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『読まれたいひとりごと』 #7 いつかなんて来なくても

先日の記事に少し補足をしたい。自分で読み返しても物足りないのだから、これは書いた方が良いのだと思う。

足を痛めたのがきっかけで、当時トレーナーをしていた私と会員さんに絆が生まれた感動秘話があったのである。

『読まれたいひとりごと』 #6 全てに感謝、なんてしない

笑いやツッコみを期待して大げさに書いておきながら「感動秘話」の説明を省いてしまったのは失敗な気がしている。睡眠不足は避けたいけれど、書かなければ書かないでモヤモヤして眠れなくなりそうだ。(気にしすぎ?)

スポーツクラブでトレーナーをしていた時、ある女性の会員さんが転倒して足を痛めた。声をかけ、痛む場所を見せてもらうと足首が腫れて赤くなっていた。その半年ほど前に転んで怪我をした私と同じような状態だった。申し訳なさそうな表情をしていて、すぐに帰りたそうな感じだった。でも、まずは冷やそうと提案して、そのままベンチに座ってもらいながら話をした。
「これは病院で診てもらった方が良いですよ」
「大丈夫です!大した事ないですから」
「ダメです!私も同じような怪我をしたんですけど、ほっといたら半年経った今も治らないんですよ」
「えっ?半年もですか?」
「だから、病院は行ってください、ね?」
この時、本当に半年だったのかは記憶が曖昧なのだけれど、運動をしてもしなくても違和感が続いていて、サポーターや痛み止めも頻繁に使っていた。だから、この会員さんには適切な治療を受けて欲しかった。これまで、挨拶程度で話した事も無く、私より10歳は年上と思われる人に強い口調で説明をするのは申し訳ないと思ったけれど、どうしても説得したかった。

それから、3か月くらい経った頃、プールで監視業務をしていた時だった。
「あの時はありがとうございました!」
顔を見てすぐにわかった。足を怪我した女性だった。治療を受けてずっと休んでいて、やっとプールでのウォーキングの許可が出たと笑顔で話してくれた。話をしたのは怪我の対応をした数分だけなのに、私の事を覚えていてくれたのが嬉しかった。そして、受診を勧めたのも間違いでは無かったのだとホッとした。それから、その会員さんとは親しくなっていろいろと雑談をするようになった。

これを「感動秘話」というのは大げさだけれども、ちょっと悩んだり落ち込んだりすると「私なんかいなくても」「私じゃなくても良いんじゃない?」と考えがちなので、こうして誰かに感謝してもらったり、覚えていてもらえた喜びで「生きていて良かった」と思えるようになる。自分の機嫌は自分で取る。でも、本当に誰も認めてくれない毎日だったら辛いだけだ。

こんな風に時間が経っていても、すぐに見つけてもらえたり「変わっていない」と言われるのが嬉しい。だから、自己満足で終わってしまうとしても、納得の出来る選択をしていたい。いつ誰に会っても笑顔でいられるように。

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