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GPT-4oリリース後初のサム・アルトマン対談

Sam Altman talks GPT-4o and Predicts the Future of AIというyoutube動画が上がっていたので解説していきます。やっとGPT-4oができたためか、サム・アルトマンの言葉が今までの「GPT-4はあなたが手にするもっともおろかなモデルになるだろう」みたいなベールに包まれた発言ではなく、非常に明確な発言になっています。

スプリングアップデートで公開されたマルチモーダル AI

サム・アルトマンは、音声で操作できるコンピュータの未来について話しました。彼は、これまでにもSiriのような音声アシスタントがあったけれど、あまり使いやすくはなかったと言います。しかし、最近の技術はもっと進化しています。新しい音声アシスタントは、できることが増えて、速く反応し、声の調子や話し方がより自然になっています。例えば、「もっと早く話して」や「別の声で話して」と指示できるようになり、使うのがとても楽しいと感じています。映画監督のスパイク・ジョーンズも、この技術の進歩を見て誇りに思うでしょう。

マルチモーダル AI の驚くべきユースケースと利点

サム・アルトマンは、最近実装された新しい機能について話しました。この機能は、コンピュータやスマホをもっと便利に使えるようにするものです。彼は、まだ使い始めて1週間ほどしか経っていないけれど、とても驚いていると言います。例えば、作業に集中しているときに、スマホを机の上に置いたまま、他の作業を中断することなく質問できるのです。

通常なら、作業を中断して別のタブに切り替えたり、何かを検索したりするためにクリックしたりしますが、この新機能では、作業中にそのまま質問して、瞬時に回答を得ることができます。これがとてもクールだと感じています。

このように、作業を効率よく進めながらも、必要な情報をすぐに手に入れられるので、時間を無駄にせずにすみます。新しい技術のおかげで、もっとスムーズに作業ができるようになったとサムは言っています。

AIが生み出す映像をライブで体験できる様に

サム・アルトマンは、新しい技術について話しました。この技術は、デバイス上で動作するAIモデルを開発し、使いやすさのために遅延を減らすことを目指しています。

サムは、将来的にAR(拡張現実)ゴーグルを装着し、リアルタイムで世界と対話し、物事が変わる様子を見られることがすごいと思っています。しかし、ネットワーク遅延があると、それが難しくなるかもしれません。現在では、200〜300ミリ秒の遅延があっても、多くの場合、人間が応答するよりも速く感じられます。

サムが以前Xでポストした「映画はゲームになる」という発言は、まさにこのような未来を指していると思います。将来の映画は録画された映像をただ見るだけでなく、AIがリアルタイムで生成する映像をライブで体験するものになるという意味です。

つまり、AIがストーリーや映像をその場で作り続け、それを観客がリアルタイムで体験するという、インタラクティブで没入感のあるエンターテイメントの未来を示唆しています。これにより、映画の視聴体験が大きく変わり、よりパーソナライズされた体験や、観客がストーリーに影響を与えるような新しい形のエンターテイメントが実現されるでしょう。

最も有望なアプリケーションや分野


サム・アルトマンは、次の12か月で最も有望なアプリケーションや分野について、特にコーディングが非常に大きな分野になると考えています。これは、AIがプログラミングやソフトウェア開発を効率化し、改善する能力を持つことに起因しています。

専門的なモデル vs. 一般的なモデル

サムは、特定のデータに基づいて特定の目的のために訓練された専門的なモデルと、真の推論能力を持つ一般的なモデルの違いについても言及しています。

  • 専門的なモデル:特定のデータセットやタスクに特化して訓練されたモデルです。例えば、特定の種類の画像認識や特定の言語の翻訳などに特化したモデルがこれに該当します。これらのモデルは、その特定のタスクに対して非常に高い性能を発揮しますが、新しいデータや異なるタスクに対しては柔軟性が低いです。

  • 一般的なモデル:真の推論能力を持ち、新しいデータやタスクに対しても適応できるモデルです。これらのモデルは、特定のタスクに特化していないため、幅広い用途に対応できます。新しいデータに対処する方法を学べるため、必要なデータを提供すれば対応できるのが特徴です。

真の推論能力を持つ一般的なモデル

サム・アルトマンが強調しているのは、AIが真の推論能力を持つことで、多くの専門的なタスクに対しても柔軟に対応できるという点です。具体的には、AIが新しいデータや状況に対しても効果的に適応し、正確な判断や推論を行う能力を持つことを意味します。

例えば、AIが新しい種類のデータセットを提供されたとき、そのデータを迅速に理解し、適切な反応や予測を行うことができる能力です。これは、人間が新しい情報を学び、それを基に行動を調整する能力に似ています。

OpenAIはAIが真の推論能力を持つために、さまざまなアプローチや技術を用いて学習を進めています。以下に、その主な方法をいくつか説明します。

  1. 大規模なデータセットの使用
    テキストデータ:AIモデル(例えばGPT-3やGPT-4)は、インターネット上の膨大なテキストデータを学習しています。これには書籍、記事、ウェブページ、フォーラムの投稿などが含まれます。この大量のデータからパターンや関係を学習し、自然言語処理の能力を向上させます。
    多様な情報源:データセットには、科学、歴史、技術、文化などさまざまな分野の情報が含まれています。これにより、モデルは幅広い知識を獲得し、多様なトピックについての理解を深めます。

  2. 多目的なタスクの学習
    ゼロショット学習:AIモデルは、特定のタスクについて訓練されていなくても、テキストの理解と生成に基づいて新しいタスクをこなすことができます。これをゼロショット学習と呼びます。
    マルチタスク学習:モデルは、複数のタスクを同時に学習することができます。これにより、異なるタスク間の共通点や相違点を理解し、柔軟に対応できるようになります。

  3. 強化学習とフィードバックループ
    強化学習:強化学習は、モデルが特定のタスクを行う際に得られる報酬を最大化するように学習する方法です。例えば、対話型AIがユーザーとのやり取りで高評価を得るために適切な応答を学習する場合です。
    人間のフィードバック:モデルの応答に対して人間がフィードバックを提供することで、AIはそのパフォーマンスを向上させることができます。これにより、モデルはより自然で有用な応答を生成するようになります。

  4. マルチモーダル学習
    視覚と音声の統合:OpenAIは、テキストだけでなく、視覚や音声などの異なるモダリティを統合したモデルの開発も進めています。これにより、モデルは複数の情報源から学び、より豊かな理解を持つことができます。

  5. スケーラブルなモデルとインフラストラクチャ
    大規模モデルの構築:GPT-3やGPT-4のような大規模モデルは、数十億から数百億のパラメータを持ち、非常に高度な推論能力を発揮します。これにより、複雑なタスクや多様な応答を可能にしています。
    クラウドコンピューティングの活用:高性能な計算資源を用いてモデルのトレーニングを行い、短時間で大量のデータを処理することができます。これにより、モデルの学習速度と効率が向上します。

サム・アルトマンが語るロボットの未来

彼はこの様に語りました。

自然言語処理はこの2年間でかなり良くなっていますが、私は、人間とAIが共に使える未来をデザインすべきだという考えに興味があります。人間とAIが同じ方法で使えるようにです。だから私は、他の形式のロボットよりもヒューマノイドロボットにもっと興奮しています。なぜなら、世界は今や非常に人間のために設計されていて、もっと効率的なもののために再設計されることを望んでいないからです。

サム・アルトマンが考えているのは、人間に寄り添うロボットです。彼のビジョンは、AIやロボットが人間と共存し、私たちの日常生活をサポートすることです。家庭内サポートロボットや医療サポートロボットは、その一例として非常に適しています。

家庭内サポートロボット

  • 役割:家事の手伝い、高齢者の介護、子供の世話など。

  • 利点

    • 人間の形を模倣することで、既存の家庭環境に適応しやすい。

    • 感情認識や自然な対話が可能で、家族の一員としての役割を果たせる。

    • 安全性の高い設計により、家庭内での事故を防ぐ。

医療サポートロボット

  • 役割:患者のリハビリ支援、病院内での看護補助、診断補助など。

  • 利点

    • 患者との対話やサポートを通じて、医療従事者の負担を軽減。

    • 感情認識により、患者の心理状態を把握し、適切なサポートを提供。

    • 高い精度と安全性を持つ動作で、患者のケアをサポート。

医療系AIスタートアップへの考察

医療にAIが導入される場合についてサムはこの様にコメントしています。

人々は、AI医師やAI診断士を構築するのはメイヨークリニック(注01)などがそれを行うと言いますが、実際にはそのようなことをするのは新しい会社だと私は賭けます。
私は、インテリジェンス・アズ・ア・サービスが毎年改善され、安価になると賭けるべきだと思います。それは必要ですが、十分ではありません。大企業がこれを実装するのに何年もかかる間に、それを打ち負かすことができますが、他のすべてのスタートアップも同様に注意を払って取り組んでいるので、長期的なビジネスの防御力を見つける必要があります。

※注01:Mayo Clinic(メイヨークリニック)は、アメリカ合衆国に本拠を置く非営利の総合医療機関です。メイヨークリニックは、米国内外で非常に高い評価を受けており、先進的な医療技術と高品質な患者ケアで知られています。多くのランキングでトップクラスの医療機関として評価されています。

サム・アルトマンが言及しているのは、AI医師やAI診断士のような新しい技術やサービスを導入するのは、既存の大手医療機関(例えばメイヨークリニック)ではなく、新興企業である可能性が高いという点です。以下の理由が考えられます:

  • イノベーションのスピード:新しい会社は、イノベーションのスピードが速く、柔軟に新技術を導入できる。

  • リスクテイク:新興企業は、大胆なリスクを取ることができ、従来の医療機関が躊躇するような技術にも積極的に取り組む傾向がある。

  • 集中と専門化:新しい会社は、特定の技術やサービスに集中し、専門的な知識とリソースを活用して開発を進めることができる。

AI規制を現在のモデルに適応するのは間違っている

厳しい規制にさらされ、サム・アルトマンは不満のようです。

私は、現在の能力を持つモデルを厳しく規制するのは間違いだと思いますが、世界に重大な破滅的リスクをもたらすと信じるモデルが出現する場合、何らかの監視が必要だと思います。どこにその閾値を設定するか、どうやってテストするかについては、注意が必要です。この技術の大きな利点を止めるのは非常に残念なことですが、自宅の地下室でモデルをトレーニングしたい人々がそれをできるようにするのは本当に悪いことです。核兵器に関する国際規則があるのは良いことだと思います。規制の捕捉グループ、特にどのVCがその非難の範疇に入るかを考えれば、この規制に関する声が上がるのは理解できます。

サム・アルトマンの立場は、AIの規制に対してバランスの取れたアプローチを提唱しています。以下に彼の主張の要点をまとめます。

  1. 現在のモデルの規制に反対

    • 現在の能力を持つAIモデルを厳しく規制することには反対しています。これは、現行の技術が世界に重大な破滅的リスクをもたらすレベルに達していないと考えているためです。

  2. 破滅的リスクをもたらすモデルの規制には賛成

    • 一方で、将来的に世界に重大な破滅的リスクをもたらす可能性のあるAIモデルが出現する場合には、何らかの監視が必要であると述べています。この種のモデルに対する適切な規制と監視が必要とされています。

  3. 規制のバランスと注意点

    • 規制の閾値をどこに設定し、どのようにテストするかについては、慎重な注意が必要だと強調しています。技術の大きな利点を損なわないようにするため、適切なバランスを取ることが重要です。

  4. 規制の過度な抑制に対する懸念

    • 自宅の地下室でモデルをトレーニングしたい人々がそれをできないようにすることは悪いことであると述べています。過度な規制がイノベーションを抑制するリスクについて懸念しています。

  5. 核兵器規制との類似性

    • 核兵器に関する国際規則があることは良いことであるとし、同様にAIに対しても一定の規制が必要であると認識しています。ただし、その規制が技術の発展を阻害しないようにすることが重要です。

AIについて学ぶ事を義務化すべき

サム・アルトマンの発言は、大学教育システムにおいてAIツールの使用を許可するだけでなく、義務付けるべきだという考えを示しています。これは、AI技術が将来の仕事や生活において非常に重要な役割を果たすため、学生がこれらのツールを使いこなせるようになる必要があるという認識に基づいています。以下に、その詳細を説明します。

AI教育の重要性

  1. ツールの使用を義務付ける理由

    • 現実の世界では、計算機やコンピュータを使って問題を解決することが一般的です。同様に、AIツールの使用も将来的には不可欠となるため、教育現場での使用を義務付けることで、学生が実際の仕事環境で必要なスキルを習得することができます。

  2. 理解の深化

    • 基本的な概念を理解するためには、従来の方法で学ぶことも重要ですが、それに加えてAIツールを使うことも重要です。計算機やコンピュータを使うことで、より複雑な問題に取り組む際の効率性が向上します。

  3. 実務能力の向上

    • AIツールの使用経験を持つことで、学生は卒業後の職場で即戦力として活躍できるようになります。例えば、データ解析、機械学習、自然言語処理など、さまざまな分野での応用が期待されます。

具体的な教育システムの変更点

  1. カリキュラムへのAIの組み込み

    • AIツールや技術の基本的な使用方法を学ぶコースを必修科目に追加します。これには、プログラミング、データ解析、機械学習の基礎などが含まれます。

  2. プロジェクトベースの学習

    • 学生が実際のプロジェクトを通じてAIツールを使用する機会を増やします。これにより、理論的な知識だけでなく、実践的なスキルも身につけることができます。

  3. インターンシップやコラボレーション

    • AI技術を活用する企業や研究機関との連携を強化し、学生が現場での経験を積む機会を提供します。これにより、最新の技術動向や実務スキルを学ぶことができます。


サム・アルトマンのインタビューを通じて、AI技術がどれほど私たちの生活を変革し得るかが明確に示されました。彼のビジョンは、AIが医療、教育、コミュニケーションなど多岐にわたり人々の生活を向上させる未来を描いています。サムはバランスの取れた規制の重要性を強調しつつ、イノベーションの自由を守ることを訴えています。彼の洞察は、AIが持つ無限の可能性を最大限に引き出し、人類の進歩を加速させるための指針となるでしょう。


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