだろうか。 「よろしくお願いします」 出迎えてくれたのは私と歳が近そうな男性だった。制服の貸与と1日の流れを簡潔に聞いた。管理者はどうやら不在らしい。雑談や掃除で時間を潰している内に管理者の出勤時間になった。 「大変だと思うけど頑張ってね」 先程聞いた話だが、どうやらこの事業所は子で

      • 仕事が出来ない③

        私がその人と初めて出会ったのは中学2年生の頃で、3歳上の姉が進路相談で悩んでいる時だった。 「弟君?」透き通った声とどこか心を落ち着かせる表情の持ち主は私の方を見ていた。どうやら彼は学校の先生で姉のこれからの進路についてテーブルを挟み母親と姉の3人で話しているらしい。「はい、生意気なやつですよ」先程とは違う明るいトーンで姉が微笑む。 これからの人生の分岐にもなりうる重大なイベントが目の前で起きていた事に気付いたのはまだ先だった。 「元気ですか?」再び目の前であの日と同じ光景が

        • 仕事が出来ない②

          紹介されたアルバイトは学童保育だった。放課後、親が仕事や用事で家に誰もいない理由等から、その時間子供を見守るといった内容だ。 面接は難無く通った。いつ以来か物事に全力で取り組む事がなくなっていた私が「どういうルームにしていきたいですか?」と聞かれ、それを熱心に伝えたのだ。言うは易しとはよく言ったものだ。 そのアルバイトが案外、「楽しい」と感じた。元々子供が嫌いなわけじゃなかった。彼らは今この瞬間を全力で楽しんで生きている。その無邪気さ故の残酷さが私には眩しく見えたのだ。 また

        仕事が出来ない⑤

          仕事が出来ない

          この見出しを語るにあたって先ず自分の生い立ちについて話さなければならない。 生まれは大阪で特別裕福でも貧乏でもない家庭だった。私が小学4年生になるまで父親は夜の遅くまで働いていたので顔を合わせる時間も少なければ話したことも少ない。その影響もあってか24歳になった今でも仲は良いとは思わない。 子供心ながらいつかは自分もこうなるのかと将来への不安や絶望を感じていたのを覚えている。 時は流れ高校3年生の夏、進路相談にて自分がやりたい事がないことに気が付いた。夢や、やりたい事というの

          仕事が出来ない