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大きくなったらリリー・フランキーになりたい

 「影響を受けた人は誰ですか?」

 皆も一度は聞かれたことがあるんじゃないだろうか?いや絶対ある。

 どうもnoteを読んでいる人は学生より社会人の方が多い印象だ。そして社会人であるなら面接で、飲みの場で、他愛もない会話で、必ず登場したことのある言葉だろう。

 さて、では皆どう答えているのだろう?

 俺より年上の方々がどんな流行りものを追いかけていたかわからないが、著名な有名人を挙げるなら長嶋茂雄やらイチローやら。アーティストで言ったら甲本ヒロトやらチバユウスケやら。はたまた平成を抱いた男キムタクやら、平成に抱かれた女安室奈美恵やら。そこら辺であれば22歳のペーペー大学生でも浮かんでくる。
 
 今の僕ら世代の人たちはどんな人を挙げるんだろうね?まぁ王道は大谷翔平とかになってくるのかな。

 ともかく基本的に誰もが知っている様な人物が憧れの対象、或いは影響を受けた人物になりやすい。かく言う僕もその一人である。

 「影響を受けた人物?そりゃリリー・フランキーだね」

 最近このセリフを使うとキョトンとされてしまうことが最近多いのだが、 実に業腹なことである。

 個人的にリリー・フランキーは大谷翔平を凌ぐ人間性の持ち主だ。僕としては「まさか知らないなんてことは無いよね?」ぐらいのテンションなのだがなぁ。

 僕が小さい頃。それこそ小学生になるかならないかぐらいの頃はまだ、どこかのチャンネルで『おでんくん』がやっていたので、「知らないの?おでんくんの作者だぜ」「あぁ〜そうなの!?」と二の矢を打つことが出来るのだが、二個下、三個下ぐらいの子と話すとそれすらもピンと来ないらしい。

 事実として、リリー・フランキーを知っている人間は少なくなりつつあるのだ。一昔前はちっちゃな子供ですらキャーキャーサインを求めていた気がするんだが、どうもそこから十数年の時が経っているらしい。時の流れって残酷ね。

 ということで、もしかしたらリリー・フランキーを知らない人がいるかもしれないので、二言だけ説明を置いておく。

 『何をしているかわからないおじさん』

 『下ネタばかり言うがどこか詩的さを醸し出す文筆家』

 こんなところで十分だろう。何となく多くを語るべきではない気がする。とはいえ、この人のエッセイは中々に蠱惑的なものだ。

 初めて読んだのは確か『美女と野球』、その次に『増量 誰も知らない名言集』を読んだ。あれは中学一年生の時。朝読書の時間に読む本が無い僕は手持ち無沙汰に適当な本を手に取っていたのだが、そんな僕に、今でも仲のいい親友Y君が「これおもろいぜ読んでみ」と渡してきた本が『美女と野球』だった。
 
 どうも彼の親父が持っていた古本らしく背表紙はボロボロだったが、中身は随分とませた光を放っていた。あまりここで詳しくは書けないが、女性の直腸を菊門から抉り出す調教師の話や、中に出してないからヤッてないと言い張る友達の話。後はイチジク浣腸の話などは今でも僕の脳裏に焼き付いて離れてくれない。
 
 異性の『い』の字も知らなかったスーパー青二才の僕らはこの本で性知識を得ていた。もしかすると今、ある程度健全な生活を送れているのはこの本のお陰かもしれません。全国の子供に厳しいババァ達!子供に健全に生きて欲しいならリリー・フランキーを読ませましょう!
 
 この時から、僕は謎の魅力をリリー・フランキーに感じていた。この人はなんか楽しそうだな。と良く夢想したものだ。どうなるのかは知らないけど、こう言う人生は人間味に溢れてて素敵だ。

 拝啓。リリーさん。お元気ですか。
 僕はあなたの様な、何をしているかわからない飄々としたアングラな大人になりたいです。いつでも下の話ばかりして子供じみた脳みその大人でありたいです。絵本の主人公に餅巾着を選ぶぐらいのセンスを持っていたいです。
 あなたはEDになってからが本番と言うけれど、僕はあなたの様な人間臭い人間になりたいのです。


 ちなみにリリー・フランキーで通じない人には「あ〜わからないか。あれだね。窪塚洋介とかにも結構影響受けてるかな」と言うようにしている。リリー・フランキーを知らない道徳の乏しい奴らには窪塚もやはり通じないし、逆に知っている人は余計怪訝な顔を浮かべるのであった。

 
 

 

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