「EUは何故停滞しているのか気づけない」これはそっくりそのまま日本に言えることではないか?
下記の様なヨーロッパの停滞についての分析ポストがあり、興味深いので日本に当てはめて考えてみようと思います。
EUの停滞
このポストではEUでビジネスを開始し、資金を調達し、イノベーションを行い、リスクを取った報酬を得ることが困難であると述べています。これが、ヨーロッパの起業家たちがアメリカのデラウェアで会社を設立し、米国で資本を調達し、そこで株を売却したりIPOを行ったりする理由であると語っています。そして、EUにはなぜトリリオンドル企業がなく、最大の企業トップ10にヨーロッパ企業が入っていないのか、と問いかけています。
EUと同じような問題を抱える日本
日本は高い技術力を持っているものの、スタートアップの生態系や資金調達の環境は米国に比べてまだ発展途上ですから、ヨーロッパと共通する課題を持っているという考え方は十分にあり得えます。日本はロボティクス、電気自動車、バッテリー技術、半導体、医療技術などの最先端技術を持っている一方で、日本が直面している課題は、新しい技術やアイデアが市場に受け入れられるまでに時間がかかること、または起業家精神を育む環境が十分に整っていないことが挙げられます。
日本もEUと同じくスタートアップが起こりにくい理由
日本ではスタートアップやベンチャー企業への投資がまだ発展途上で、特にベンチャーキャピタル(VC)、シードアクセラレーター、エンジェル投資家の存在が限られているというのは重要なポイントです。銀行融資は比較的リスクが低く、確実なビジネスプランを持つ企業に対して行われる傾向があり、イノベーションには必ずしも適していないという側面があります。
伝統的に貸出機関としての役割を果たしてきた銀行
こうした背景には、日本の金融文化が大きく関係しているかもしれません。日本では伝統的に、銀行が主要な貸出機関としての役割を果たしてきました。これは、アメリカなどの市場と比較して、個人投資家や投資ファンドがスタートアップに直接投資をする文化が根付いていないことを示しています。
スタートアップ支援の取り組みJ-Startupプログラム
しかしながら、日本国内でもスタートアップへの投資風土は徐々に変化しており、近年では、日本政府もスタートアップ企業の支援を強化し起業家精神を促進するための政策を打ち出しています。たとえば、J-Startupプログラムは日本の革新的なスタートアップの発展を支援するための取り組みの一つです。
また、多くの日本企業がCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)を設立し、スタートアップとの協業や新技術への投資を活発化させてきています。こうした動きは、日本のスタートアップエコシステムにとってプラスとなり、徐々にだけど国内外の投資家を引きつける力となっています。
このような背景を踏まえると、日本のスタートアップがより多くの支援を受け、国際的にも競争力を持てるようになるためには、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家によるリスク資本の提供の拡大、国内外の投資家ネットワークの構築、そして創業者支援プログラムのさらなる充実が求められます。
「マネーの虎」的なエンターテインメント投資番組
マネーの虎のような番組は、実際にはエンターテインメントとしての側面が強く、厳密な意味でのスタートアップのエコシステムやベンチャーキャピタルの仕組みとは異なります。そうした番組は一般的に、創業者と投資家とのドラマチックな交渉や、個性的なビジネスアイデアを紹介することで視聴者の注目を集めるものです。その過程で、ビジネスの基本や起業のリアリティ、そして資金調達の一面を垣間見ることはできるけれど、実際のスタートアップが直面する複雑な課題や、本格的なベンチャーキャピタルによる資金調達プロセスとは異なるのです。
番組の時間枠内では十分には扱えないもの
スタートアップにとって本当に重要なのは、持続可能なビジネスモデルの構築、スケーラブルな製品やサービスの開発、技術革新、市場での競争力などで、これらはテレビ番組の短い時間枠内では十分には扱えないものです。加えて、スタートアップに必要なのは単発の資金提供だけではなく、長期にわたるメンターシップ、ネットワークの提供、ビジネス運営に関する知識の共有など、より広範囲のサポートが必要とされます。
このような背景を理解することは、日本における真のスタートアップ文化の育成と、ベンチャーキャピタルによる健全なエコシステムの構築に向けた議論を深める一助になるかもしれません。
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