見出し画像

ものを直して使い続けることの本当の価値



東京山側で探究学習スクールを運営している「みちくさの達人サクちゃん」です。


有斐斎弘道館


先日、京都にある公益財団法人有斐斎弘道館にお邪魔しました。
私は初めて「本物」の京都に、日本のおもてなしの精神に触れました。 私のような人間であっても、あの空間での一時からはとても多くのものを学ばせて頂けた ので、世界で活躍されているような、その道の一流の方にこそ、特別な空間としての価値があると感じました。
程度や分野の違いはあれど、弘道館、京都に限らず、日本の自然環境と歴史文化には世界中の人々、特に学びの精神を持ち、多くの経験をしている方々に深く刺さる魅力があると感じます。

本物に触れる喜びと価値


今回特に私に深い気付きを与えてくれたのは、慶長の役で連れてこられた朝鮮の陶工が作製した萩焼の茶碗でお茶のおもてなしを受けたことと、偶然お会いできた表具師(日本家屋に欠かせない掛け軸、襖、障子などを製作する職人)の方の匠の技に触れたことでした。
当時の先端技術を日本の風土(特に土)に合わせて改良して作り上げられた、その後の日本を代表することになる焼き物の元祖といえるような存在の茶器に触れ、そこに注がれたお茶とおもてなしの心に触れることの喜びと価値、自分の人生が400年以上前の歴史上の出来事とシンクロする奇跡は、歴史を知り経験を積んでいる人ほど、その価値が理解できるものです。
襖を張り替える時に、その裏に張られた過去の襖に対する想いを引き継いで、その上に新しい紙を張っていく行為は、数十年、数百年続いてきた価値あるモノのストーリーを引き継いで、自分の中に入れ込む作業、そのストーリーが自分の人生に取り入れられることの大きな価値を感じました。

巷ではSDGsの名のもとに、リユースやアップサイクルという横文字の環境活動が表面上はもて囃されていますが、モノを使い続けることの価値はそのような断続的なものではなく、切れ目なく続いていく人々の想いの継承であると認識できた瞬間でした。
反面、外から新たな技術を受け入れて、日本の風土に合わせてより良いものに造り変えるのではなく、本物のように見える偽物=安物が大量生産され、求められていることに強い危機感を感じます。

価値を繋ぐコミュニティの必要性

私は日本各地のまちづくりに興味を持ち、実際の活動にも関わるようになり、ようやく日本という國の持つ、世界でも唯一 無二の価値について、その本質の正体が朧げに見え始めた程度ですが、世界に知られれば知 られるほどに、数年~十年単位の短期な利益を求めるあまり、その価値が急速に失われているのをヒシヒシと感じます。 今回の京都でも多くの惨状を目にしました。 その中で今回の経験は私に多くの気づきを与えてくれました。 数十年、数百年という長いスパンで地域資源の価値を捉えて、共に高められるコミュニティ を作り、日本の本質的価値を世界に発信出来る仲間を増やしていかねばならないと強く思 いました。

みちくさの達人 サクちゃん
東京山側秋川渓谷出身。「みちくさの達人」と称して、環境教育系番組等の監修・出演など、各種メディアで発信中。大地といきものの不思議、多様性について、都心部のファミリー層を中心に、五感で感じて、楽しく学ぶための探究型自然体験学習スクールを提供している。東京山側にて、毎日みちくさと東京山側リバークリーンナップ活動を実践中。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?