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映画「時計じかけのオレンジ」/狂気が足らない!

映画「時計じかけのオレンジ」

強盗・強姦・ホームレス狩りなど、やりたい放題のかぎりを尽くす荒くれ者軍団のリーダーが捕まり、刑期の大幅な短縮を条件に新しい治療の被験者となる。

(以下、感想)(若干のネタバレあります)

名作と言われてるので、一回見てみようと思ってチャレンジしたが、はじめの理解不能な導入で断念していた。 ところが先日、短い漫画で名作映画を紹介するTwitter上のアカウントで本作の紹介があり、それなりに面白そうなストーリーだったので再チャレンジすることにした。

はじめ30分くらいまでは主人公率いる荒くれ者たちが蛮行の限りを尽くすため、興味のある方は主人公が刑務所に入るところまで耐え切って欲しい。冒頭は夢幻的で意味もわからなかったのだが、収容されてからはそれなりに理解できるストーリー展開になったので驚いた。 新しい治療というのが、映画の暴力シーンや強姦の映像をずーーーっと見続けさせるというもの。2週間の【強制視聴】をさせられた主人公は、釈放後、暴力を振るおうとしたり女性を触ろうとあると強い吐き気を催し、立つことができなくなる。

…のだが、私はイマイチ納得できなかった。治療で主人公が悲鳴を上げるシーンは少し短く感じたので、そこまで苦痛を呼ぶものなのか腑に落ちなかった。別に架空の治療法だから根拠も何もあったものではないのだが、説明しようという努力が足らない気がした。ジャンル違いで恐縮だが、ジュラシックパークなどは恐竜を復活させるDNA技術など、「なんかそれっぽい」説明はしてくれる。本作では、それが足りないように感じた。

あと、最後がぬるっと終わった気がして、失笑してしまった。皮肉なオチだということをもっと強調して終わって欲しかった。人によれば気持ちの悪い作品だろうけど、個人的には序盤以降は狂気さが足らない気がしたので、それならそれでストーリーの切れ味の鋭利さで魅せるとか、徹底的に惨めな気持ちにさせるとか工夫が欲しかった。
私は没入感にやかましいタイプの視聴者なので、下手な子役の演技や雑なセットを見ると一気に熱が冷めてしまう。今回の映画は主人公や、4人組に襲われた家主の演技はとても良かった。困惑や憤怒がよく伝わった。 説明は物足りなかったが、映画作品として新らしいことをやろうとしたという強いチャレンジ精神は感じたので、見たことは後悔していない。どんなに映像が綺麗でも感動させる演出があっても、そこに【開拓精神】が無ければ見たことの意味は感じられない。

ご興味ある方は、ぜひチャレンジを!

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