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ヤドン好きの他には特にありません

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記事一覧

【小考察】世界初のタイムマシン小説「アナクロノぺテ」から考えるパルデアの物語

ご注意:エンリケ・ガスパール氏の小説「アナクロノペテ」、H.G.ウェルズ氏の「タイム・マシン」のネタバレを多く含みます。 「スペイン発で世界初」と「最も有名」な2つ…

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2週間前
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パルデアの歴史⑦ 治水と果実のパルデア史 後編

オリーブを育むパルデアの水は「どこから」湧いてくるのか? 前編では消えてしまった二つの果実についての仮説を述べたが、現代のパルデアにはまだオリーブが残されている…

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3週間前
6

パルデアの歴史⑥ 治水と果実のパルデア史 前編

治水に奮闘してきたパルデア人たちの形跡 パルデア半島はモデルとなったイベリア半島と同じく基本的に乾燥地帯が多いが、シティクラスの3都市は必ず大きな水源沿いに存在…

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4週間前
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パルデアの歴史⑤ 生態系と量子コンピュータと自由意志 結晶体のモチーフ 後編

「自由」と「変わること」の物語 ポケットモンスターと言えば「進化」することが特徴であるが、散々つっこまれてきたように、変態とか成長に近い。尻尾を噛まれたヤドラン…

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1か月前
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パルデアの歴史④ エキゾチック物質からエネルギー安保まで、様々な結晶体のモチーフ 前編

ブレイクスルーをもたらす結晶体をとりまくエネルギーや科学技術の水準および情勢とは? 今回はポケモン世界の技術水準から、危険だが凄まじい可能性を持つ資源としての結…

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1か月前
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パルデアの歴史③ 「石」である結晶体 その分類と「重力子」的存在の影

様々な側面を持つ結晶体 今回は結晶体とその粒子の様々な側面のモチーフを挙げ、何故エリアゼロにそれが滞留するのか、ポケモンの特性を決める「タイプ」エネルギーとの関…

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1か月前
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【小ネタ】ハッピー・ホームウェイ・パラダイスはあつまれオモダカの森?

注意 ポケットモンスターSVとどうぶつの森のネタバレと、人によっては嫌な異作品の関係性の指摘があります。 ポケットモンスター世界では元々ユンゲラーが超能力少年であ…

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1か月前
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【小ネタ】時差からだいたい出すポケモンSVの地方の位置関係

当たり前だがポケモン世界も丸かった スカーレット・バイオレットでは初めて各地方の位置関係が示されたのではないか?ということを「パルデアの歴史①」で述べたが、今回…

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1か月前
6

パルデアの歴史② 舞台装置としてのタイムマシンについて(多分その1)

結局タイムマシンって何? 前の記事で述べた金属プレートが示すように、エリアゼロが「非時間的領域」であるとしても、そもそもそれは時が止まっていることを意味しない。…

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1か月前
4

パルデアの歴史① まず世界はどういう状況か?

はじめに 2つのパルデア史の舞台装置としての結晶体 これから書く文章では全体として「パルデアの歴史」を扱いたいが、本当に何もかもがぼやっとしている「エリアゼロ」…

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2か月前
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【小考察】世界初のタイムマシン小説「アナクロノぺテ」から考えるパルデアの物語

【小考察】世界初のタイムマシン小説「アナクロノぺテ」から考えるパルデアの物語

ご注意:エンリケ・ガスパール氏の小説「アナクロノペテ」、H.G.ウェルズ氏の「タイム・マシン」のネタバレを多く含みます。

「スペイン発で世界初」と「最も有名」な2つのタイムマシン小説 一般的に時間旅行モノの小説の古典と言えば、1895年に発表されたH.G.ウェルズの「タイム・マシン」であるが、実はそれより前の1887年にスペインの外交官であったエンリケ・ガスパールという人物によって書かれた「アナ

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パルデアの歴史⑦ 治水と果実のパルデア史 後編

パルデアの歴史⑦ 治水と果実のパルデア史 後編

オリーブを育むパルデアの水は「どこから」湧いてくるのか? 前編では消えてしまった二つの果実についての仮説を述べたが、現代のパルデアにはまだオリーブが残されている。いまだ農業用水としても現役を維持する南部の大河にも一見ゲームにはあまり必要ではなさそうな治水設備が備えられており、様々な手が加えられている形跡がある。そしてそこには今もなお危うい河川と戦うパルデア人の姿が見えてくる。

 後編ではひとまず

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パルデアの歴史⑥ 治水と果実のパルデア史 前編

パルデアの歴史⑥ 治水と果実のパルデア史 前編

治水に奮闘してきたパルデア人たちの形跡 パルデア半島はモデルとなったイベリア半島と同じく基本的に乾燥地帯が多いが、シティクラスの3都市は必ず大きな水源沿いに存在する。それだけではなく、全体としてもいよいよ導入された三次元オープンワールドの特性を活かした「土地の高低による水の行き先」や人々の営みの中の「治水」をかなり意識して地形が作り込まれており、パルデアの歴史を考える上でも注目に値する。

 今現

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パルデアの歴史⑤ 生態系と量子コンピュータと自由意志 結晶体のモチーフ 後編

パルデアの歴史⑤ 生態系と量子コンピュータと自由意志 結晶体のモチーフ 後編

「自由」と「変わること」の物語 ポケットモンスターと言えば「進化」することが特徴であるが、散々つっこまれてきたように、変態とか成長に近い。尻尾を噛まれたヤドランに至っては「事故」に近いのではないか?まあ、それらが多発し生存競争に寄与するのであれば本来の意味での進化と言えなくもないのかもしれないが。だがパラドックスポケモンのように、近年のシリーズでは本来の意味での適応としての進化があることも大々的に

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パルデアの歴史④ エキゾチック物質からエネルギー安保まで、様々な結晶体のモチーフ 前編

パルデアの歴史④ エキゾチック物質からエネルギー安保まで、様々な結晶体のモチーフ 前編

ブレイクスルーをもたらす結晶体をとりまくエネルギーや科学技術の水準および情勢とは? 今回はポケモン世界の技術水準から、危険だが凄まじい可能性を持つ資源としての結晶体の位置付けを考えていきたい。

テクノロジーという物語の礎

 たまに「ポケットモンスター製作者らはそこまで深く考えていない」と言われることがあるが、個人的にはそんなことはないと思う。それは単純に、荒唐無稽なものはつまらないからで、私た

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パルデアの歴史③ 「石」である結晶体 その分類と「重力子」的存在の影

パルデアの歴史③ 「石」である結晶体 その分類と「重力子」的存在の影

様々な側面を持つ結晶体 今回は結晶体とその粒子の様々な側面のモチーフを挙げ、何故エリアゼロにそれが滞留するのか、ポケモンの特性を決める「タイプ」エネルギーとの関係性は何なのかを体系的にまとめてみたい。また、ポケモンに及ぶ「重力」のような力が見え隠れしないでもないような…。歴史の章までもう少し…な気がする。

石の物語である「ポケットモンスター」

 ポケットモンスターは第一世代カントー地方の物語の

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【小ネタ】ハッピー・ホームウェイ・パラダイスはあつまれオモダカの森?

【小ネタ】ハッピー・ホームウェイ・パラダイスはあつまれオモダカの森?

注意
ポケットモンスターSVとどうぶつの森のネタバレと、人によっては嫌な異作品の関係性の指摘があります。

ポケットモンスター世界では元々ユンゲラーが超能力少年であったりする都市伝説のような話が公的っぽい図鑑にまで乗るような世界ではあったが、今作では人間とポケモンが最初は同じで、今もポケモンが人に、人がポケモンになるような描写が今作ではやけに強調され、やや現実味を帯びてきた。

それであれば、エレ

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【小ネタ】時差からだいたい出すポケモンSVの地方の位置関係

【小ネタ】時差からだいたい出すポケモンSVの地方の位置関係

当たり前だがポケモン世界も丸かった スカーレット・バイオレットでは初めて各地方の位置関係が示されたのではないか?ということを「パルデアの歴史①」で述べたが、今回は時間を計測して時差を算出した。

背景

 YouTubeのポケモン関連の動画を見ていると、サンドイッチの具材バグを利用して大気圏外に出たトレーナーが複数人見つかる。このように世界の隙をつくのはポケットモンスターシリーズの伝統であるが、動

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パルデアの歴史② 舞台装置としてのタイムマシンについて(多分その1)

パルデアの歴史② 舞台装置としてのタイムマシンについて(多分その1)

結局タイムマシンって何? 前の記事で述べた金属プレートが示すように、エリアゼロが「非時間的領域」であるとしても、そもそもそれは時が止まっていることを意味しない。前に進むか後ろに進むかが決まっていないばかりでなく、恐らく度合いが存在している。大穴の中にあるエリアゼロに近づく程、曖昧さが出てくる。水は上から下に落下するし人々もそれぞれの主観の中でお互いに前方向に歩き、生命活動を維持している。
 時間は

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パルデアの歴史① まず世界はどういう状況か?

パルデアの歴史① まず世界はどういう状況か?

はじめに 2つのパルデア史の舞台装置としての結晶体 これから書く文章では全体として「パルデアの歴史」を扱いたいが、本当に何もかもがぼやっとしている「エリアゼロ」がどういった場所であるか「結晶体」が舞台装置としてどう機能しているのかなど、諸々当たりをつけなければどうにもならないので、これらについて最初に述べることにする。また、基本的に与太話の上、シリーズ他作品のネタバレを含むのでご注意頂きたい。

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