ワクチンに求められる本来の役割

AKIRAです。
久しぶりに記事をば。


ワクチンに求められる意義とは

意義、という表現を使うと非常に難しく聞こえるかもしれません。要は、「何のためのワクチンなのか」という点です。

本来、ワクチンを打つ目的は、特定の感染症個体に対する免疫学的な情報を自分の身体に提供することにあります。
したがって、「打てば免疫力が上がる」とか「打つことでウイルスによる症状を抑えられる」とかそういうことを目的とした代物ではないということです。

逆を言えば、「情報提供」が身体に対して明確な有利を示さない限りはワクチンと言えるほどの製品的価値はないということになります。

その点で言えば、「単一の情報を大量に吐き出す」というmRNAワクチンのコンセプトは、人間の体にとって有利なことではないことはすでに科学的に立証されています。
具体的にはADEや抗原量コントロールの制御不能がこれに当たります。

そもそも有効成分としてmRNAを採用したこと自体が大きな間違い

そして、核酸製剤を利用する以上、気にしなければならないポイントが遺伝子発現の制御です。

意外と注目されていませんが、そもそもmRNAワクチンのmRNAがコードしているタンパク質はウイルス由来のものです。
人間だけでなく、生物の細胞はこのような自分に関係のない物質をつくる遺伝子に対して拒絶反応を起こすシステムが備わっています。

例えばCRISPRは、研究の世界では遺伝子変異をつくるためのツールとして利用されていますが、元は細菌がウイルスの侵入に対して自分のゲノムにウイルスのゲノムを挿入されないためにウイルスゲノムを分解する手段として編み出した細菌独特の免疫機構です。

同様に、人間の身体にも外から細胞内に入ってきたDNAやRNAを排除する機構が備わっています。
しかし、mRNAワクチンでは、外から入れたRNAからタンパクをつくってもらわないと困るので、分解されると不都合なのです。分解を防ぐには、細胞の防衛機構をかく乱しないといけないのでmRNAには人工塩基が使われています。

細胞を守るために細胞自身の防衛機構に茶々を入れるなど、もはや本末転倒です。

ではなぜウイルスのゲノムは細胞に入っていけるのか?

「でもウイルスのゲノムだってDNAやRNAじゃん。なんで防げないの?」

こう考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ウイルスの場合は細胞が栄養を取り入れる経路を利用して侵入したりするので気づけない、という事情があります。
また、前にも申し上げましたが、免疫細胞はウイルスのタンパク情報を抗原として取り扱っているため、塩基の構成成分がヒトと同じウイルスのゲノムをターゲットにすることはできないという事情もあります。

これにより、非常に濃度の低いウイルス粒子を早い段階から認識することは不可能なのです。これは、ワクチンにおいてもほぼ例外のない事実と言えます。

カギとなるのは体内に入れないこと

その意味では、究極的なウイルスに対する対抗処置は鼻や口など、ヒトの身体と外気との接点である粘膜上からのウイルスの侵入をできるだけ防ぐことが重要となります。

そのために必要なのは、IgA抗体と呼ばれる粘膜分泌型の抗体です。そして、その発現量も重要となります。
粘膜上の細胞への侵入をIgA抗体がウイルス粒子を中和することで防ぐのです。
もちろん、単純な量だけでなく「どんなウイルスに対する抗体か」「そのウイルスに対する特異抗体ではなく中和抗体を誘導できているか」など、懸念することはいろいろあります。

一方、論文で扱われている中和抗体のクラスタイプはIgAではなく、IgGです。IgGは血中に分泌されるB細胞が成熟した免疫細胞が遊離する抗体クラスタイプです。
つまり、IgGクラスタイプを重視するということは、ウイルスが血中で増殖するレベルの感染を防ぐことを目的としてしまっているということになります。

そう、界隈の感染に対する評価は、既に見るべきポイントが大きくずれてしまっているのです。だから、IgG抗体の抗原に対する親和性をいくら評価したところでそれがそのままウイルスの抗体価として適切な指標とはなりません

もちろん、細胞性免疫も風邪ウイルスの治療には重要なファクターではありますが、獲得免疫においては後手に回ってしまう免疫経路であるので、ワクチンがターゲットとする免疫系統ではないことは現状でも十分説明できる話でしょう。

これらのことが示唆するワクチンの目指すべき設計モデル

ゆえに、ワクチンに求められる本来の形は、以下のようなものでなければいけません。

1、感染個体に適した情報提供ができる形でなければならない
2、感染個体ごとに特化した設計モデルでなければならない
3、ワクチンが産生した抗原の質と量が生体に不利益を起こしてはならない
4、遺伝子発現制御をはじめとした細胞内の正常なコアシステムに影響を与えないコンセプトでなければならない
5、1~4の要素が試験管内、生体内、治験レベルのいずれの評価系においても有効性と安全性を保証できるコンセプトと実績を持っていなければならない

これらすべてを満たすワクチンデザインとして核酸(DNAやRNA)製剤が適切だとは私には思えないのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?