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「よりもい」はいいぞおばさん

 「よりもい」はいいぞぉ。


 「宇宙よりも遠い場所」、略して「よりもい」。女子高生4人がそれぞれの理由で南極を目指す、という内容のアニメだ。絵は綺麗だし、女の子たちも可愛い。キャラも立ってる。ちなみに、私はめぐっちゃんアンチである。


 そんな「よりもい」について、私は今でも考えを巡らせている。12話の、あのシーンだ。
※ネタバレ含む



 母親のPCを見つけ、報瀬ちゃん一人でそれを開く。他の三人は気を利かせて部屋の外で待機。PCを起動させてしばらくすると、母親が行方不明になってからずっと送り続けていた自分のメールが一斉に受信される。それを目の当たりにして、報瀬ちゃんは初めて母親の死を悟り、嗚咽を漏らす。


 いやー、このシーン大好きだわ。最初見た時は、私も報瀬ちゃんと同じくらい泣いたもんだ。


 でも、私は未だに、なぜこの場面で報瀬ちゃんが母親の死を実感し、涙を流したのか、言葉で説明することができない。痛いほどその感情を理解できるのに。


 改めて考えると、物語のラストに持ってくる一番重要なシーンをこれにするのって、ものすごく勇気がいったと思う。それこそアニメなんだし、もっと映像美を活かした演出だってできたはずだ。
 南極という美しくも過酷な環境にいるにも関わらず、少女が一つの事実を受け入れるシーンがこぢんまりとした部屋の中というのは、常識的に考えれば「もったいない」に尽きるのかもしれない。


 それでも、このシーンがなければ、私の感動はその時ばかりで終わっていたと思う。こうして思い出し、あれはどういうことだったのだろうと考えることもなかったはずだ。


 私もそういう物語を紡ぎたいと思う。
 言葉では表せない感情の膨らみを、誰かの思考に留まり続ける形で、作り出したい。


 めぐっちゃんは絶許だけどね。

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