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【読書録】『私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記』

こんにちは。
お読みいただきありがとうございます。

4歳2歳男の子の母。
今日は、読書録。

『私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記』
著者 水谷緑
発行所 株式会社 文藝春秋

知人がこの本の制作に関わっていることを知り、購入。

ヤングケアラー

知ってますか?

私はつい最近知ったところでした。

ヤングケアラーとは、「介護や病気、障害や依存症など、ケアを要する家族がいる場合に大人が担うような責任を引き受け、家事や看病、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子ども」のこと。
本書 P52より

本の内容としては

“家族のかたち”を守るため、あの日わたしは自分を殺した。親との関係に悩むすべての人へ――失われた感情を取り戻す、ヤングケアラーの実録コミック!

統合失調症の母、家庭に無関心な父、特別扱いされる弟、 認知症の祖父――ゆいは幼稚園のころから、買い物・料理・ そうじ・洗濯など家族の世話を一手に担っている。母親の暴力に耐えながら「子どもらしさ」を押し殺して生きるのに精一杯だった彼女の子ども時代と、成人してからの「ヤングケアラー」としての自覚。 仕事、結婚、子育てを通じて、悩みにぶつかりながらも失われていた感情を取り戻すまでの再生の物語です。(以下略)
出版社より内容紹介

子どもも読めるよう、全文、ルビ付きです。



親にたくさんたくさん愛情をかけてもらって
子どもらしい幼少期を過ごしたとしても、

大人になっても、ふとしたときに
親から受けている影響を感じることがあります。


それなのに。
もし
必要な愛情をもらえず
感情も、時間も、子どもらしさも、
何もかも犠牲にして生きることを余儀なくされたなら。

しかも、ヤングケアラーたちが
なんとか大人になるまで生き延びて、
自分の足で立ち自分で生活ができるようになったとしても、
過去の苦しみからすぐに解放されるわけではなく。

大人になっても自分の感情がわからなかったり
育児中に自分の幼少期がフラッシュバックしたり…

このおはなしが、完全なフィクションではなく、
実際にあった事柄を繋ぎ合わせているものだという事実が
もう、とんでもなく悲しい。。


そして、ヤングケアラーという言葉そのものは
私は最近知ったのだけど、
ヤングケアラーにあたる子どもたちは
残念ながらずっとずっと前からいたようです。

本の中に出てくるカラオケの歌とかが、
自分の思春期そのもので、
…ということは、
自分たちの、すぐ周りにも、
もしかしたら壮絶な幼少期・児童期を過ごした子がいたのかもしれないということ。

小学生の15人に1人は、ヤングケアラーなんだとか。
クラスに2〜3人に1人の換算。。

周りに相談することもできず…


でも、そんな子どもたち、
またかつてヤングケアラーだった大人が
孤立せず仲間と話し合ったり、思いを聞いてもらったり、
そういった「つどい」の場も、増えつつあるようです。

が。

子どもには自助グループに相談したり、社会制度やサービスを利用するという認識はありません。奨学金制度から就職キャリア支援まで、ヤングケアラーが自分の目標を持って人生を歩めるよう、教育、福祉、医療といった機関が連携し、伴奏者となって、継続的な支援を行うことが必要です。
本書 p124より

そう。
「場」があっても、
それを必要としている人が、その存在を知れるか。
そこに行けるか。

世の中全体での支援が必須。

というか、世の中全体での支援がそもそもできていたら、
まずヤングケアラーが生まれないか、限りなく減る、かな。

核家族化が進み
ご近所付き合いが減り。

帰宅途中に
特に近所というほどでもないところで
全然知らんおっちゃんに「おかえり」と言われて
ギョッとするようなことは、

今の世の中もうないのかも。

今思うと、おっちゃんありがとうなわけで。


これは多分ヤングケアラーだけではなくて
独居老人とか
親の介護に苦しむ方とか
産後うつとか産後クライシスとか
そういうところにも全部繋がってくるのかな、と。

そして、何が辛いって
頼れる存在がいないこと
だと思います。

個人でできることは少ないけれど
ヤングケアラーについて言えば

ヤングケアラーについて知り、支援の必要なヤングケアラーが身近にいるかもしれないという意識で周囲を気にかけ、子どもの話に耳を傾けてください。
本書 P52より

上記のとおりで。

児童虐待に関しては
もしかして?と思ったら
189(いちはやく)に連絡くださいって
CMとかでやってるけど、

吊し上げるような気持ちで電話をかけるんじゃなくて、
本当にその親子が救われるようなことになればいいなと思う。

産後うつや産後クライシスについては、
私はあまり経験がないのだけど…
ただ、ひとつだけ思うのは、

産後1ヶ月くらいは、ママをちゃんと休ませてあげて。

男性の育休云々言うなら、
最低3週間くらいは、取らせてあげて。

1週間では、何にもならん!!!
(ないよりはいいです。いい流れだとは思っています)

ま、里帰りできる人は、旦那様のサポートより
ばぁばのサポートの方がいいかもしれないけどね◎

出産とか育休とかの話は
言いたいことがたくさんあるので
また別の記事で。(書くかな?)


*****

この本の中でとても心に響いたのが、

ヤングケアラーたちの
感情に関する会話のところ。

感情ってどうやって生まれるのかな?という1人の問いに対して、
感情は「学んでいく」ものなんじゃないかという話になり
(これは○○だね、これは**だね、と言葉をかけてもらうことで感情を認識する。
でも、それを言葉にしてくれる養育者がいなかったら感情の表現ができず、感情がわからなくなるのではないか、と。)

で、そういうことなら
感情は「学び直せる」ものなのかな、という考察にいたります。


人生いつでもやり直せる。なんて
言うのは簡単ですが、

いや、本当に。本当に。
やり直せる。学び直せる。
ということに心打たれました。

*****

全体を通して
人には
「安心できる場所」

が絶対に必要だということを再確認。

上記の学び直せるというのも、
安心できる場があってこそ。

屈託なく笑えるのも
安心できているからこそ。

主人公のゆいちゃんがお母さんになって子育てしている場面で

「子ども」って
なんで初めから
親を信用しているんだろう?
私だって 悪い人かもよ?
大丈夫かなあ…
本書 第13話より

と、あります。

これは、私自身も度々思っていたこと。

子どもの、絶対的な信用を裏切ることのないように
生きていきたい。


*****

いろいろ考えさせられた本でした。
知人へ、ありがとう。

お読みいただきありがとうございました。

小さな幸せがあふれる毎日でありますように◎

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