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心理的安全性にちょっと加えてみる実験

心理的安全性という言葉は開発の現場でよく口にされ、否定されることはほとんどありません。
しかし、私はいくつかの疑問があり、それらについて考えてみました。

心理的安全性は、Googleのプロジェクト・アリストテレスで、チームの効果性に影響する要素であることが見出されました。プロジェクトではいくつかの要素の中で、心理的安全性が最もチームの効果性に影響を与える、としています。

※プロジェクト・アリストテレスはGoogleが社内のチームに対して、様々な要素が効果性に対してどのような関係があるかをリサーチしたプロジェクト。

心理的安全性に対するいくつかの疑問

心理的安全性の高いチームにおいては、愚かだと思われる可能性のある行動をしても安全だと信じられる、とされます。しかし、ソフトウェア開発プロジェクトにおいては、起きてはならない失敗もあります。個人情報漏洩や法令違反などです。これらは、個人のちょっとした行動から起こりえます。

また、無知、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても大丈夫だと信じられる、とされます。しかし、プロジェクトのリソースは有限であり、時間もリソースの一つです。それらの行動を許し、提案などの場合は検討し続けるとしたら、それははたして効果的なことなのか、疑問に感じました。

相互信頼(相互にプロとしてのスキルと行動がなされることを期待できること)を加えて考える

心理的安全性に「相互信頼」という概念を加えた状況を考えてみると、その状況では疑問が解消しました。

心理的安全性はエイミー エドモンソン氏が定義した用語なのですが、心理的安全性がチームの効果性にとって重要であるということは、Googleのプロジェクト・アリストテレスで行われたリサーチの結論です。

そこでは、心理的安全性の他にも、複数の要素が生産性にとって重要であると指摘されています。

「相互信頼」はその一つで、心理的安全性の次に大切である、とされています。

相互信頼とは、チームのメンバー同士が、クオリティの高い仕事を、期限内に仕上げてくれると感じていること、です。
ざっくりいうと、「相互にプロとしてのスキルと行動がなされることを期待できること」に近いかも知れません。

これらから、心理的安全性単体ではなく、心理的安全性と相互信頼、両方を満たすチームが効果性が高くなる、のではないかと感じました。

プロとしての仕事が行われることをメンバー同士が期待し合える状態であれば、その上で愚かだと思われる可能性のある行動をしても安全だと信じられる、無知、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても大丈夫だと信じられる、ということが、ポジティブに働くということは想像しやすい状況です。

それらを考えると、心理的安全性と相互信頼は、バランスをとりあう要素のように感じるのです。

まとめ

心理的安全性は、プロジェクトアリストテレスの成果で重要性が見出され、盛んに言及されます。しかし、同時に重要性が見出された別の要素があることは、あまり紹介されてこなかったように感じます。

それが心理的安全性に対して、懐疑的な態度を一部、生じさせていたようにも感じます。

今後、心理的安全性と相互信頼についての理解をより深めたいと考えていますが、今の時点では、心理的安全性は相互信頼とともに運用するのがうまくいきやすいのではないかと考えています。

心理的安全性だけを言われたとき、そうかな?、と思うのは自然だと感じます。
相互信頼を加え、それらのバランスによって、チームの効果性が向上すると考えると受け入れやすいのではないでしょうか。

つまり、「お互いプロとしての行動をすると信頼しあっているチームにおいて、間違いや愚かなことを言っても大丈夫、と信じられるようになる」と、効果的なチームに近づくのではないかと考えました。


これからの興味

心理的安全性に関して調べると他にも気になる点があった。

Google re:workでは心理的安全性を「心理的安全性とは、対人関係においてリスクある行動を取ったときの結果に対する個人の認知の仕方」と説明している。エドモンソンの論文での定義は「Psychological safety is a shared belief held by members of a team that the team is safe for interpersonal risk taking」だ。

Psychological safety なチーム、とは書かずに、Psychological safetyを(shared) belief として持つチーム、と書いている。この点について、より理解を深めたい。

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